4つのテスト」と、私のボランティア活動     山 本 武 夫                     

 次期ガバナーの津田達雄先生から、お誘いの電話があったのは昨年10月、二つ返事で入会の了解をしてしまいました。信頼する津田先生からのお誘いと言うことのほかに、私の中に将来に対する変化を求める気持ちが芽生えていたからでもありました。

 相田みつを師の言葉に「そのときの出逢いが 人生を根底から 変えることがある よき出逢いを」というのがありますが、まさに、私の尊敬していた、宮崎県子供の歯を守る会の故山下文夫先生が亡くなられた直後だったからでもあります。

 山下文夫先生は、フッ素によるむし歯予防の重要性を早くから訴え続けられ、アメリカ、韓国、中国など多くの国を訪問されて、日本の取り組みの遅れを指摘されました。フッ素洗口や水道水へのフッ素濃度調整法の必要性を全国各地で語り、また、その長年の運動は日本歯科医学会や当時の厚生省を動かし、水道水フッ素濃度調整法を地域住民の合意や県・地元歯科医師会が支持をすれば、技術的支援を行うという見解を出させるにまでになりました。

 私は、一昨年山下先生と韓国を訪問する機会を得ました。それまで、何回か話しはしたことがあったのですが、この時の韓国浄水場視察で私の人生観が一変しました。韓国の健康社会を作る若手歯科医師協会の先生方との懇談を通して、いかに国民の為に努力するか、山下先生のあふれる情熱が私にも伝わってきました。目から鱗が落ちたとはこのことです。

 その山下先生が、昨年の7月に急逝されました。もともと心臓に疾患を抱えておられましたが、余りにも早すぎる死に、私を含む彼を慕う人たちが宮崎で一堂に会し、今後の水道水フッ素濃度調整法の普及に努力することを誓ったのでした。

 そんな折、ロータリーのお誘いがあり、「4つのテスト」は私の今の活動にまさにぴったりのテーマでした。

 真実かどうか……フッ素は自然に存在し、我々の飲食物にも含まれ、また、我々の骨や歯を構成する元素で、特にむし歯予防に大事な歯の再石灰化作用を掌る栄養素です。多くの研究でその成果が認められており、WHO(世界保健機関)が推奨しています。

 みんなに公平か……水道水フッ素濃度調整法は、公衆衛生的(安全で,有効で、公平で、経済的)に最も優れたむし歯予防法です。

 好意と友情を深めるか……この活動は大変難しい側面もあります。しかし、基本的に市民が健康になる運動です。その活動は多いに意義があります。

 みんなのためになるか……この活動の基本が、「水道水フッ素濃度調整法と健康はみんなの願いです」で、多くの国で実践されています。

 私は、ロータリーとこの自分のボランティア活動が別のものではないと信じています。奉仕の精神を高めることで、「水道水フッ素濃度調整法」の活動が生きてくると信じています。

(井波庄川ロータリークラブ会報 2001年5月23日号)