BBC NEWS UK EDITION Lords back water fluoridation 英国上院、 水道水フロリデーションを支持 ! 9, July, 2003.  英国上院は、 保健行政管理者と一般の人々が水道水フッ化物濃度調整 (以下、 水道水フロリデーション) を求める地域での水道供給企業の調整事業計画を支持しました。  水道事業法案の修正条項に盛り込まれたこの案文は、 給水をコントロールする私的 (水道) 企業を介さないでも、 水道水フロリデーションの決定を下すことが可能になります。 しかし、 フッ素反対派は相変わらず、 これは集団投薬に過ぎないではないかと主張しています。 彼らは、 フッ化物を癌、 腰部骨折、 腎臓障害および先天的奇形の危険度の増加につながるのではないかと主張しています。  かねてより、 政府は水道水フロリデーションによる健康面でのリスクを支持する証拠がないと主張してきました。 上院では、 9 日の水曜日の夜の修正案についての討論を踏まえ、 この手段を153票対31票で支持しました。 水道企業は1985年以来水道設備でフッ化物を調整する権限を持っていたものの、 これに反対する人々による法的な行為を恐れて水道水フロリデーションを行っていませんでした。 【地方の決定】 修正条項では、 公衆衛生政策として水道水フロリデーションが必要な地域で、 もし住民がこれに賛成すれば地方の保健当局は水道企業を保護することになるでしょう。 地方レベルでの協議で水道水フロリデーションに対して十分な支持を得た後に、 戦略上必要とする保健当局によって水道水フロリデーションを行うように依頼されたならば、 水道当局が自動的に水道水フロリデーションを実施するでしょう。  先週、 公衆衛生大臣メラニー・ジョンソンは、 水道水フロリデーションと歯の健康には 「強い相関性」 があると述べました。 彼女は下院議員に以下のように伝えました。 「私たちができることは、 各地方自らが水道水フロリデーションの実施を決定することにある。」 「水道水フロリデーションの賛成者と反対者双方の広範な協議への参加が促されて、 大多数の住民が賛意を示さなければ、 水道水フロリデーション計画は進んで行かないだろう。」 アンディー・バーンハム労働党下院議員は、 今回の動きを歓迎しました。 「私は地球が平らであるという大言壮語を無視し、 この国の子どもの健康を改善する方策を支援する修正条項を議題にのせることに賛同しよう。」 【反対】 保守党下院議員アンドリュー・ムリソンは、 カナダ、 フィンランド、 キューバとドイツの一部の国々は水道水フロリデーションを止めたが、 う蝕有病率に変化を認めなかったと述べました。 「なぜ私たちはこの国のこれまでの大勢に抗して、 この狭量な法案の導入を考慮すべきなのか。」  英国東部のかなりの地域では、 天然の水道水フロリデーションの給水が行われています。 既に、 バーミンガム地域のおよそ500万人に水道水フロリデーションが給水されています。  全国純水キャンペーングループのジェーン・ジョーンズは、 水道水フロリデーション反対をコーディネートしています。 彼女は 「意志に反してすべての住民に集団投薬することは、 う蝕予防方法とはいえない。」 と言っています。 【証拠】 水道水フロリデーションは子どもの歯の健康に重要で、 プラスの効果があるという英国歯科医師会 (BDA) によって、 その考え方は支持されています。  BDA のジョン・レンショーは、 「歯科医は、 将来にわたり多くの人々のう蝕に付随する不要な苦痛および悲惨を今後回避できる可能性のあるこの決定を歓迎する。」 と言っています。 「この単純なステップによって、 国中の子どもたちに人生の好スタートをきらせることになるだろう。」  さらに、 彼は次のように付け加えました。 「対象を絞った水道水フロリデーションにはう蝕を減少させるという確かな証拠があり、 しかも、 水道水フロリデーションに用いられるフッ化物濃度が有害であるという証拠は全くない。 私たちは、 この重大な法案が現実になるように確実にキャンペーンを継続していくだろう。」 (翻訳:東北大学歯学部附属病院予防歯科 田浦勝彦) 新潟県弥彦村におけるむし歯予防の成果 ― トライアングルモデルの成果 ―  新潟県弥彦村では、 1970年には小学校で、 1978年にはすべての保育園においてフッ化物洗口を開始しました。 それ以来、 30年以上にわたりフッ化物を中心としたむし歯予防を行なってきました (図 1 )。 