上水道のフッ素添加について 〜行政の立場から〜

島根県健康福祉部健康推進課

梶 浦 靖 二

地方公務員法の第30条には「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力をあげてこれに専念しなければならない」と謳われています。私が行政の立場から上水道のフッ素添加について発表するわけですが、上水道のフッ素添加を是非、自分が奉仕している地方公共団体において実施してみたいと考えている歯科の専門職はすごく少数派であることを皆さんに報告しなければいけません。

それはなぜでしょうか?

私なりに率直に考えてみます。我々、行政の歯科の専門職がそれぞれの地域においてフッ化物の応用の普及に努めるとき、いわゆる「反対派」という存在に必ずぶつかります。多くの歯科医師の場合、その「反対派」との対決におびえているのです。我々はこの恐怖と真正面からぶつかることによって「公共の利益」が保たれる訳ですが、この恐怖から逃避するのです。「反対意見も尊重する必要がある」と。しかし、日本の場合、この「反対意見」の多くはフッ素への知識の不足であることが多いのです。

ところで、私が行政の立場として、この発表の依頼を受けたのは、私が、この6〜7月に上水道のフッ素添加を中心とした歯科保健対策の研修を受けに、アメリカに行ったからです。アメリカでは専門的な研修はもとより、いわゆるpublic servantのspiritというものも肌で感じてきました。日本の行政仲間の反応は「いいなあ、アメリカに遊びに行けて」というものばかりです。残念ながら、現在の、ぬるま湯行政の体質には自浄能力というのは欠如しているといわざる得ません。この体質を変えて、日本で上水道のフッ素添加を展開していくためには、住民、皆さんの力が必要です。是非とも力を貸していただきたいと思っています。また、近い将来、日本でも、本格的に上水道のフッ素添加が実現されると確信していますが、どんな些細なことでも構いません、自分ができる範囲で、これにかかわるキャンペーンに参加して下さい。上水道フッ素添加に「YES」というだけでもいいのです。

最後に、今日のこの発表の場をお借りして、上水道のフッ素添加の研修を受けた3人目の日本人として、私なりに皆さんにできることをお誓いして発表にかえたいと思っております。