And You (あゆ) の会平成15年度総会・講演会開催のご報告

5月25日()高岡テクノドームにて、標記の講演会を開催いたしました。今年度は、NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議(F会議)と共催、県や富山県歯科医師会、高岡市歯科医師会の後援をいただきました。研修会場には、高岡地区を中心に歯科医師、歯科衛生士、養護教諭、保健師など70名が参加されました。

午前10時より開会し、代表山本武夫の挨拶の後、共催のNPO法人日F会議山内皓央副会長(山梨県)が、団体の紹介を兼ねて挨拶されました。来賓の紹介の後、プレ講演「県民歯の健康プラン」と題して、プランとフッ化物応用について、後援の県厚生部健康課の竹内智子主幹が挨拶を兼ねてミニ講演をされました。プランの進捗状況や現在までの実績等が説明されましたが、特に乳歯の良好なむし歯予防効果(特に3歳児)や永久歯のむし歯予防対策事業のフッ化物洗口実施施設の増加の期待などを話されました。

続いて「地域・家庭において健康長寿を保つには・・・」をテーマに講演会に入りました。基調講演は、And You (あゆ) の会の顧問の富山医薬大医学部保健医学教室の鏡森定信教授で、「健康長寿と公衆衛生」と題して30分お話いただきました。ご自身の湯あたりや最近のSARS(新型肺炎)の話題を皮切りに、人の寿命に見る不平等という観点から、長生きの秘訣として、栄養・運動・休養のほかに、今明らかにされた喫煙経験などについて講演されました。米国での研究例から、現代医療は肺がんの死亡率を下げ得ない、たばこと肺がんの関連、そして禁煙が寿命を延伸させる証拠が明らかになり、これらをいかに実践するかが今問われていると話されました。「健康日本21」という目標設定を健康増進法や市町村保健福祉計画で確立して、人々全体の健康水準を底上げする社会の仕組みの構築が大切で、基本が公衆衛生の向上からくるもので、これが実現して国民が長寿社会を享受できることになりますと結ばれました。

特別講演は「むし歯予防と適切なフッ化物応用」と題して、新潟大学歯学部付属病院口腔保健科予防歯科講師の佐久間汐子先生PCを使ってわかりやすく2時間あまりプレゼンテーションして頂きました。以下に抄録を一部を載せます。

 【抄録】国や日本歯科医師会は8020運動を進めており、「健康日本21」で国民の目標を挙げています。それらすべての出発点は歯を健康に保つ,つまり,むし歯にならないように予防をしっかりすることだ。今年1月、国は各都道府県知事に「フッ化物洗口ガイドライン」を出し、積極的なフッ化物応用の推進を提唱した。そこで、フッ化物が歯科保健に導入されたキッカケを知ることは重要である。そもそも斑状歯の発見から、飲料水中の天然のフッ化物濃度の研究がされ、審美的に問題となる歯のフッ素症を発現させずにむしばを半減させる飲料水中フッ化物濃度(1ppm)が見出された。このような経緯を経て約半世紀前に自然環境を模倣してむし歯予防手段とて発展させたのが水道水フロリデーションである。現在、安心してフッ化物洗口などの局所応用の標準的な術式が考案されているが、これらは、先の全身応用からの量的安全性に基づいて実施されていることを忘れてはいけない。フッ化物とは自然界にあまねく分布する。フッ化物応用法には全身応用法(水道水フロリデーション・フッ化物添加食塩、フッ化物錠剤)、局所応用法(フッ化物洗口、フッ化物歯面塗布、フッ化物配合歯磨剤)がある。フッ化物のむし歯予防における役割として、再石灰化の促進や脱灰の抑制のメカニズムや優れた公衆衛生特性(誰にでもできる小さな努力で確かな効果)が挙げられる。フッ化物応用のむし歯予防効果は、エビデンス(確かな根拠)に基づいている。実際に新潟におけるフッ化物洗口の効果を説明する。フッ化物洗口など局所応用における適切な応用量については、洗口後の口腔内残留量、吐き出し、うがいのできない年齢層に対するフッ化物配合歯磨剤の使用量やフッ化物歯面塗布におけるフッ化物製剤の使用量の問題など、きちんと理解せねばならない。最後に、フッ化物応用危険説に対する解説や多期間・多地域における実績そして国内外の専門団体の推奨の見解を示す。

