水道水のフッ素化を    2000年10月4日(水曜日)北日本新聞文化欄 掲載                               

井波  歯科医らグループ結成

虫歯予防に効果があるフッ素を理解してもらおうと,井波町の歯科医師が中心になりグループを結成,啓発運動に取り組んでいる。各国で導入の進む水道水フッ素化を目標に掲げており「国内でも関係機関がようやく動き出した。歯科衛生士や学校医らと協力し活動を盛り上げていきたい。」と話している。

虫歯減少に効果  全国的に動き出す

フッ素は水や海水,岩,動物,植物のほか,人間の体にも含まれる自然の元素。歯質を強くし,虫歯になりかけた歯を修復する再石灰化の働きがある。WHO(世界保健機関)は1969年以来,水道水フッ素化の検討を3回にわたって勧告。現在までに56カ国が導入し,子供の虫歯予防に成果を挙げている。

日本では虫歯予防に効果的な方法は歯磨きという考え方が強い。乳幼児期にフッ素を過剰に長期的に摂取すると起きるエナメル質の形成障害「フッ素症」への懸念や、治療偏重の歯科システム、フッ素に対する情報の少なさなどから対策が遅れている。

県内のグループ「新あゆの会」は1月に発足し,メンバーは県内の歯科医10人。全国組織との連携やフッ化物利用の推進などを活動の柱としている。

昨秋に水道水フッ素化を導入する年が急増中の韓国を視察した事務局の山本武夫医師=井波町山見=は「現在の削って埋めるしか治療では隙間から菌が入り込み,再発の恐れがあるなど限界がある。日本の歯科医療も治療から予防重視に変わるべきだ。」と話す。

水道法では,水道水におけるフッ素濃度の上限を0.8ppmと定めている。山本医師によると,2ppmを超えるとフッ素症の危険性がたかまるといい「地域によって差があるが,日本の水道水には多いところで0.2ppm含まれている。水1g中にフッ素0.2ミリc入っている計算だ。人体への安全性を考えると研究の進んでいる米国同様,1ppmが理想的ではないか」とみる。

県は虫歯予防として保育所や幼稚園、小中学校でフッ化ナトリウム溶液を使ったうがいなどを勧めている。日本歯科医学会は平成10年にフッ化物検討部会を設置,昨年11月には「国民の口腔保健向上のため,フッ化物応用を推奨する」など度する答申を発表した。慎重だった厚生省も研究班を作り調査しているほか,群馬県甘楽町や沖縄県具志川村など水道水フッ素化を検討する自治体も出てきている。

山本医師は「視察した韓国では歯科医の間から虫歯予防は歯科医の収入減につながると心配する意見も出されたが,現在は予防を進める声が高まっている。歯周組織の疾患や歯並びの治療で来院する人も増えている」と話している。

このページのコメント

数回の取材と,いろいろと客観的な調査を加えられて、素晴らしい記事を掲載された北日本新聞編集局文化部に,敬意を表したいと思います。ジャーナリストの誇りあふるる黒田記者に,今後を期待したいと思います。

(連絡先)〒930‐0094 富山市安住町2‐14 北日本新聞社編集局文化部  黒田哲也    п@076‐445‐3449 FAX 076‐445‐3366

富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク「And You(あゆ)の会」について

只今,会員募集中です。歯科医に限らず,医師、歯科衛生士・保健婦・養護教諭など,関連職種ばかりでなく,行政職,大学関係者,また,主婦など,一般市民まで含めて,募集します。マスコミを含めた,ジャーナリストの方の参加もお願いします。

全くのボランティア組織で,会費は無料で,参加者の協力により,運営いたします。

詳しくは、事務局 山本武夫までお尋ね下さい。