第46回富山県中学校剣道選手権大会(県西部体育センター)
 平成20年7月19日(個人戦)20日(団体戦) 

 今年の県選は、8月地元開催(会場も同じ)の全中大会に照準を合わせた大会運営になった。1日目を個人戦、2日目を団体戦という、選手にとっては恵まれた形式となった。
 初日の個人戦では、全中出場枠が4名のため、準決勝出場が大きなヤマ場となった。男子は、まず1の山で、末上選手と田中選手の堀川中勢が順当に勝ちあがり、田中選手が胴1本勝ち。2の山では、2回戦で優勝候補の岡野選手(堀川中)を破った小柄の篠原天馬選手(井波中)が、今大会屈指の巨漢、冨居選手魚津東部中)に対戦、小学生時代から手の内を知り尽くす相手に苦戦、面2本負けし、無念の涙。3の山では、高岡地区1位の矢野選手(新湊西部中)を下した五十嵐選手(速星中)と、強豪寺部選手(堀川中)を倒すのに全精力を使った松田尚之選手(井波中)を落ち着いて退けた木倉選手(雄山中)とが対戦し、木倉選手の面1本勝ち。4の山では、危なげなく勝ち進んだ大河選手(速星中)が、同僚の若林選手(速星中)を下した吉田選手(志貴野中)を面小手の2本勝ち。北信越出場決定戦は、末上選手が篠原選手に小手1本勝ち、また、五十嵐選手が吉田選手に面1本勝ちした。準決勝では、田中選手が冨居選手に面1本勝ちし、大河選手が木倉選手に面1本勝ちし、決勝へ進んだ。決勝は、大河選手が田中選手を面1本勝ちで下し、念願の県大会初優勝を飾った。

 女子個人戦は、1の山で、久木田選手(呉羽中)を小手2本勝ちで破った古川奈穂選手(小杉南中)が順当に全中出場を決めた。先日のスポ少大会事務登録ミスで出場できなかった無念を晴らした。2の山では、高瀬美咲選手(三成中)が伸張著しい鈴木選手(小杉中)を胴1本勝ちで危なげなく下し、3の山では、山本麻紗子選手(井波中)が、県スポ少2位の大郷選手(堀川中)を延長小手1本勝ちした岩倉選手(大門中)に落ち着いて面1本勝ちし、二人とも2年生での全中出場を決めた。4の山では、県スポ少1位の藤村選手が石井和選手(福光中)に延長で面1本で破れ、その石井選手は故障が再発した次の広田選手(入善西中)に破れた。一方、2回戦で、昨年、県選抜の覇者山田千菜都選手(井波中)を面1本勝ちで下した、佐々木南歩選手(大門中)は、そのままの勢いで広田選手を圧倒、面1本勝ちし、全中出場を決めた。佐々木選手もスポ少大会欠場の無念をここで晴らした。北信越代表決定戦は、久木田選手が鈴木選手に胴1本勝ち、広田選手が岩倉選手に胴1本勝ちした。準決勝は、佐々木選手が山本選手に対し、斉藤弥九郎大会と戦い方を変え、じっくり相手を見る戦法にし、中盤の一瞬の隙をついて面1本勝ちし、雪辱した。高瀬選手は、春の錬成大会・県スポ少大会での不完全燃焼を一気に晴らすかのごとく、古川選手と対戦、一進一退の延長戦となったが、古川選手の技の切れた一瞬、面1本勝ちした。古川選手にしては、公式戦で余り顔をあわせていないだけにやりにくい相手だったようで、残念ながら、決勝進出はならなかった。決勝戦は、疲れの見えた高瀬選手に対し、元々実力的には技もスピードもあったものの頂点に立ったことの無かった佐々木選手は、一方的に攻め、面2本勝ちし、県大会初優勝を飾った。結果的には、3年生として勢いに乗る佐々木選手の活躍が目立った大会となった。
 全中・北信越に出場する選手諸君は、決して、びびることなく、一生懸命に、全国の強豪と戦ってほしい