1.日時 平成15年5月25日(日)午前10時〜午後1時
2.場所 高岡テクノドーム  
           (高岡市二塚322-5   0766-26-5151)
3.講演会
       @)プレ講演「県民歯の健康プラン」富山県厚生部健康課主幹 竹内智子先生   
       A)講演「地域・家庭において健康長寿を保つには・・・」
        @基調講演  「健康長寿と公衆衛生の果たす役割」
          富山医科薬科大学医学部保健医学講座教授  鏡森定信先生
        A特別講演  「むし歯予防と適切なフッ化物応用」(スライドppt:ダウンロード可)
          新潟大学歯学部付属病院口腔保健科予防歯科講師  佐久間汐子先生
4.共催 NPO法人 日F会議
5.後援 富山県、富山県歯科医師会、高岡市歯科医師会

上記内容で、総会・講演会が開催されました。
 式次第
1.開会    神田先生
2.挨拶    山本武夫
       山内NPO法人日F会議副会長

3.来賓・講師紹介 神田先生
   (来賓)富山県   (厚生部健康課竹内主幹)
        富山県歯科医師会 松岡地域保健担当理事
        高岡市歯科医師会 木村副会長
   (講師)富山医科薬科大学教授 鏡森先生
       新潟大学歯学部付属病院講師 佐久間先生

4.プレ講演  竹内智子健康課主幹 

5.基調講演 (座長 山本武夫:講師紹介含む)
            鏡森定信 富山医科薬科大教授
    (休憩)
6.特別講演 (座長 山本武夫:講師紹介含む)
       佐久間汐子新潟大学講師
  中休み(10分ブレーク:ロビー出展説明、お茶の効用)
       佐久間先生 後半
7.質疑応答
8.閉会   神田先生 


定員60名の研修会場が、一杯の状態でした。

歯科医師34名、歯科衛生士他14名、養護教諭5名、保健師8名、一般8名、マスコミ1名の参加を得ました。(以上、70名が、ほぼ正式の確定数)今回の特徴は、NPO法人日F会議の共催が、県・富山県歯科医師会・高岡市歯科医師会の後援を獲得したことと、富山医科薬科大学の保健医学の教授を基調講演に招くことができたことの大きく2点があげられます。
それに付随して、日本むし歯予防フッ素推進会議副会長の山内先生の挨拶で、組織をPRできたこと、今回の後援に富山県歯科医師会を獲得して、現役員の16名のうち4名が出席したこと(もともと3名は関係者ですが・・・)など、今後の展開に幅を持たせることが可能になってきました。
それから、「おおきな輪」製作のエプロンもデビューしました。
こちらはスタッフに評判でした。(And You (あゆ) の会のゼッケンが最近不評?)
また、今回も県外石川県からの参加を得ました。

マスコミ関係者も、富山新聞高岡支社田中記者の取材がありました。また、同じく読売新聞高岡支局の中野記者の取材もありました。
【新聞取材の2紙の内容を報告します。】

2003年5月26日(月)富山新聞「ほっと富山欄」 「むし歯予防へ フッ素利用を 高岡

 富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク(あゆの会)の今年度総会・講演会は25日、高岡市の高岡テクノドームで開かれ、歯科医師や歯科衛生士ら参加者はフッ素の効用に理解を深めた。
 県厚生部健康課竹内智子主幹が「県民歯の健康プラン」と題して講演し、基調講演では、鏡森定信富山医薬大医学部教授が「健康長寿と公衆衛生の果たす役割」をテーマに講演した。
 特別講演では、佐久間汐子新潟大学歯学部付属病院講師が「むし歯予防と適切なフッ化物応用」と題して、フッ素の効用を説明した。この後、同会の山本武夫代表が司会を務め、鏡森教授、佐久間講師を火事得て質疑応答や意見を交換した。」
【富山新聞高岡支社報道部 田中雅之記者】 


2003年5月26日(月)読売新聞「読売富山版」 「虫歯予防に効果 フッ素利用訴え  高岡・市民団体総会

 県民の歯や口内の健康推進を目指す市民団体「富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク」(通称・And You の会)の今年度総会が25日、高岡市二塚の高岡テクノドームで行われた。
 同会は、虫歯の予防に効果があるとされるフッ素の普及を目指し、県内の歯科医師らを中心に2001年5月に発足。県内各地で街灯キャンペーンなどの活動を展開している。
 総会に併せて講演会も行われ、県内外の専門家が「健康長寿と公衆衛生の果たす役割」や「むし歯予防と適切なフッ化物応用」などのテーマで、身近な歯の健康について熱弁を振るった。」
【読売新聞高岡支局 中野記者】