平成14年7月25日 

厚生労働省医政局歯科保健課

瀧 口   徹 殿

         厚生科学研究班 主任研究員

                        高江洲  義 矩 (東京歯科大学 名誉教授)
                  日本口腔衛生学会 理事長

中 垣   晴 男 (愛知学院大学 教授)


薬害オンブズパースン会議意見書に関する見解について 

貴課より、平成14年5月14日付け文書にて依頼を頂きました件、薬害オンブズパースン会議からの「水道水フッ素添加についての意見書」に関する解説を添付し、見解を下記のごとく御報告致します。

                    記

厚生科学研究班、日本口腔衛生学会は、薬害オンブズパースン会議より、厚生労働大臣に提出された「水道水へのフッ素添加についての意見書(以下、「薬害会議−意見書」)」及び報告書(以下、「文献−調査報告書」)を詳細に検討したところ、以下の結論を得た。

1)  「薬害−会議意見書」及び「文献−調査報告書」には、科学情報の誤認や論旨の不合理なところが多数見受けられること。

2)  国内外の広範囲な調査結果から、適正フッ化物濃度で調整される水道水フッ化物添加のう蝕予防効果については、有効であるとの評価が得られていること。

3)      全身的な影響に対する医学研究は、今後とも継続する必要があるが、心配される全身的な影響があるとの証拠は認められなかったこと。

4)      WHO、FDI、CDC等をはじめとする世界の歯学医学保健専門機関が合意している「水道水フッ化物添加は安全で、う蝕予防に有効な歯科公衆衛生手段である」との結論を変更する必要性は見出せなかったこと。

5)      世界的に有効性、安全性が認められている公衆衛生的方策については、地域の選択が優先されるものの、その実施は個人の健康権を侵害するものでなく、むしろ健康権を支援するものであること。

用語について:薬害オンブズパースン会議の意見書を直接引用する場合は、原文での用語「水道水フッ素添加」を用い、本見解および解説文では「水道水フッ化物添加」を用いた。