日本歯科新聞 200187日号 6面 学術欄 

IADR・日本開催 歯科学術の祭典を振りかえるA

 

(前文)国際的な歯科学術団体であるIADR(国際歯科学会)の79回学術大会が627日から30日にかけて,千葉・幕張メッセなどで開催され,環太平洋地域を中心とした各地から多数の演者,出席者を集めた。約2200に及ぶ発表演題が出されたが、とくに,新しい歯磨剤など予防関連の新しいアプローチに関する報告、歯科疾患と全身との関わりを示す疫学調査、新技術を用いた歯周治療、インプラント療法に関するシンポジウム、さらには昨年FDIが提唱したミニマム・インベンションの概念にかかわる歯科臨床への展望を探るサテライトシンポジウムなどが注目を集めた。

IADRの沿革

歯科にかかわるあらゆる学問領域の総合的発展を目指して1920年に設立(本部:米・バージニア州)。現在の会長は Marjorie Jeffcoat氏(アラバマ大学教授)。

全世界に11000人の会員を擁し,内1900名が次代を担う歯科学生。近年では、行動科学や保健活動,高齢者歯科、インプラント,分子生物学、免疫学、硬組織学、神経医学(TMJに関連)、栄養学、毒物学、だ液化学など、幅広い分野にも研究領域を広げている。

口腔保健は”量”から”質”へ

(詳細は,日本歯科新聞をご覧下さい。ここでは,項目見出しのみ挙げます。)

 

フッ素とカリエス、フッ素中毒症

世界中で多くの歯科医学研究者らが取り組み続けてきた分野が、フッ素応用のカリエス予防に与える効果に関する領域。その結果,計り知れない人々が白斑症などの副作用なしに十分なフッ素のカリエス予防効果を享受することができるようになっている。この問題に関しては、主として、

において議論された。

ミャンマーでは、白斑症に関する興味深い研究がなされている。これは、同国内における白斑症発症に関する膨大なデータを集めたもので、その結果、都市域のほうが白斑症を多く認めるという点、そしてそれらの人々の多くが井戸水を使用しているという点が明らかになった。しかし、ベネズエラからは、フッ素添加の子供用歯磨剤によるブラッシングによっては白斑症が起こらないことを明らかにする報告がなされた。

サウジアラビアでは、飲み水にフッ素を添加することによるカリエス予防の効果について州単位の比較介入試験が行われたという。その結果、水道水フッ素化地域とそうでない地域の間にはカリエス発症の比率に明かな差が認められた。

一方、オーストラリアの研究グループは,フッ素の食品添加の方法として、研いだ米にフッ素を添加する手法が効果的であったことを報告した。メキシコでは、ボトル入り清涼飲料水にフッ素を添加する方法が試みられている。これによって、フッ素が最も必要な世代をターゲットとして的確にフッ素の効果を与えることが可能になるという。(以上、この項,全文)