さらに1989年にはむし歯への進行リスクの高い歯にシーラント処置を行なう選択的シーラントプログラムを開始しました。 現在、 弥彦村では定期的歯科健診 ( 6 ヶ月毎)、 4 歳児からのフッ化物洗口、 選択的シーラントプログラム (トライアングルプログラム) を柱としてむし歯予防に取り組んでいます (図 2 )。  弥彦村の12歳児一人平均むし歯数の推移をみると、 4 歳児からのフッ化物洗口の実施により、 むし歯数は大きく減少しました。 その後一時横ばいの傾向を示しますが、 選択的シーラントプログラムの実施によりむし歯数はさらに減少して、 2002年には0.39本になりました (図 3 )。  また、 フッ化物洗口および選択的シーラントプログラムを実施した際の経済評価は、 次のようになっています (表 1 )。 むし歯予防プログラムを実施した弥彦小学校、 ならびに社会環境が弥彦村と類似した他の町での 3 年生および 6 年生を比較して、 費用便益比と費用効果比を算出しました。 費用便益比および費用効果比は、 それぞれ 3 年生では1.27と2,407円、 6 年生では2.14と1,533円でした。 費用便益比と費用効果比からはトライアングルプログラムの実施期間が長いほど経済効率は高くなることがわかりました。  以上のことから、 現在弥彦小学校が行なっているトライアングルプログラムは、 むし歯予防効果が高く、 また経済効率も優れていることがわかります。 このようなむし歯予防プログラムが広く拡大していくことが望まれます。     (文責:子供の歯を守る会 片岡照二郎、 佐久間汐子) 報告1     富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク【And You (あゆ) の会】 平成15 年度総会・講演会 あゆの会代表  山 本 武 夫    本年5月25日に、 高岡テクノドームにて標記の講演会を開催いたしました。 今年度は、 NPO 法人日本むし歯予防フッ素推進会議 (日F 会議) と共催することができ、 そのおかげで富山県、 富山県歯科医師会や地元高岡市歯科医師会から後援をいただきました。 研修会場には、 高岡地区を中心に歯科医師、 歯科衛生士、 養護教諭、 保健師など70名が参加されました。  午前10時より開会し、 筆者の挨拶の後に、 共催の NPO 法人 日F 会議山内皓央副会長が団体の紹介を兼ねて挨拶されました。 来賓紹介の後、 プレ講演 「県民歯の健康プラン」 と題して健康プランとフッ化物応用について、 後援の県厚生部健康課の竹内智子主幹がミニ講演をされました。 プランの進捗状況や現在までの実績等が説明されましたが、 乳歯の良好なむし歯予防効果 (とくに3歳児) や永久歯むし歯予防対策事業のフッ化物洗口実施施設の増加の期待などを話されました。  続いて、 「地域・家庭において健康長寿を保つには・・」 をテーマに講演会に入りました。 基調講演は、 And You (あゆ) の会顧問の富山医薬大医学部保健医学教授の鏡森定信先生に、 「健康長寿と公衆衛生」 と題してお話いただきました。 ご自身の湯あたりや最近の SARS (新型肺炎) の話題を皮切りに、 人の寿命にみる不平等という観点から、 長生きの秘訣として、 栄養・運動・休養のほかに、 明らかにされてきた喫煙経験などについて講演されました。 米国での研究例から、 現代医療では肺がんの死亡率を下げ得ないこと、 たばこと肺がんの関連、 そして禁煙が寿命を延伸させる証拠が明らかになり、 これらをいかに実践するかが今問われていると話されました。 「健康日本21」 という目標設定を健康増進法や市町村保健福祉計画で確立して、 人々全体の健康水準を底上げする社会の仕組みの構築が大切で、 基本が公衆衛生の向上からくるものであり、 これが実現して国民が長寿社会を享受できることになると結ばれました。  さらに、 特別講演は 「むし歯予防と適切なフッ化物応用」 と題して、 新潟大学歯学部付属病院口腔保健科予防歯科講師の佐久間汐子先生に PC を使ってわかりやすく2時間程のプレゼンテーションをしていただきました。 その講演内容では、 今年1月に国から各都道府県知事に 「フッ化物洗口ガイドライン」 として積極的なフッ化物応用推進が提唱され、 フッ化物が歯科保健に導入された切っ掛けを知ること、 安全性に対する正しい知識を持つこと、 実際に新潟におけるエビデンス (確かな根拠) などを参加者に紹介され、 その効果を理解して欲しいと話されました。 