Dental Today (2001年1月15日号)

日歯定例記者会見(12月21日)

水道水フッ素添加で見解 一般紙も参加し質問浴びせる

読売新聞,東京新聞,共同通信が例外的に参加して日歯の定例記者会見が開かれた。この日初めて,フッ化物応用(水道水フッ素添加)に関する見解が理事会でまとまり,日本歯科医師会として公にした。

記者「反対している人達に今後,どういう形で理解をもとめていくのか」

岡邦恭副会長「その部分を学術専門団体に求めるには,ちょっと問題があるのではないですか。あなたがおっしゃったのは、厚生省の見解で我々の方向性,其本的考え方はすでに申し上げたとおりで,反対があれば,国が地方自治体行政を進める立場で主体性を持ってジャジするのではないですか。おこがましくもお墨付けを与えるなどということではなく,謙虚に我々の姿勢を申し上げた。そういうことです」

記者「その点で、住民合意の・・・・」

岡副会長が語気を強め発言を遮る。

岡副会長「水道水の添加についてあなた方は、混乱しているから、頭の中がややこしくなる。明確にセパレートにして考えてください。そうしたら整理できるはずですよ.混乱はしない」

記者「そこのところを確認の意味でお聞きします。水道水と他の意味とを別に考えたうえで、有効性,安全性,至便性,経済性に対して、極めて公衆衛生的に優れた方法という認識を持っているのですね.そこで,極めて優れた方法という認識は基本的には,こういういい方法だったら奨めたいという形の考え方であると理解できます。しかし、基本的に住民の合意が前提であるということは確かですが,極めてよい方法と分かっていた時に,積極的にそこのところに関わるのか、それとも住民合意に任せるのかスタンスとしても何もやらないのか,そこまで意見を言っていて住民合意についてはどう関わるのですか」

新井誠四郎常務理事「ただ今ご指摘の,文言につきましては日本歯科医学会の総合的な見解の中にも謳われているわけで、それを踏まえて本会として歯科医学会の立場を尊重する立場でこのような文言をつ使わさせていただいているところです。局所応用については受ける側に選択の余地があるわけですが,水道水は一律供給の立場ですから,昭和50年から53、4年に掛けて高橋晄正先生を頂点とする過激な反対派が地元の市議会,町議会等で大問題となり混乱を招いたところが大きな反省といいますか,経験を持っているわけです。地域の関係者のかたがたのご迷惑になることは,日本歯科医師会としては全く認められないし,考えられないところなので、そこのところのご理解を是非いただきたいと思います。水道水が2本あって1本がフッ化物添加,もう1本には何も入ってなく,どちらかを選べればこのような問題はないわけです」と理解を求めた。

Dental Today の記事は,昨年暮れの一般紙などには書かれてない,記者会見の模様があり,大変興味深く読みました。

厚生省が見解を出した後,追認する形で,日本歯科医師会も見解を出しましたが,専門団体としての責任感は全くなく,むしろいかに責任逃れをするかに,その態度は見て取れます。日本歯科医学会が、国民の口腔保健のための健康政策に,水道水フッ素添加を含めたフッ化物の応用が、日本は大変遅れており,関係機関が今後,一致して推進するよう、提唱しているのです。日本歯科医師会は全面的にこれを支持するといっているのに、この執行部発言ですから、マスコミとしては突っ込まざるを得ないわけです。それにしても,要領の得ない,言いかえれば,いつまでも,国民から言わせると煮え切らない発言に映るのでしょう。

依然として,高橋某などという亡霊に振りまわされ、論破しようという意図が全く見られません。アメリカの歯科医師会のように、裁判をしてまでも,国民の健康施策を妨害しようとするものを,退けようという気概もありません。(ちなみに,アメリカの裁判では,水道水フッ素添加の推進に,反対派は阻害要因になったとして,推進する側の勝訴を言い渡しています。「公共の福祉」がわがままな「個人の自由」より優先されるという判決です。)