And You(あゆ)の会のHP | VOL.1 2001.11.8 発行 富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク 事務局/山本武夫 〒932-0231 富山県東砺波郡井波町山見1134-1 TEL (0763)82-5323 FAX (0763)82-6695 |
むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク:And You(あゆ)の会 の発足にあたって 代表 山本武夫 21世紀が幕開けをして、人々の関心は名前だけより実のあるものに、そして、本当に信頼されるものが何か、見極めようとされつつあります。私達歯科関係者は、ようやく歯を失う最大の原因であるむし歯や歯周病を予防する方法を手に入れかけています。世界の多くの国では、フッ素によるむし歯予防法の発見以来、数多くの基礎研究や社会的応用の実績により、その成果が科学的に証明され、むし歯は完全にコントロールされる疾患になっています。しかし、私達のまわりに、そのような情報はまだまだ少なく一般市民の知るところとなっていません。 国や日本歯科医師会は8020運動を進めており、「健康日本21」でも、国民の目標に挙げています。それらすべての出発点は歯を健康に保つ、つまり、むし歯にならないように予防をしっかりすることです。 そんな中で私達、志を同じくする仲間は、今、「富山県歯の健康プラン」を、市民レベルで支持し、県民の歯・口腔の健康の確保に努め、全身の健康の保持増進に寄与するために活動をすることを目的として、富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク(And You《あゆ》の会)を組織しました。 私達は、国民あるいは県民全体が正しい知識を持ち、優れた方法で健康である政策が進められるよう努力したいと考えています。そのためには、正しい情報を的確に提供し、県内に現在行われているフッ素洗口やフッ素塗布の局所応用はもちろん、特に公衆衛生的に最も優れた水道水フッ素濃度調整法をも含めフッ化物の応用を広めようとするものです。 幸い、日本歯科医学会でも、フッ化物検討部会の「むし歯予防のためのフッ化物推進」の答申を受けて、厚生省(現:厚生労働省)や日本歯科医師会が、従来の方針を改め、住民の合意と地元歯科医師会の支持という条件付ではありますが、水道水フッ素濃度適正化を容認しました。そうした中、沖縄県の久米島の具志川村は厚生労働省の支援を受け、現在準備中です。県内でも実施を検討する自治体が表れました。素晴らしいことだと考えております。 最後に、是非、私達のこの活動にご理解頂き、諸外国では常識となっている、むし歯は過去の病気であるといえる世界を実現するために、ご協力をお願いいたします。子供から高齢者まですべての人の歯の健康を守り、皆さんが自分の歯でしっかり噛めて、おいしく物を頂き健康である社会を実現しましょう。 |
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And You(あゆ)の会発会式
富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク、通称「And You(あゆ)の会」の発会式・記念講演会は、平成13年5月27日(日)午後1時30分より、井波町社会福祉センターにて開催されました。県外からの参加もあり,100名を越す歯科医や保健関係者の参加を得ました。
発起人の神田純郎先生の司会で開会され、発会式は山本武夫発起人代表挨拶の後、山田正治井波町教育長の来賓挨拶を頂きました。続いて、以下の事例報告と記念講演がありました。
*事例報告
日本大学松戸歯学部衛生学講座教授小林清吾先生
記念講演(座長 山本武夫)は小林清吾先生が90分に亘り、幅広くフッ化物応用について話され、特に国際的な全身応用法,水道水フッ素濃度適正化については、問題点を明確にして今後の国内での実施に向けた解決策を詳しく話されました。
質疑応答・意見交換では,会場から熱心な質問や,利賀村平田課長の韓国視察の感想など,また,And You(あゆ)の会の顧問,古田勲富山医科薬科大教授のコメントも頂き,熱気あふれる内に閉会となりました。
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(記念講演抄録)
「健康はみんなの願い―人類の英知:ウォーター・フルオリデーション」