とくに、 そもそも斑状歯の発見から、 飲料水中の天然のフッ化物濃度の研究がなされ、 審美的に問題となる歯のフッ素症を発現させずにむし歯を半減させる飲料水中フッ化物濃度 (1ppm) が見い出され、 約半世紀前に自然環境を模倣してむし歯予防手段とて発展させた方法が水道水フロリデーションであることを理解して欲しいこと、 現在安心してフッ化物洗口などの局所応用の標準的な術式が考案されているが、 これらは先の全身応用からの量的な安全性に基づいて実施されていることを忘れてはいけないと講演されました。 フッ化物のむし歯予防における役割として、 再石灰化の促進や脱灰の抑制のメカニズムだけでなく、 優れた公衆衛生特性 (誰にでもできる小さな努力で確かな効果) が挙げられ、 その予防効果はエビデンス (確かな根拠) に基づいている点を強調されました。 また、 フッ化物洗口など局所応用における適切な応用量については、 洗口後の口腔内残留量、 吐き出しやうがいのできない年齢層に対するフッ化物配合歯磨剤の使用量、 フッ化物歯面塗布におけるフッ化物製剤の使用量の問題など、 きちんと理解せねばならないと詳しく説明され、 最後にフッ化物応用危険説に対する解説、 長期間・多地域における実績や国内外の専門団体による推奨の見解を示されて終了しました。  講演後のアンケートでは、 9割以上の参加者がこのような講演を県内各地で開催して欲しいという要望がありました。  私達 And You (あゆ) の会は、 2001年富山県が策定した新しい 「県民歯の健康プラン」 を、 市民レベルで支持し、 すべての県民がフッ化物の正しい知識を持ち、 優れた方法であるフッ化物応用によって歯の健康づくり政策が進められるように努力します。 また、 県内のフッ化物洗口の実施施設の連絡会的な存在としても考えております。 今後とも是非、 私達のこの活動をご理解いただき、 ご協力をお願いいたします。 報告2 平成15年 「よい子のフッ素ぶくぶく大会」 宮崎県子供の歯を守る会 会員  橋 口 浩太郎  6月7日 (土) 午後1時30分から、 宮崎県子供の歯を守る会主催、 NPO 法人 日F 会議後援で、 恒例の 「よい子のフッ素ぶくぶく大会」 が三股地区公民館において賑やかに開催されました。 入梅前の好天気に恵まれ、 当地区の14の幼稚園と保育園の関係者を含めて250名の心ある仲間が集まりました。 御存知のように、 宮崎県子供の歯を守る会は昭和50年代の半ばに誕生し、 今は亡き山下文夫先生を中心に 「市民の市民による市民のための活動」 を幅広く展開しているグループです。 このぶくぶく大会は1984年 (昭和59年) に始まり、 その後毎年行われています。 子どもたちが主役で、 日頃の歯の健康づくりを披露したり、 フッ素劇団と交流して午後の一時を愉快にすごす構成になっています。  今回は、 講師に東北大学の田浦勝彦先生と福岡歯科大学の晴佐久悟先生をお迎えしました。 幕開けには、 各園代表の園児より講師の先生方に花束贈呈が行われ、 田浦先生の挨拶がありました。 その後、 「フッ君マーチ」 に乗って元気よく子どもたちの入場行進。 司会のエーデルワイス幼保園の愛甲進一先生より、 この曲 「フッ君マーチ」 は故山下文夫先生が作詞がして、 それに私 (愛甲) が作曲したものです」 と紹介がありました。 子どもたちの代表は、 「私たちは、 むし歯にならないように、 毎日フッ素のブクブクうがいと歯みがきをこれからも続けます」 と力強く元気に挨拶をしました。  参加者の皆さんは、 田浦先生のむし歯予防講演を熱心に聞き入っていました。 次いで、 本大会の主役たちの再登場です。 ゴシゴシデンターマンの音楽に合わせて子どもたちの上手な歯みがきとブクブクキラーの曲に合わせて、 「口の中にいっぱい泡を作ろう!」 とフッ素洗口の実演がありました。 子どもたちは、 みんな上手にできました。 その後は、 宮崎県子供の歯を守る会メンバーからの御褒美です。 まずはメンバーによるむし歯予防寸劇。 今年も池元さんが扮するお猿さんこと 「孫悟空」 と二見さんが扮する猪さんこと 「猪八戒」 の楽しく愉快な動きに会場から拍手喝采が起こりました。 クライマックスには、 会場後方からフッ素スターの登場です。 今年は福元さんが大役を演じました。 フッ素スターはその名の通り、 むし歯予防界の大スターです。 