フォーラム8020 2001東京 出張報告

 平成13年2月25日(土)午後1時より、上記会合が東京駅に隣接する鉄道会館「ルビーホール」で開催され,出席したので報告する。今回は,従来の東北・信越・東海の基本構成県12の外に,6県1市の役員・担当者および行政の担当者,大学関係者総勢59名の出席があった。

 まず,開会の辞をフォーラム8020幹事長の池主憲夫先生がされ、『8020運動』の理論的構築や実践のための政策の提唱にこのフォーラムが果たした7年の軌跡を振り返ってみて、「健康日本21」や8020財団、フッ素に関する日歯見解などに提言が生かされたと挨拶された。

 続いて,厚生労働省医政局滝口徹歯科保健課長、新井常務が急遽所要のため、変わって大久保満男日歯理事(静岡県歯科医師会長)の来賓挨拶があり,その後、石井拓男東歯大教授と、池主幹事長の座長でフォーラムに入った。

 まず,「最近の動向について」として2題の基調報告がされた。最初は、「8020推進事業団の設立について」を、財団の委員でもある大久保日歯理事より説明された。いわゆる「8020財団」について,社団じゃなくNPOにしたのは、各種団体の協力を得て国民運動とするためで、「8020運動」を@国民運動A研究支援B研究成果を情報発信C新たな生活文化として運動展開、と位置付け,日歯と財団のすみわけも今後の課題であると話された。

 続いて、「厚生行政の最近の動向について」は、滝口課長が,膨大な資料を基に4点話された。まずは@8020運動推進に関する国の予算について、平成13年度の厚生労働省の歯科保健医療対策予算案の概要を話された。後のシンポジウムで話題になった8020運動推進特別事業は昨年同様に進めるとの事。昨年との違いは,新規で,厚生科学研究費の痴呆性老人への歯科保健医療の推進のための研究に予算がつき、歯科医師臨床研修費が増額され,診療情報開示に関する事例集作成に新規予算が当てられた。次のA「8020財団」については,設立趣意などの説明がされた。また、B「健康日本21」についても,歯科関係の推進項目・目標値の説明がされた。最後に,特に時間を割いてC「水道水フッ化物添加等の動向について」の説明がされた。この中で沖縄県具志川村でのモデル事業を支える,高江州東歯教授を班長とする厚生科学研究の詳細な内容の説明があった。また,省内の水道関係との合意の確立や,マスコミへの対処についての姿勢を話された。

 次にシンポジウムがあり、3題の基調講演がされた。それぞれの県で今年度取り組んだ8020運動推進特別事業についての内容で、山形県歯の五十嵐雄一理事は,推進会議、フッ素洗口導入モデル事業や県民総健診事業などの6事業について、岐阜県歯の足立正孝理事は、節目の成人を医療機関で行った「岐阜県成人歯科疾患実態調査」について、また,香川県歯の井上悟副会長は、推進協議会事業,歯科保健疫学実態調査事業やフッ化物応用普及啓発活動の3事業について講演された。

 その後は、「厚生省8020推進特別事業の現状と対応―健康日本218020財団,関連研究を中心に捉えて」と題して協議に入った。各県から取り組みに対する感想や要望が出され,滝口課長は将来ずっと予算はつく保証はないので,有意義な事業に取り組み,実績を作り県単事業に将来は移行してもらえるようなものを考えてもらうといいと話された。また,国立感染症研究所の花田部長は、平成144月より,口腔科学部を和光市につくる,国立保健医療福祉政策研究所に歯科を移し,その中にアメリカのNIDHのような水道水フッ素化と担当するような研究部門をつくり,水道水フッ素化の実施にあたっての裏づけを取っていくこと、さらに行政の歯科医やDHの教育をし、臨床疫学者を育てて行きたいとのコメントがあった。

 閉会の辞は愛知県の坂井剛専務理事がされ、閉会した。     (富山県歯科医師会会報平成13年5月号掲載予定:山本武夫)

昨年1年の間に,随分といろいろな変化がありました。

中でも,フッ化物の応用に関しては,多分このフォーラム8020出席者の大半はここまで変わると予測していなかったと思います。ちなみに,私のHPの昨年のフォーラム8020の報告をご覧下さい。

厚生労働省医政局歯科保健課滝口徹課長の発言も,昨年と打って変わる自信に満ち溢れたもので、「水道水フッ素化」が実施に向け着実なものになっている現れと感じ取れました。

しかしながら,まだまだ課題も多く,水道行政担当者の考えを変えさせることとか,法律で推進できる様にすることとか,国民のための「水道水フッ素化」が,軌道に乗るにはまだまだ道のりは険しいと言えます。

ここに来ている担当者だけでなく,もっと多くの公衆衛生担当者が耳を傾けるようにならないと,国全体が動くまでいかないのではないかと,折角の呼びかけに反応しなかった都道府県担当者の数を見て感じました。