今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術的支援 

                      平成14年9月13日

                      日本口腔衛生学会

 わが国におけるう蝕(むし歯)発生は近年減少傾向にありますが、欧米先進諸国に比べて依然として高い有病状況にあります。わが国の口腔保健指標の一つである8020を達成するためには、今後ともう蝕予防を推進していく必要があります。

 う蝕予防のためにWHO(世界保健機関)はフッ化物応用を推奨していますが、わが国においてはフッ化物局所応用(フッ化物歯面塗布法、フッ化物洗口法、フッ化物配合歯磨剤など)が漸次、普及している状況であるものの、WHOが推奨するところの水道水フッ化物添加法は、わが国では未だに実現しておりません。水道水フッ化物添加法は、生命科学の基盤に即したフッ化物応用法の基礎をなす方法であり、生涯を通した歯質の強化と健康な歯列の保持、増進を目的に地域保健施策として、世界の多くの国々で永年の疫学的検証に基づいて実施されてきているものです。

 本学会として、日本歯科医師会の「弗化物に対する基本的な見解」を支持し、1972年に水道水フッ化物添加法の推進を表明しました。そして、1982年には「う蝕予防プログラムのためのフッ化物応用に対する見解」を公表しました。一方、日本歯科医学会が1999年に答申した「フッ化物応用による総合的な見解」において、水道水フッ化物添加法が優れた地域保健施策として位置づけられております。また、200011月、厚生省(現厚生労働省)が水道水フッ化物添加法について市町村から要請があった場合、技術支援をすることを表明しました。引き続き、日本歯科医師会は、水道水フッ化物添加法の効果、安全性を認めた、厚生労働省の見解を支持し、地域歯科医師会、関連専門団体や地域住民の合意の基に実施すべきであるとの見解を示しました。

 このような状況の中、日本口腔衛生学会は、ここに、21世紀のわが国における国民の口腔保健の向上を図るため、専門学術団体として、フッ化物局所応用及び、水道水フッ化物添加法を推奨するとともに、それらへ学術的支援を行うことを表明いたします。