フッ素劇団より参加者全員へ 「フッ君まんじゅう」 が配られた後に、 山下歯科の小椋先生からむし歯予防に努力している各園の表彰、 そして子どもたちの絵のコンクール表彰が行われ、 今年も有意義な大会となって盛会裡に閉会しました。  田浦先生の講演の中にも水道水フロリデーションについてのお話がありましたが、 すでに宮崎県子供の歯を守る会では、 水道水フロリデーションの実現を目指して、 署名活動を展開しながら行政を動かす努力を行っています。 今後、 この地域でも世界の常識である水道水フロリデーションが始まれば、 早々にも3歳児むし歯全国ワーストワンを返上できるものと思います。 宮崎県子供の歯を守る会の主催でこのようなフッ素のぶくぶく大会を行わなくても済むような日が、 近い将来に一日も早く来ることを会員一同願っているところです。 そうすれば、 この地域の子どもたちだけでなく、 会員も含めてすべての人々の歯の健康に寄与することは明らかになるからです。 報告3 歯科衛生士研修会 NPO 法人日本むし歯予防フッ素推進会議  田 口 千恵子  去る、 6月15日、 本会主催の 「むし歯予防研修会」 が開催された。 この研修会は、 歯科衛生士を目指す学生を対象としたもので、 本会として始めての試みであった。  フロリデーションを始めとする公衆衛生的なフッ化物応用を実施するためには、 地域住民への普及啓発や正確な情報提供等を行う上で、 歯科衛生士の役割は今後ますます重要である。 しかしながら、 歯科衛生士教育現場でのフッ化物に関する教育はカリキュラム上の位置づけはされているものの、 施設によりその教育内容は千差万別であり、 十分な知識・正しい情報を得て歯科衛生士として従事している人は数少ないと考えられる。 そこで、 学生の時からフッ化物について正しい理解を得るために、 また公衆衛生的な意識の向上のための一助となるように今回の研修会が企画された。 今回の参加募集は、 開催地が東京都内 (東京学院:千代田区水道橋) であったことから、 関東4県 (東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県) に在する歯科衛生士学校29施設に対して、 本 「NPO 法人 日F 会議の紹介」 と 「研修会案内」 を郵送して周知した。 事前の参加希望者は75名であったが、 当日6名の欠席があり、 参加者総数は69名となった。 その内訳は、 歯科衛生士学生1年生17名、 2年生14名、 学年不明20名、 教員 (歯科衛生士) 17名、 開業医勤務の歯科衛生士1名であった。  研修会は、 午前と午後の二部構成とし、 午前は境 脩先生 (本会副会長) より 「地域歯科保健とフッ化物応用」 と題して、 フッ化物と歯科保健の歴史やフッ化物の効果・安全性などフッ化物に関する一般的なことからフッ化物応用の普及状況や地域における公衆衛生的なフッ化物応用の実践例について講義していただいた。 参加者は休日の朝からの参加にも関わらず、 ほとんど全員が非常に熱心に聴講されていた。 午後は、 筆者による 「フッ化物応用の実際」 と題して、 フロリデーション水 (フッ化物濃度0.8ppm調整) の試飲やフッ化物洗口の体験、 フッ化物歯面塗布法の術式などについて実習形式での研修であった。 フロリデーション水は冷水状態で提供したこともあり、 「冷たくて美味しい」 の声や 「普通の水道水と同じ味」 との声が会場のあちらこちらで聞かれた。  また、 参加者のフッ化物に対する意識の把握と今後の研修会のあり方の参考とするために、 研修会の開始前と終了後にアンケート調査を行った。 質問内容は、 〔開始前〕 :@フッ化物配合歯磨き剤の使用の有無、 A効果的なむし歯予防法の選択 (上位3つ)、 Bフロリデーションの認知 (言葉そのもの・目的・味や臭い)、 Cフロリデーション実施の捉え方。 〔終了後〕 :D研修会 (午前・午後各々の時間配分、 内容) について、 研修会に関する意見、 Eフロリデーション水試飲後の味はどうか、 F講義後のフロリデーションの認識 (効果・安全性・必要性・環境・経費など)、 Gフロリデーション実施の捉え方であった。  アンケート結果は、 @フッ化物配合歯磨き剤の使用者は85.5%であった。 A効果的なむし歯予防法の選択 (上位3つ) では、 フッ化物の歯面塗布、 フッ化物配合歯磨き剤、 歯みがき (空みがき) の順で多く選択された。 