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  Fact Sheet"Dental Caries"

原文 http://www.cdc.gov/OralHealth/factsheets/dental_caries.htm

う蝕予防

現状

う蝕(むし歯)は大部分が予防可能ですが、依然として5-17歳の子供たちの最も一般的な慢性疾患であり、喘息の5倍に相当します(喘息11%に対しむし歯59%)

以前確立されたように、(明らかな実質欠損のある)むし歯には治療が必要です。むし歯の穴は大きくなり、放置すれば、治療が長引き治療費も高くかかります。

メディケイド(政府管掌貧困者保険制度)がカバーしている子供のうち、この1年に少なくとも1つの予防歯科サービスを受けた子供は5人中1人にも満たない。多くの州はメディケイド被保険者である大人に緊急歯科サービスを提供しているだけです。

経済的に恵まれない子供は、裕福な家庭の子供より歯科関連疾患が多いために、日常活動を12倍近くも制限されています。未処置のむし歯にいる痛みに起因して、食事、会話、勉強の取り組みなどに伴う諸問題を引き起こしています。

また、多くの大人も未処置のむし歯を持っています(例えば35-44歳の27%、および65歳以上の30%がむし歯を放置しています)

地域戦略がむし歯を防ぎます

地域水道水フッ化物調整(地域水道水フロリデーション)

水道水フロリデーションは20世紀の10公衆衛生業績の1つに挙げられています。

水道水フロリデーションは、様々なう蝕有病率を有する各地域のむし歯を有効に予防します。水道水フロリデーションを行っている地域の子供のむし歯は29%少ない。

現在、公共水道水を利用している66%、16200万人以上が、地域水道水フロリデーションの恩恵を受けています。

学校でのシーラント・プログラム

子供の場合、う蝕の90%が小窩裂溝に生じます。学校でのシーラント・プログラムに参画した子供たちでは、処置後25年後までに臼歯咬合面の小窩裂溝に新生のむし歯ができる割合は60%少ない。

学校でのシーラント・プログラムでは、通常では歯科処置を受けることが困難な子供たち(例えば低収入世帯の子供たち)にシーラント処置を行います。人種的民族的にマイノリティグループの子供は約3倍の未処置歯のむし歯ならびに喪失歯を持っています。しかし、シーラント処置を受ける可能性のある子供は対象児の約3分の1にすぎません。

29州で193,000人の子供たちがルシーラント・プログラムを受けたと報告されていますが、この数はシーラントを受けるべき社会的に恵まれない子供たちの約3%にすぎません。

ヘルシーピープル2010Healthy People 2010)の目的

成人のう蝕に対するヘルシーピープル2010の目標はありません; 1本以上の天然歯を持つ成人の94%はむし歯を経験しています。

出典:U.S. Department of Health and Human Services. ヘルシーピープル2010 volU 2 Washington DC: U.S. Government Printing Office, 2000:21-11 21-15

むし歯予防の地域戦略はお金を節約します

水道水フロリデーションにかかる費用1ドルごとに、地域のサイズによって7ドルから42ドルの歯科の治療費が節約されます。大きな地域ほど節約できる金額は大きくなります。

1990年以降、米国の公共水道水利用人口の少なくとも60%はフッ化物調整された水を利用しています。これを節約された歯科治療費に換算すると、過去十年間で257億ドル以上になります。

学校でのシーラント・プログラムは、低収入世帯の子供たちのような、むし歯に対するハイリスク者に対して行うときには費用の節約になります

有効な戦略

地域と学校の協力は、学校におけるシーラント・プログラムの価値に対して注意を喚起します。200010月に始まったHealthy Smiles for Wisconsin は、CDCが後援し、学校と地域が協力してウィスコンシン州全体の子供たちの口の健康を増進するために州をあげて取り組みました。2000-2001年の学年(スクールイヤー)中に40の新しい地域でのシーラント・プログラムを支援しました。この1年間に、40郡で4,500人以上の子供たちがシーラント処置を受けました。

地域の提携は地域水道水フロリデーションの承認を獲得するためには不可欠です。この十年間、米国のいくつかの大都市では、広範囲の市民連合が水道水フロリデーションの利点について地域住民を教育してきました。カリフォルニア州ロサンジェルスおよびサクラメント、ニューハンプシャー州マンチェスター、ネバダ州ラスベガス、テキサス州サンアントニオ、そしてユタ州ソルトレークシティーなどの大都市で水道水フロリデーションは承認されています。

これからの期待

今日多くのアメリカ人が親の世代よりも著しく良好な口の健康を手にしています。しかし一部の人々(例えば貧しい人々、人種的民族的にマイノリティグループの人々、老人など)は、依然重度のう蝕を持ち、その多くは治療を受けないまま放置されています。

Healthy People 2010は、アメリカ人全員が良好な口の健康を手にするためにも、これらの不均衡を取り除くべく努力をしています。

地域に基づくプログラムは、この目標を達成するために、特に費用効率の良い方法です。例えば、公共水道水利用者のうちまだ水道水フロリデーションが行なわれていない残りの34%にフロリデーションを拡大することで、1年当たり15億ドル以上が節約できるでしょう。むし歯に対するハイリスクの子供たちの50%が学校でのシーラントプラグラムに参加するようになれば、シーラントを受けない場合に比べて半分以上のむし歯が予防でき、また公衆衛生の財源を節約できるでしょう。

オハイオ州のシーラントプログラムの実際

オハイオの学校シーラントプログラムは、ある一都市の単一のデモンストレーション・プログラムとして1984年に始まりました。2000年までに、オハイオ88郡のうち34郡がシーラントプログラムを採用しました。これらのプログラムは、むし歯のリスクが高く、デンタルケアを受けられそうにない子供を対象にしています。

シーラントプログラムの拡大に伴い、デンタルシーラントを受けた8歳児の割合は、州全体で1987-88年の11%から1998-9930%へと着実に増加しました。州全体としてはHealthy People 2010の目標である50%にはまだ足りませんが、シーラントプログラムを行っている学校の子供たちは、この目的を達成あるいは超えています。

 無料あるいは低価格の昼食プログラム受給資格のある子供たちの場合、シーラントプログラムを行っている学校では54%がシーラントを受けています。それに対し同プログラムのない学校では19%です

 メディケイドによってカバーされた子供の場合、シーラントプログラムを行っている学校では58%がシーラントを受けています。それに対し同プログラムのない学校では22%です

 シーラントプログラムを行っている学校では、メディケイドでカバーされている子供がシーラントを受けている割合(58%)が個人歯科保険を使用している子供と同じであり、一般的な不均衡が是正されています

オハイオ・プログラムはシーラントの必要性という一部分にすぎませんが、有効な予防手段を用いた学校プログラムが、むし歯のハイリスク児に対して有効であることを示しています。

(東北大学、志村匡代訳)