DENTAL TODAY  2002年1月1日号 4頁 

「新しい歯科医療への期待 ―2002年への抱負―」

日本の医療制度が変わろうとしているが、明確な方向性は依然見えていない。しかし、間違いなく大きな改革という潮流の中で、2002年が始まり、その適切な対応が急務となっている。年々、厳しさを指摘される歯科界において、常に広い視野から時代を見据えている関係者の人たち(12名:管理者追加)に、個々の立場からメッセージを語っていただいた。

12名の中の1名が玉城先生です。

フロリデーションの意義 玉城民雄(沖縄県島尻郡 具志川歯科医院)

沖縄県、具志川村はフロリデーションの実施に向けて動き出している。平成12年に、厚生省は、はじめてフロリデーションを認知し、支援を公表した。

これに呼応して日本歯科医師会、日本歯科医学会、日本口腔衛生学会等も相次いで支援を表明する。日本の齲蝕罹患率の高さ、一人当たりの齲蝕保有者数の多さは、先進諸国の中では際だっている。しかし関係者の間には危機感はない。歯および口腔に関して、日本人は決して幸せな状況にあるとはいえない。歯科においては要治療者が国民の大半を占めるのに、受診率の伸びは鈍化している。

厚生省等の「歯の喪失状況別にみた高齢者の医療費」の調査から、8020達成者と無歯顎者の「年間平均入院費用」及び「年間平均入院日数」を比較すると、ともに約1:6の差を示している。

老人医療費は日々膨張しつづけている。団塊の世代が突入してくる15年後を想像すると、暗澹たるものがある。

8020キャンペーンには先が見えない。具体的な施策が示されていない。8020達成者が50%以上になるのは100年、200年後か予測がつかない。

21世紀は健全で機能する歯を多く残し、高齢者になっても食生活が楽しく豊かで、介護を必要とせず、健康で長寿を迎えてもらうことが必要となってくる。

フロリデーションはその基礎となる。具志川村のフロリデーションの実現には3つの条件が課せられた。

1)地元歯科医師会、2)県、3)住民の合意、である。1)と2)は関係者の努力で合意が得られた。最大の難関である「住民合意」のために啓発が行われている。具志川村のフロリデーションの成否は他山の石ではない。日本の歯科保健の将来がかかっている