フロリデーションは4番目であった。 B76.8%の参加者がフロリデーション (水道水フッ化物濃度調整/水道水フッ化物添加) の言葉を聞いたことがあると回答した。 Cフロリデーションの実施について、 「賛成」 53.6%、 「反対」 0.0%、 「どちらともいえない」 43.5%、 「不明」 2.9%であった。 フロリデーションの実施を反対する者はいなかったが、 学校の講義でフッ化物に対する講義を受けた2年生と受けていない1年生が存在したことから、 「どちらともいえない」 と回答する者の割合が高くなったと思われる。 さらに、 D午前・午後の講義の時間配分については、 「適当である」 が午前71.4%、 午後83.1%であった。 内容については、 「充実していた」 が午前90.0%、 午後50.0%であり、 「物足りなかった」 が午前5.0%、 午後50.0%であった。 午後の実習については、 半数が物足りなかったと答えており、 実習内容の充実が今後の課題である。 Eフロリデーション水の味は、 90.5%の者が、 普通の水道水と同じと回答した。 F講義後のフロリデーションの認識は、 予防効果、 安全性、 必要性、 環境への影響など概ね理解されたと思われる。 「個人の権利の侵害についてどう考えるか」 との設問には、 60.3%が 「どちらともいえない」 と回答し、 また 「わが国の実現性はどうか」 との設問には、 50.8%の者が 「困難である」 と回答した。 今後、 さらにこの点の理解を得るための講義内容の充実が必要である。 G講演後のフロリデーション実施の考えについては、 88.7%が 「賛成」 と回答し、 11.3%が 「どちらともいえない」 と回答した。 講義前にとったアンケートでは、 賛成が55.2%であったが、 約3割の者が 「どちらともいえない」 と回答したことから、 講義を受けたことによって考えが移行し、 講義の効果があったものと判断できると思われる。  今回の研修会で、 講義や実習内容、 運営に関するマンパワーや会場設定の問題など、 今後の検討課題が明確となった。 また、 住民のう蝕予防、 健康増進を目的としたフロリデーションの実施につながるためには、 このような研修会を歯科衛生士学生だけではなく、 歯学部学生はもとより保健従事者となる多くの学生に対しても行う必要があり、 NPO 法人 日F 単独の研修会だけでなく、 多くの団体、 施設との連携を図りながら進めていくことが必要不可欠である。 ある参加者の意見  歯科をめぐる現状は、 まだまだ未熟だと思っている。 そのためには、 やはりこれからの歯科衛生士の役割は“指導”であると痛感。 それでもまずは、 自分自身の現状把握や新しい知識を吸収することが最優先である。 この研修会に出席して、 まだ学校では講義を受けていない“フッ素”について、 もっとマイナーなイメージを持っていたが、 正しい知識、 情報を得ることができ、 有意義な時間を持てた。 こういった歯科関係者、 または保健関係者に向けた研修会は、 どんどん進める必要があると思う。 また、 水道水のフロリデーションの実現は、 地域、 国としてフッ化物の認識を高められないと難しい。 フロリデーションすることで、 う蝕予防効果がある。 それ以外に全身的な健康にもつながるということ (歯の健康=全身の健康ではあるが) を大きくだせると、 一般の人にももっと啓発できるのではないか。 (1年生) 第52回日本口腔衛生学会自由集会開催のお知らせ テーマ: 「フロリデーションとヘルスプロモーション」 日  時:平成15年9月25日 15:00〜17:00 場  所:北九州国際会議場       〒8020001 北九州市小倉北区浅野 3930 代表責任者:日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会 う蝕とフッ化物応用の現状  わが国のフッ化物全身応用は0になってしまいましたが、 局所応用は増えてきました (表)。 フッ化物応用とその普及状況  他方、 そのフッ化物応用が対象としたう蝕については、 治療を供給する歯科医師が増加した結果、 放置された未処置う蝕が少なくなり、 フッ化物の普及を目指す全国組織が生まれた20数年前の洪水のようなう蝕は潜在化し (図)、 わかりにくくなってきています。 う蝕と歯科医師数の相対的な変化とう蝕問題 これからのフッ化物応用の普及  さて、 この状況下で、 1) フッ化物応用の普及を、 不十分と考えるべきなのでしょうか、 それとも十分なのでしょうか? 