【個人成績一覧】
 男子 @大河 A田中 B木倉 C冨居(以上、富山全中出場) D末上 E五十嵐(以上、羽咋北信越出場) F篠原、吉田
 女子 @佐々木 A高瀬 B古川 C山本(以上、富山全中出場) D久木田 E広田(以上、羽咋北信越出場) F鈴木、岩倉 
 2日目の団体戦は、4チームによる予選リーグで、2チームが決勝トーナメント(決勝リーグ進出決定戦)に進出し、決勝リーグは、4チームで順位を決める。2チームが全中出場、3チームが北信越に出場できる。今年は、開催地枠で男女それぞれ2チームが全中富山大会に出場できるため、例年とは違う実力校を2校選ぶための試合形式となった。
 男子予選は、Aゾーン(堀川・小杉南・出町・鷹施)では、堀川(富山地区1位)が圧勝で1位、出町(砺波地区3位)が2位で決勝進出。Bゾーン(雄山・庄西・大門・藤ノ木)では、庄西を除く3校が拮抗、雄山(新川地区1位)が藤ノ木(富山地区4位)に引き分けたのが痛く、届かず、藤ノ木1位、大門(高岡地区3位)2位で、決勝進出。Cゾーン(井波・滑川・附属・射北)では、井波(砺波地区1位)が順当に勝ち1位、附属(富山地区3位)が2位で、決勝進出。Dゾーン(小杉・速星・魚津西部・福野)では、速星(富山地区2位)が圧勝で1位、小杉(高岡地区1位)が、順当に2位で決勝進出。決勝トーナメントは、堀川(A1位)が、大門(B2位)に圧勝。藤ノ木(B1位)は出町(A2位)に苦杯。井波(C1位)は小杉(D2位)に順当勝ち、速星(D1位)は附属(C2位)に完勝。決勝リーグは、順当に井波と出町に2勝づつをあげて全中出場を決めていた堀川と速星が3戦目に対決。接戦を制した速星が地区選の雪辱を果たし、嬉しい優勝、堀川とともに全中出場を果たした。3位決定戦となった井波対出町の砺波地区勢の対戦は、井波が順当勝ちして、北信越進出を決めた。男子は、雄山の早々の敗退が予想外の結果。全中大会運営を指揮する牧勇人先生が早くから強化を図った堀川中やスポ少で鍛え上げたチームワークを誇る旧婦中町速星中が、期待通り全中出場を決めた。
 一方女子予選は、Aゾーン(庄西・高志野・小杉南・奥田)では、小杉南(高岡地区3位)が庄西(砺波地区1位)に勝ち数差1で競り勝ち1位。Bゾーン(三成・小杉・滑川・庄川)では、三成(富山地区1位)が小杉(高岡地区2位)に本数差1で競り勝ち1位。Cゾーン(大門・附属・出町・桜井)では、付属(富山地区2位)がしぶとくどの試合も僅少差で勝ち1位。大門(高岡地区1位)は、出町(砺波地区3位)に勝点で並んだが、勝者数で上回り2位。Dゾーン(入善西・井波・堀川・西條)では、井波(砺波地区2位)と堀川(富山地区3位)が初戦で分け、後は2勝づつをあげ、全くの互角。勝者数で上回った井波が1位。決勝トーナメントは、小杉南(A1位)が小杉(B2位)に地区選の雪辱を果たし、辛勝。三成(B1位)は庄西(A2位)に、大将高瀬選手の前決着をつけ、競り勝ち。附属(C1位)は堀川(D2位)に新人を配する大将戦前に負け。井波(D1位)は大門(C2位)に同じく大将戦前に勝ちを収めた。
 女子の決勝リーグは、全く展開が読めない決戦となった。おそらく、中学校剣道史上に残る微妙な綾が運命を分けてしまった。全中出場がかかった大事な場面だっただけに、その後の展開が大きく変えられた可能性は否定できない。後から振り返るとき、その一瞬が語られる事があるかもしれない。
 初戦の小杉南対庄西は予選リーグと同じく小杉南が4−1で先勝。堀川対井波は予選リーグ初戦と同じ対戦で、大将戦まで互角に進めたが、大将戦も延長で引き分けかと思われた終了間際に堀川・板野選手の面が井波・水口選手を捕らえ面1本勝ち。2選目は、堀川が小杉南に3−2で勝ち、全中出場権を物にした。庄西対井波は、砺波地区戦の雪辱を果たした井波が庄西を4−1で圧倒し、全中に望みをつないだ。3戦目は、事実上、1勝同志の小杉南対井波の勝者が全中出場権を得るシビアな戦いが始まった。それまでの戦い方からしてどっちに転んでもおかしくない展開だった。先鋒戦で事件が起こった。小杉南・五十嵐選手に対し、井波・山田選手は優勢に進めるも決定打が無く、延長戦必死と思われた。案の定、審判から、「延長」の声がかかって10秒過ぎ、山田選手の抜き胴が炸裂、白旗3本が上がった。井波の観客席から大拍手が巻き起こった。しかし、時計掲示から、何らかの伝言が審判になされた。つまり、さっきの延長初めは、すでに延長時間を終了していたということらしく、会場審判長や主審が大会本部に行き、説明し、井波中の監督に説明。つまり、先ほどの胴は延長時間終了後だったとして、取り消しの判断を了解させられた模様。観客席では、主審のコールをきいて、小杉南の観客席は、勝ったかのごとく、会場全体に響くような大歓声。井波側は、不満の声。(小生のような野球少年は、ピッチャーの投げた球をホームランして覆る事はないだけに、また、テニスの試合で、サーブされた球は、主審がインプレーを宣言した後は、どんなときでも有効なはず・・・とっても剣道に対し、疑問を思った瞬間であった)。その後は、次鋒で井波山田晴選手が先制するも逆転され、中堅山本選手が2本勝ちして再度勢いを井波に取り返すも、副将図所選手が先制し、もう一本取れば勝利という優位にまで立ったが、ここにも勝負の綾があり、そのまま分ければ代表戦の可能性もあった延長戦突入前に、面1本を返され、このまま延長戦に、今度は小杉南・水木選手が延長を優位に進め、大将戦につながれた。井波中としては、残念ながらこの時点で万事休す。オーダーの都合で、1年生大将・水口選手が、個人戦3位の小杉南の大将・古川奈穂選手に叶うわけは無く、あっさり2本負けして、小杉中の全中出場が決まった。ところで、不思議は連鎖するらしく、隣の会場では、2勝の堀川が、全中出場を決め安心した所為か、庄西に4−1で敗れていたため、小杉南の優勝、堀川の2位が決まった。この時点で、3位は、井波か庄西かわからず、北信越出場権は、不明であった。(後の掲示板で井波の3位を確認し、ほっとした)

