NPO法人日F会議から、絵本発売10月末に発行予定(日本歯科医学会総会のころ)

 絵本の出版について:  NPOF出版物 第3

      定価1575円(税込み) NPO日F会員 1500円 (送料別、1册340円、5册590円)

  申込先e-メール;ktaura@mail.tains.tohoku.ac.jp   ファクシミリ;022-717-8332


 『おしえてフッソマン フッソってなあに?』(砂書房:出版)

  監修:境脩(NPO法人日F会議会長)
   著:市来英雄・田浦勝彦
   絵:松元祐子

  さあ!フッソマンと一緒にタイムマシンでひとっとび!

   大昔の地球へタイムトラベル!

  フッソは地球が誕生した時から存在している元素で、あらゆるものに含まれて、私たちの身体にもなくてはならない大切な栄養素 


  絵本の解説

  「フッ素はともだち?自然が教えてくれたむし歯予防のためのフッ素の適正な濃度」

   NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議会長・福岡歯科大学名誉教授   境   脩  


 フッ素自然界のあらゆるところに存在する元素です。そして、この絵本でタイムマシンに乗った子どもとフッソマンが見てきたように、地球が誕生したときから存在していました。地球にはやがて海ができました。その海水にもほんのわずかのフッ素が含まれています。

 海の中で生命が生まれ、そして今から5億4,500万年前に始まるカンブリア紀に、硬い殻をもった生物が出現しました。この硬い殻をもった生物が、外骨格をもつ貝類や海老などの節足動物になり、さらには私たち人間の直接の祖先である内骨格をもつ脊椎動物である軟骨魚類や硬骨魚類へと進化していきました。骨や歯のような硬い組織を作るには、フッ素が栄養素として不可欠です。

 カンブリア紀の硬い殻をもった生物が泳いでいた海水のフッ素濃度は1.3 ppm*でしたが、この濃度は現在までほとんど変化していません。つまり、生物は何億年というもの間、フッ素濃度1.3 ppm の海の中で骨や歯を作ってきたわけです。生物の進化は環境によってしっかりと規定されています。ですから、1.3 ppmという海水のフッ素濃度は、少なくとも海の生物にとって生理的で適正な濃度であるということに異論をはさむ余地はありません。

 現在、世界で約3億8千万人以上の人々が、水道水の中のフッ素濃度を約1 ppmになるように調整して(水道水フロリデーション)、むし歯予防の効果を上げています。この方法は、およそ1ppmのフッ素濃度の飲み水で生活している人たちにむし歯が少ないという事実が明らかになったことから始まった方法です。私たちの祖先が進化しつづけてきた環境である海水のフッ素濃度1.3 ppmと水道水フロリデーションのフッ素濃度約1 ppmがきわめて近いということは決して偶然ではないことを、今までのお話しから理解していただけると思います。

 水道水フロリデーションは自然が教えてくれたむし歯予防方法です。日本でも早く、自然からの贈り物、みんなのための水道水フロリデーションが実現できるといいですね。


*:百万分の1の単位です。お金でいえば、百万円に対する1円ということになります。