2) そのことを判断するのは誰なのでしょう?  1992年の調査で、 わが国のフッ化物洗口集団応用の普及の中心となったのは歯科医師 (会) であり、 次いで行政であったことが明らかにされています。  10年経った今でも、 と歯科専門家、 行政が声をかけることで、 事はすすむのでしょうか。  さらにフロリデーションについては、 日本歯科医師会は 「地域の歯科医師会をはじめとする関連専門団体、 地域住民との合意が前提である」 とし、 厚生労働省は、 これを受けて 「水道事業者、 水道利用者、 地元歯科医師会等の理解等を前提」 に支援を表明しています。 ここには地域住民の合意や水道利用者の理解が含まれており、 もはや歯科専門家や行政関係者が理解、 合意しただけでは実施の条件を満たしていることにはなりません。  他の応用法についても、 歯科専門家や行政関係者だけが、 う蝕を予防するための効果的な方法として位置づけてすすめることについては、 遠からず限界が来そうです。 一部の地域では既に限界が来ているかもしれません。 フッ化物応用とヘルスプロモーション  地域住民はう蝕の問題をどう捉えているのでしょう。 歯科専門家の捉え方とは違っているのではないでしょうか。 また行政関係者はどうなのでしょう。 捉え方に差異のあるものは共通の問題には成りにくく、 対策もすすまないものです。 WHO はこの様な病気の捉え方の差異を無理に埋めることをせず、 上位の健康、 QOL で整理することを提案しました。 それがヘルスプロモーションです。  自由集会では、 ヘルスプロモーションを意識したフッ化物応用事例、 広く地域の各種専門家の活躍で実践に至ったフッ化物応用事例を題材に、 ヘルスプロモーションをベースとするフロリデーション実施、 フッ化物局所応用普及プロセスを検討してみたいと思います。 開催要領 1. 事例発表 (2題) 1) 住民にエンパワーメントが起こり、 健康づくりの一環としてフッ化物応用がすすんだ事例 (山形県大蔵村) 2) 保健師、 保育園保母、 中学校養護教諭、 一部保護者、 大学教員などが、 それぞれの役割で参加して、 小中学校のフッ化物洗口を実現させた事例 (熊本県波野村) 2. グループワーク (6〜8人ずつ)  事例発表を受けて、 参加者それぞれの現場を意識しながら、 ヘルスプロモーションをベースとしたフロリデーション実施、 フッ化物局所応用普及プロセスを検討 (ディスカッション) します。 3. 全体会  各グループの報告を受けて情報整理を行います。 ★ 参加を希望される方は、 事前に下記にご連絡下さい ★  連絡先:筒井昭仁 Fax:0928010616           E-mail:tutuia@college.fdcnet.ac.jp       (福岡歯科大学口腔保健学講座)  琉球新報ニュースHP (更新2003年7月12日 土曜日10:43)    嘉手納基地 水道水をフッ素化* 【嘉手納】米空軍嘉手納基地報道部は11日、 虫歯予防に効果があるとされるフッ化物を水道水に添加する水道水フッ素化を14日から基地内で開始すると発表した。 同報道部によると飲料水へのフッ化物添加は米国では一般的に広く活用され、 県内ではキャンプ・フォスターの一部でも導入されているという。 同報道部は 「米国での50年以上にも及ぶ研究で水の安全性は証明されている」 と強調。 「基地住民や基地従業員の虫歯対策に非常に大きな効果をもたらすことが期待される」 としている。 また 「最新の技術装置で飲料水が周辺地域に逆流することはない」 という。 嘉手納基地内に送水している沖縄市水道局によると、 一度流れた水の逆流を防ぐ逆止弁という装置が沖縄市側の水道管に1つ設置されている。 今回、 米軍側が基地内のフッ化物混入装置の前後に新たに2つの逆止弁を設置し、 逆流対策をしているという。 *正しくは水道水フッ化物濃度調整 (水道水フロリデーション) のことである。 むし歯予防のために飲料水中に天然に含まれるフッ化物濃度を調整する公衆衛生的手段 (わが国の水道水中の上限フッ化物濃度は0.8ppm) である。 第27回むし歯予防全国大会 (山梨) 開催のお知らせ      大会テーマ  科学的根拠に基づいたむし歯予防活動の実践      スローガン  小さな努力で大きな効果、 みんなの健康をみんなでつくろう                 A LOVELY SMILE with YOU! 