【参考資料3】

米国CDC・Mass口腔保健部長から寄せられた手紙の和訳

拝啓、花田博士

 この手紙はアメリカ合衆国での水道水フッ化物添加政策についてあなたの最近の質問への回答です。日本の数ヶ所の地方自治体が厚生労働省の支援を受けて、その地域の市民にフッ化物が添加された水道水を供給する計画があるとお聞きしましたが、それは大変喜ばしいことです。

 2002年1月15日に東京医科歯科大学で行われた私の講義の後、水道水へのフッ化物添加に関して米国公衆衛生サービス政策になんら変更はありません。しかしながら米国疾病管理予防センター(CDC)が、アメリカでう蝕を防ぎコントロールするためにフッ化物を使用することについての私たちの推奨を2001年8月のMMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)に出してから、いくつかの付加的情報が出版されていますのであなたにそれを差し上げます。
   http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5014a1.htm

 CDCの研究者の出した2つの調査分析結果によると、米国では、地域水道水フッ化物添加によるう蝕予防によって、コミュニティーの大きさに依存しますが、およそ16〜19ドルの一人当たり年間歯科医療費が節減されていることが示されました(An Economic Evaluation of community Water Fluoridation - Griffin SO, Jones K, Tomar SL, Journal of Public Health Dentistry pp. 78-86, 2001)。この歯科医療費の削減効果は、う蝕有病者率が既に低い地域でも実証する事ができます。さらに、別の研究では、私たちが「ハロー効果」あるいは「拡散効果」のためにフッ化物添加の利点を現実に過小評価していたかもしれないことを実証しました。それによって、フッ化物が添加された地域以外の人々に対してフッ化物添加地域で収穫された食物と飲料水の消費による利益があることも染まされました(Quantifying the Diffused Benefit From Water Fluoridation in the United States- rriffin SO, Gooth BF, Lockwood SA., Tomar SL.. Community Dent Oral Epidemiol. 2001;29:120-129)。

 2001年11月に、CDCは、口腔保健の向上に必要な地域水道水フッ化物添加および他の選択されました介入方法の有効性を示す科学的な証拠のシステマティックレビューの要約を出版しました。このレビューは、独立した非政府タスクフォース(対策委員会)によって行われ、フッ化物添加がう蝕予防に有効であることを確認しました。この調査に基づいて、タスクフォースは、地域の中のう蝕を防ぐかコントロールするための包括的戦略の一部として地域水道水フッ化物添加が含まれているという強い推奨を出しました。2002年7月には口腔保健の推進する介入策に関するタスクフォースの推奨とこれを支持する根拠に関する報告書の全文(full report)がAmerican Journal of Preventive Medicine の増刊号として出版される予定です。Guide to Community Preventive Servicesに関するより詳細な情報(様々な情報源および関連文献のリンクも含めて)は下記サイトから利用可能です。
    http://www.thecommunityguide.org
   http://www.thecommunityguide.org/home_f.html

 私たちは、すべての米国市民の75%が公共水道システムによってフッ化物添加水の利益を受けるという2010年の米国の健康目標の達成に向けて前進し続けます。私たちCDCによる地域水道水フッ化物添加レポートシステム(WFRS)に関する2002年2月の報告書では、このゴールの達成に向かってフッ化物添加水の利益を受ける人数が増加する傾向が傾向を示しています。米国では、1992年の1億4400万人(62.1%)と比較して、2002年には1億6200万人(全人口の65.8%)が、公共水道システムによって適正濃度のフッ化物供給を受けました。私たちはこの予防政策を持続的に強く支援している証拠だと見ています。
   http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtm/mm5107a2.htm

 花田博士、2001年12月に米国の公衆衛生長官によって発表された声明の部分は繰り返しによりこの手紙を終えさせてください。「米国疾病管理予防センター(CDC)は、飲料水のフッ化物添加を20世紀の10の大きな公衆衛生業績のうち1つと認めました。水道水フッ化物添加は、う蝕、学校と仕事の時間の損失をすくなくし、およびう蝕の修復、除去ないし再修復に費やすコストを減少させ、う蝕に関する苦痛を減少させることを通じて米国のクオリティー・オブ・ライフを向上させました。フッ化物添加は子供から成人の両方のために、う蝕を防ぎ、かつ一生の口腔保健を推進する単一の最も有効な公衆衛生手段です。」
   http://www.cdc.gov/Oralhealth/factsheets/fl-surgeon2001.htm

私たちは、地域水道水フッ化物添加がう蝕を防ぐ安全で有効で、安い方法であると信じます。おそらくその最も大きな有用性は、すべての世代、公衆衛生プログラムを供給する事が困難な人々を含むすべての社会系経済的立場の人々、あるいは歯科診療をうけることが困難な人々に利益を与えることです。

 私は、この手紙の中で参照した部分の文書を同封しました。私はあなたの成功を祈り、あなたの努力と市民の口腔保健を推進するために働いている日本のリーダーたちを賞賛します。
 
敬具


ウィリアム R. マース(Willam R. Mass)
 CDC(米国疾病管理予防センター)・口腔保健部長
 慢性疾患の予防と健康管理のためのナショナルセンター(National Center for chronic Disease Prevention and Health Promotion)