日本大学松戸歯学部教授 小林清吾先生
世界では,多くの国が歯科保健医療の中に予防の大切さが理解され、それが重点となる政策が進められています。ようやく日本でも必要性が問われて,国や県の指針にも謳われ出してきました。しかし,どのように進めたらいいのかまだまだ,手探りの状態です。今回は,And You(あゆ)の会発会に際し、子供達や高齢者の人達まで含めて,むし歯予防に学校が,社会が何をすべきかを以下のように順に一緒に考えてみます。
日本歯科医師会や厚生労働省のリードにより8020運動が進められており,これは国民の歯の寿命を延ばそうとする運動です。この運動の確かな実績を得るための基本方策として、ウォーター・フルオリデーションの一日も早い実現を訴えます。現在わが国ではまだ1ヵ所も実施していませんが,1999年日本歯科医学会より,また,2000年には厚生労働省,日本歯科医師会からもフッ化物応用推進の表明がなされたことから、今後近いうちにウォーター・フルオリデーションが実現されるものと期待されます。
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And You(あゆ)の会の入会時のメッセージ
And You(あゆ)の会の発足にあたって (K.Y) And You(あゆ)の会の発足にあたり、賛同する一人として、一言述べさせていただきます。 私は、昭和53年10月から県内で初めて、魚津市立道下保育園で4歳以上の園児を対象にフッ素洗口を始めました。最初は、皆さんのご理解が得られず大変苦労しました。富山県出身で新潟大学歯学部予防歯科学教室の石上和男先生の度重なる指導を得て、ようやく実現しました。その子供達が小学校に上がっていき、昭和55年7月から魚津市立道下小学校でもフッ素洗口を開始しました。その結果、昭和55年の開始前に1人平均1.92本あったむし歯が、昭和60年には1.36本に減ってきました。当時は、その数字の意味を理解してくれる歯科医も少なく、フッ素洗口の素晴らしさを広めるために、県の学校歯科医会で、何度か、フッ化物推進の講演を企画してもらいました。 今は、「富山県歯の健康プラン」で推進され、市町村に補助金もつき、平成12年3月現在で、ようやく90施設約13000名の子供達がフッ素洗口を受けるまでになりました。 あの当時の苦労から見ると、ここまで多くの施設が行うようになってきたことが夢のように思われます。しかし、私の20年前の苦労と同じことを今なお、いくつかの市町村や学校でされていると聞きます。このAnd You(あゆ)の会は、そういうところへも、経験を生かして情報の提供など支援されることでしょう。 フッ素洗口も、水道水フッ素濃度調整法も同じでないでしょうか。初めて行うのは本当に大変です。あの当時は、フッ素添加は出来ないと思われていましたので、その当時のベストな方法でむし歯予防を考えました。今は、乳幼児だけでなく、成人や高齢者・心身障害(児)者など、給水を受けるすべての住民の方に、安全で、効果的で、公平で、経済的で、簡単な公衆衛生的に優れた水道水フッ素濃度調整法を、是非進めるべきでしょう。 |
発会にあたって、And You(あゆ)の会への期待 (J.S) 娘が幼い頃、乳歯20本のほとんどをむし歯にさせてしまい、永久歯は私の面子にかけても守らねば……と取り組んだのがフッ素洗口です。娘が保育園の年長組の時から約15年間続けました。お蔭で30歳になる娘は、未だむし歯0です。歯をむし歯から守れるのは、フッ素以外にない!と思っております。フッ素の恩恵を受けた者としてはもっともっと広がって欲しいものだと痛感しております。And You(あゆ)の会に大いに期待しております。がんばってくださいませ。 |
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≪知識編≫
「フッ素ってな〜に」
フッ素は自然界のあらゆるものの中に存在しています。私達は太古の昔から,毎日フッ素を食べたり飲んだりしてきました。フッ素は,私達の骨や歯の健康にとって大切な自然からの賜物なのです。
フッ素は,むし歯予防に貢献する最良の微量元素です。フッ素は口の中(主に口腔粘膜表面や歯垢中)に貯蔵されています。私達が飲食する度に口の中のpHが下がり(酸性に傾く)、エナメル質が溶け出します(脱灰)。しかし,それと同時に歯垢中からフッ素が飛び出して、@脱灰の抑制A唾液の再石灰化促進作用でむし歯を予防します。フッ素はとても大切な働きを果たしているのです。
「フッ素の利用は世界の常識です」
