水道水フロリデーション60周年(アメリカ)

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日本歯科医師会雑誌4月号、p.66「国際歯科ニュース」欄の記事を紹介します。
 
アメリカ歯科医師会雑誌 ニュース 36巻2号 (2005年1月17日記事)
 
祝 水道水フッ化物添加60周年
 1945年1月25日午後4時に、ミシガン州Grand Rapids は、公衆衛生のパイオニアになった。すなわち、世界で初めて齲蝕予防を目的として飲料水にフッ化物が添加されたのである。1945年以来、フッ化物を添加した水道水を使用している3世代に及ぶアメリカ国民の齲蝕は減少し、それに伴い歯科治療費は減少した。
 今回の60周年記念行事では、60年前にミシガン州のとある町で行われた行為が、アメリカ国民にもたらした驚くべき利益はもちろん、将来的にもアメリカ国民の健康増進に対し大きな影響を与え続ける可能性が強調されていた。
 Richard Haught ADA会長は、「水道水へのフッ化物添加は歯科疾患予防の中でも最も経済的な方法である。現在この恩恵を受けていない人々は、フッ化物添加された水道水を供給するべきであると強調する必要がある」と語った。会長は、オクラホマ州のTulsa市での35年以上に及ぶ歯科臨床経験から、水道水へのフッ化物添加が住民にもたらす有効性を確信している。さらに、「Tulsa市に住む子どもの口腔の健康状態を良好に保つためには、これまでと同様にこれからも水道水へのフッ化物添加が必要不可欠である。患者の歯科疾患の痛みの軽減、歯科医療費の抑制のためにも、水道水へのフッ化物添加を実施していない地域に推進するようにしていくことが、我々歯科医師会の仕事である」とも述べた。
 フッ化物の応用は、歯を齲蝕から守ることができる最も効果的な手段の一つであり、口腔の健康を守ることができるとCDC(Center of Disease Control)のOral Health のディレクターであるDr.William は述べている。CDCのOral Healthでは、今年から、すべての国民にこのことを教育することが有効であることから、多くの市民に対しこのことが有益であることを告知する運動に再度取り組むとしている。
 Grand Rapidsで15年間にわたり、U.S.公衆衛生サービス(NIDR)が行った水道水のフッ化物濃度を1ppmに維持することへの効果と安全性に関する疫学調査では、コントロールの町に比較して、最初の10年間で子供の齲蝕は60%減少して、大人では15%齲蝕が減少し、何らかの障害もなかったとの報告がなされている。
 ADAは、フッ化物が子供の齲蝕を減少させる最も優れた方法のひとつであると発表している。ADA,CDC,American Medical協会、U.S.軍隊、NIDCRおよびその他の団体は、水道水のフッ化物添加がすべての人々、とくに定期的な歯科ケアが受けられない人々に有益であり、最も一般的な子供の疾患である齲蝕の予防に最も効果的であると公表している(齲蝕は5歳から17歳の子供では喘息の5倍、花粉症の7倍の罹患状況である)。上水道のフッ化物添加が行われないと、この国では歯に関連した病気のために、1年あたり学校の5千百万時間以上が失われると見積もられている。
 今日、アメリカ人の3分の2(67.3%)がフッ化物添加の上水道の水を飲用している。過去60年にわたり行われた研究では一貫して、上水道のフッ化物添加は安全で効果的であることが示されている。CDCは、上水道至適フッ化物添加は、フッ化物配添加歯磨剤のような他のフッ化物応用法を幅広く応用することで、次世紀において18%から40%の齲蝕を減少させると考えている。そして、フッ化物の上水道への添加の費用は、一生にかかる一つの窩洞の治療費よりも低い。
ADA news, Vol.36, N0.2, Jan17,2005」