日  程:2003年10月24日 (金) 〜 26日 (日) 場  所:山梨県西八代郡市川大門町民会館 お問合せ先:第27回むし歯予防全国大会 (山梨) 事務局 〒4093601 山梨県西八代郡市川大門町1246 山内歯科医院内      TEL 0552728020 FAX 0552728278 e-mail:yk920@d9.dion.ne.jp F l u o r i d e  N e w s 水道水フッ化物濃度適正化の安全性と有効性に関する authoritative reviews の事例 (Examples of authoritative reviews of the safety and/or effectiveness of fluoridation):British Fluoridation Society, 2000. 23  オンタリオ厚生省公衆部門 (1999). 水道水フロリデーションの利点とリスク: 1996年連邦−地方小委員会報告書の最新版. 参考文献;266の文献を掲載。 背  景  この報告書はフロリデーションに関するオンタリオ公衆協議会の一部として、 オンタリオ厚生省から委託されたものである。 至適フッ化物濃度に調整された水道水フロリデーションの利点とリスクに関して1993年から1999年にかけて発表された論文のレビューを基にしている。 最終報告書は厚生省のウェブサイト www.gov.on.ca/health で見ることができる。 結  論  ●フッ化物濃度の低い地域よりもフロリデーションされている地域のう蝕は少ないことが証明されている。  ●う蝕が少ない地域では、 さらにう蝕を減少することと歯のフッ素症の発現頻度の増加とのバランスを注意深く評価すべきである。    ●飲料水中のフッ化物濃度に関するガイドラインは、 地域間でのう蝕有病の差異に対応して柔軟に設定すべきである。    ●これまでの研究には全身的かつ検討を要する有害な健康被害を及ぼす証拠は示されていない。   24  ヨーク大学ナショナルヘルスセンターのレビューと広報 (2000) :水道水フロリデーションの効果と安全性についての総合的なレビュー. ヨーク大学. イギリス. 参考文献;3236の文献中で、 基準に合った251の文献を掲載。 背  景  1999年に公衆衛生白書セービングライヴズ:健康な国づくりの中で、 イギリス政府は保健専門機関に水道水フロリデーションについて問われた際に、 水道事業者がフロリデーション水道水を供給することを保証する新しい法律作成を引き受けた。 この公約のためにはこれまでの証拠を独立したヨークシステマテックレビューを行い、 水道水フロリデーションの利益と安全性を確認する必要があった。 このレビューはヨーク大学ナショナルヘルスセンターで行われ、 2000年10月6日に出版された。 最終報告書はウェブサイト http://www.york.ac.uk/inst/crd/fluorid.htm で見ることができる。 結  論  ●報告書では、 フロリデーションにより小児一人当り2歯のう蝕の減少とカリエスフリー者率が15%増加することを確かめている。  ●このレビューでは、 フロリデーションはガン、 骨に関連する疾病、 あるいはこれ以外のいかなる健康被害を示す証拠はないと認めている。  ●歯科保健の不平等に関して、 報告書では次のように述べている。 "フロリデーションは5歳と12歳について社会階層間に見られる歯科保健上の不平等を減少させるという証拠があることがうかがえる。 レビューでは、 フロリデーションに関する研究の質は低いか中等度であると述べている。 25  イギリス厚生省による継続的な調査モニター  健康HC (87) 18では、 1985年の水道水フロリデーション法の成立後に、 地域ならびに地区保健機関に対してフロリデーション計画の導入に関する紹介を行い、 政府は次のように約束した。  “フロリデーションの安全性と有効性に関する更なる証拠を継続して調査し、 保健専門機関の注目に値する有意義な新事実を提供する”  調査モニターは現在進行中であり、 食品、 製品と環境に関する発がん委員会、 食品政策の医学面に関する委員会、 食品、 製品と環境に関する毒性委員会ならびに医学研究評議会の生理医学と感染部によって定期的にレビューが行われている。 (翻訳:東北大学歯学部附属病院予防歯科 田浦勝彦、 志村匡代)