フッ素の大切さを知ったアメリカでは,1945年に水道水フッ素濃度適正化が開始されました。水道水のフッ素添加は,天然のフッ素地域の濃度から学んだむし歯予防に有効な水道のフッ素濃度を方法です。
その有効性,安全性の観点から水道水フッ素濃度適正化は,1969年以来、3回WHO総会で推進決議が採択されています。国際歯科連盟(FDI)など,世界の多くの専門機関や,わが国でも厚生労働省,日本歯科医師会や日本歯科医学会などの関係団体も賛成表明しています。
(アメリカ.オーストラリア.シンガポール,韓国など)
(スイス,フランス,コロンビアなど)
(欧米を中心に多数の国々)
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「現在わが国では」
水道水フッ素添加、食塩フッ素添加,フッ素錠剤やフッ素液剤の全身的なフッ素利用は,広く世界中で実施されています。日本でも,ようやく沖縄でも水道水フッ素添加の実施に向け準備中です。
今まで正しい情報の不足から実施に至りませんでしたが,私達は今後、正しい情報の提供を行い,水道水フッ素添加の実現に努力いたします。また、水道水フッ素添加と併せ,以下の局所応用も推奨いたします。
「フッ素洗口の安全性」
幼稚園,保育園で毎日一回フッ素洗口(225ppmF、7mlを用いた場合)をすると,その洗口液一回量には,約1.6mgのフッ素量が含まれます。わが国の4,5歳児を対象に洗口後の口の中に残るフッ素量を調べるとおよそ11〜12%(約0.2mg)で、これはお茶(200ml)の1〜2杯分に相当します.なお.アメリカでは3〜6歳児における飲食物以外から摂取する一日に必要なフッ素量として0.5mgが推奨されており,その量のおよそ半分にすぎません。
「世界ではむし歯は過去の病気に」
水道水フッ素添加を中心とした公衆衛生的なフッ素利用のおかげで,先進国(日本を除く)ではむし歯が著しく減少してきました。
「歯磨きと甘味(砂糖)制限の限界」
わが国では歯磨きと砂糖制限が強調されてきましたが,思うほどの効果がありませんでした。何故でしょうか。歯の咬合面の溝は、歯ブラシの毛先よりも細くて深く、歯ブラシでは溝の奥まで毛先が届かず、清掃ができません。また欧米諸国では.年間1人平均の砂糖消費量が35〜50kgと日本の(約20kg)の2倍なのですが,むし歯は少ないのです。それは,公衆衛生的なフッ素利用のおかげなのです。
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![]() 期日:2001年11月8日(いい歯の日)午後1時半より 場所:ジャスコ砺波店 目的:むし歯予防のために,フッ化物の利用を広く、一般の人にも理解してもらう為,公共の場でチラシを配ったり,アンケートをしたりして関心を高める。 |
トピックス@ 国産フルオリデーション装置
And You(あゆ)の会発会式に来ていただいた,日大松戸の小林教授のところで開発中の国産フルオリデーション装置が完成し,順調に運転しています。 これは,装置としては,300人ぐらいから4‐5000人くらいの規模の浄水場に使用可能なものです。利賀村にも応用可能な機械です。 |
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トピックスA 『名古屋宣言』
2001年9月30日名古屋での第50回日本口腔衛生学会シンポジウム
(シンポジウム宣言とも言うべく提案、司会高江州座長)『名古屋宣言』
「わが国における水道水フッ化物添加法の学術的支援」 わが国におけるう蝕(むし歯)は、近年減少傾向にはありますが、欧米先進諸国に比べて依然として高い有病状況にあります。しかも、わが国の口腔保健指標のーつであります8020目標達成には、疫学的見地から一層のう蝕予防の推進が強く望まれるところであります。 日本口腔衛生学会は、従来からわが国の歯科保健対策に多くの実績を挙げてきましたが、WHO(世界保健機関)の推奨するフッ化物応用については、現在、水道水フッ化物添加法以外のフッ化物局所応用(フッ化物歯面塗布法、フッ化物洗口法、市販フッ化物配台歯磨剤)が漸次的に普及している状況にあります。しかしながら、生涯を通した歯質の強化と健康な歯列の保持のためには、水道水フッ化物添加法が生命科学の基盤に即した予防方法であり、公衆衛生的施策としても永年の幾多の疫学的検証に基づいて世界の多くの国々で実施されてきております。 水道水フッ化物添加法の生命科学的根拠とその実証性の実績を要約しますと、以下の通りであります。 