ご挨拶

日本歯科医師会会長
臼田貞夫

 水道水フッ化物応用シンポジウムの開催にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 本日は、 県民の皆様と歯科保健関係者多数の参加を得て、 フッ化物応用への理解を深めるために研究・討議が行われることに対し深甚なる敬意を表するものであります。

 さて、 う蝕予防のための 「水道水へのフッ化物応用」 について、 世界的な観点から考察いたしますと、 WHOや国際歯科連盟においては実行可能な場合にはこれを導入すること、 また不可能な場合は他の応用方法を検討すること等を主旨に推奨の方向が示されております。 一方、 先進諸国に比して日本におけるフッ化物応用が進んでいないとの指摘があるのも事実であります。

 しかし、 わが国においては21世紀の国民健康づくり運動 「健康日本21」 の2010年に向けた目標の中で明確に 「フッ化物応用の推進」 が謳われる等、 フッ化物応用はすでに、 う蝕予防の重要な方策として位置付けられております。 この 「健康日本21」 の法制化を基本方針とし、 今国会提出された 「健康増進法案」 には、 本会からの強い要望もあり、 その基本方針に 「歯の健康保持その他の生活習慣病に関する正しい知識の普及に関する事項」 が記載されております。

 また、 厚生労働省においては、 地元歯科医師会他の支援を前提とした水道水へのフッ化物添加について自治体からの技術支援要請に応じる旨の方針を示しております。

 日本歯科医師会では、 水道水へのフッ化物添加は地域の歯科医師会をはじめとする関連専門団体、 地域住民との合意が前提であるとの見解を示しておりますが、 今後とも厚生労働省と連携し、 う蝕予防に努力してまいる所存でおります。

 具志川村の過去10年にわたる、 フッ化物洗口を導入した地域保健活動は沖縄県下のみならず、 全国的にも評価されております。 また、 沖縄県、 沖縄県歯科医師会の協力の下、 厚生労働省へ水道水フッ化物濃度調整を実施するための技術支援を要請し、 上水道へのフッ化物添加へ向けたご努力をされていることは、 わが国の予防歯科医療の先駆的役割を果たすものであり、 その成果を大いに期待申し上げるものであります。 このような状況の中、 本シンポジウムが種々の分野でご活躍の皆様のご協力により開催されますことは、 歯科保健事業の一層の充実、 発展に寄与するものと考えられます。

 最後になりますが、 本大会開催に至る沖縄県歯科医師会・喜屋武満会長はじめ関係各位のご尽力に対し、 改めて敬意を表しますとともに今後益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、 ご挨拶とさせていただきます。