【団体成績】
男子 @速星 A堀川 (以上、全中富山大会出場) B井波 (以上、羽咋北信越大会出場) C出町 
女子 @小杉南 A堀川 (以上、全中富山大会出場) B井波 (以上、羽咋北信越大会出場) C庄西


 勝負に、もし、や、たら、はないが、あの時、山田千菜都選手の胴が認められていたら、勝負はどっちに転んだかわからなかった。それでも代表戦だけでもできたかもしれなかった。すんだことは仕方ないが、子供達がずっと練習してきて頑張ったきたのだから、それに、報いるような環境を与えてやりたいものである。井波中女子よ、悔しいだろうが、この悔しさをバネに来年は全中目指して頑張ってほしい。(胴上げを目の前で見せられた選手達が、翌年は奮起して優勝を飾るという事はよく聞く話である。)
 せめてもの報いは、北信越に出場できた事。そして、終わっても、勝った小杉南や堀川の選手達を称えていた事、これは、君達の誇りである。
 来年に向けて、また、精進をしてほしい。北信越でいい経験をつんできてもらいたい。(山本武夫)
井波中成績
 個人男子 松田尚之(砺波地区3位) 2回戦敗退(3位の木倉選手に敗退)
        篠原天馬(砺波地区4位) 準々決勝敗退(3位の冨居選手に敗退)・北信越決定戦で末上選手に破れ7位タイ
        洲崎貴史(砺波地区6位) 1回戦敗退(3位の冨居選手に敗退)
    女子 山本麻紗子(砺波地区1位) 準決勝で敗退(優勝の佐々木南歩選手に敗退)、3位決定戦で、古川奈穂選手に敗退:4位ながら開催地枠4名で全中出場権獲得
        山田千菜都(砺波地区3位) 2回戦敗退(優勝した佐々木南歩選手に敗退)
 団体男子 予選リーグ(井波・滑川・附属・射北)で1位で、決勝トーナメントへ。決勝トーナメントは 小杉に勝ち、決勝リーグへ
        決勝リーグ(堀川・出町・速星・井波)で、1勝2敗で3位:北信越出場権獲得
    女子 予選リーグ(入善西・井波・堀川・西條)で1位、決勝トーナメントへ。決勝トーナメントは 大門に勝ち、決勝リーグへ
        決勝リーグ(小杉南・庄西・堀川・井波)で、1勝2敗で3位:北信越出場権獲得

大会成績表(掲示板より抜粋)

男女個人戦
男子団体 予選リーグ
女子団体 予選リーグ

表彰式の様子


井波中・・・個人対戦成績


大会プログラムより「各ブロック 激闘・熱戦の記録」