1.フッ素は、健康に有益な生体必須微量元素である。 2.水道水フッ化物添加法は、歯の形成期から歯質を強め、生涯を通して口腔の生体環境の健全性を維持する有効性が実証されている。 3.水道水フッ化物添加法は、多数の医学専門機関が認めている最も安全な予防方策である。 4.水道水フッ化物添加法は、効果の公平性、経済性かつ簡便性など公衆衛生的特性に優れた予防方策である。 5.水道水フッ化物添加法は、WHOをはじめ国際的に広く推奨されている地域保健政策である。 本学会は、1972年に日本歯科医師会の「弗化物に対する基本的な見解」を支持し、水道水フッ化物添加法の推進を表明しました。さらに1982 年には「う蝕予防プログラムのためのフッ化物応用に対する見解」を示し、 1984年にこの見解を日本口腔衛生学会として歯科衛生主管部局長宛に通知しております。その後、 1999年に答申された日本歯科医学会による「フッ化物応用による総合的な見解」において、水道水フッ化物添加法が優れた公衆衛生施策として表明されております。また 2000年11月、厚生省(現厚生労働省)は水道水フッ化物添加法について市町村からの要請があった場合、技術支援をすることを表明しています。 これらの経緯によって、日本歯科医師会は厚生労働省の見解を支持し、水道水フッ化物添加法の効果、安全性を認め、実施にあたっては、地域歯科医師会、関連専門団体や地域住民の合意形成が必要との主旨を表示しております。 わが国における地域保健法の制定(1994年)以来、地域住民の立場を重視した新たな地域保健政策が地方自治体の主体性進展として期待されています。このような背景にあって、水道水フッ化物添加法は最近の各種報道にもみられますように、社会的関心が高まってきています。 ここに、21世紀のわが国における口腔保健の向上を図るため、日本口腔衛生学会は水道水フッ化物添加法を推奨し、地方自治体の保健政策としての推進に関連専門学会として学術的に支援することを表明します。 平成13年9月30日 日本口腔衛生学会 |
トピックスB 2001年10月16日 読売新聞朝刊3面 総合欄
30年ぶりに国内でも水道水フッ化物添加に向け、沖縄県・具志川村は沖縄県歯科医師会や沖縄県の支援を取りつけ,実施に向けて準備中です。全国紙で掲載され、もはや完全に全国に認知されました。
水道水へのフッ素添加来年度にも 沖縄・具志川村 虫歯予防に効果があるとされる水道水へのフッ素添加を、沖縄県具志川村が来年度にも実施する方針を決めた。厚生労働省に技術支援を要請し、同省も具体的な検討を始めた。 フッ素は歯から溶けだしたカルシウムが再び歯に戻るのを促す作用がある。水道水へのフッ素添加は、米国など約60か国で行われているが、現在、国内で実施している自治体はない。 同省は、水質基準の0・8ppm(1リットル中0・8ミリ・グラム)の範囲内ならば、水道水にフッ素の添加を認める見解を出している。技術支援の条件として、地元の歯科医師会と都道府県の同意を求めている。 |
(資料)Health Promotion の3つの”つくり” |
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「And You(あゆ)の会の趣旨」
「富山県歯の健康プラン」を、市民レベルで支持し,県民の歯・口腔の健康の確保に努め,全身の健康の保持増進に寄与するために活動することを目的として組織いたします。
国や日本歯科医師会は8020運動を進めており、「健康日本21」で国民の目標を挙げています。それらすべての出発点は歯を健康に保つ,つまり,むし歯にならないように予防をしっかりすることです。
私達は。国民全体が正しい知識を持ち,優れた方法で健康である政策が進められるよう努力します。特に,公衆衛生的に優れた水道水フッ素濃度適正化をはじめとするフッ化物の利用を広めようとするものです。是非,私達のこの活動をご理解頂き、諸外国では常識となっているむし歯は過去の病気である世界を実現するために,ご協力をお願いいたします。
And You(あゆ)の会 活動計画
「(事務局)入会の申し込みはこちらにお願いします」 〒932―0231 富山県東砺波郡井波町山見1134―1 山本武夫歯科医院 TEL 0763―82―5323 FAX 0763―82―6695 E-mail: info@f-take.com
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