島根県フッ化物応用シンポジウム 報告

今回のこのシンポジウムには、残念ながら出席できなかったので、島根県の深田孝宏先生や福岡歯科大学の晴佐久悟先生から頂いた資料を報告させて頂きます。大変素晴らしいシンポジウムであったことが、随所に感じられ、島根県や島根県歯科医師会の今後に大いに期待したいと思います。

このシンポジウムにあたって、島根県歯科医師会長の挨拶に、「水道水フッ素濃度適正化を推進する」とあったそうです。昨年の長崎県と共に、日本の歯科保健の新しいリード役の誕生の瞬間でした。

アメリカ国立疾病対策センター口腔保健部長ウィリアム・マス先生の講演抄録を拝見するだけで、水道水フッ素濃度適正化をいかに正確に日本国民に伝えたいか、ひしひしと伝わってきます。ホロヴィッツ夫妻、トーマス・リーブス氏、マイケル・イーズリ―先生などが、アメリカから何度も足を運んでくださってはいるが、一向に進展しない日本の水道水フッ素濃度適正化事業に、それでも厭きることなく正確な情報を提供しようと、今回のシンポジウムが開催されました。

多くの参加者があり、大成功であったと聞き、大変嬉しく思います。これが、実際に水道水フッ素濃度適正化事業に結びつくことを期待すると共に、多くの地域にこのような催しが広がることを念願します。(山本武夫)

フッ化物応用シンポジウム日程

日時 平成14年1月13日(日)    主催 島根県 島根県歯科医師会 島根県口腔衛生協会

プログラム

13:0013:10 開会式

13:1014:40 基調講演 「公共施策における水道水フッ化物濃度適正化事業」

          講師:アメリカ国立疾病対策センターロ腔保健部長 ウイリアム・マス氏

          座長:日本大学松戸歯学部教授 小林清吾氏

14:5015:50 シンポジウム 「フツ化物の応用を考える」

          シンポジスト 島根県歯科医師会公衆衛生部副委員長 深田孝宏氏

                  社会福祉法人美都福祉会都茂保育所 弥重利久氏

                  鳥根県聴覚障害者情報センター   斎藤一子氏 三宅映子氏

          コーディネーター 日本大学松戸歯学部教授 小林清吾氏

講演抄録 基調講演「公共施策における水道水フッ化物濃度適正化事業」

アメリカ国立疾病対策センター口腔保健部長ウィリアム・マス氏

1.はじめに

 フッ化物の効果は、むし歯の発生や進行を予防するだけでなく、むし歯を治す働きがあることが報告されています。天然の飲み水に、ある程度の濃度のフッ化物が含まれている地域では、住民のむし歯が少ないということがアメリカではじめて発見されました。その後、むし歯を予防するために、飲み水のフッ化物の濃度を調整することがアメリカ、カナダの4つの地域で1945年から1946年にかけてはじめられました。5年後、この水道水フッ化物濃度適正化事業の効果が明らかになり、他の多くの地域で水道水のフッ化物濃度の調整が、はじまりました。最初の研究に引き続き、水道水フッ化物濃度適正化の研究が数多く行われてきました。アメリカにおける研究、実験、その他多くの国々での研究は、水道水フッ化物濃度適正化が健康への害もなく、むし歯が予防できることを立証してきました。アメリカの健康目標は「ヘルシービープル2010」にまとめられています。その中で、「アメリカ国民の75%の国民が、フッ化物濃度が調整された水の供給を受けること」が歯科保健目標のひとつに掲げられています。しかしながら、連邦政府が各地域に対して、水道道水フッ化物濃度適正化を強制しているものではありません。水道水フッ化物濃度適正化を行うか否かの決定は州毎に行われます。州は日本でいう都道府県に相当します。しばしば、その決定は各市町村単位で行われることもありますが、どの地域においても歯科専門家がリーダーシップを発揮しています。水道水フッ化物濃度適正化を実施するために、歯科医師は医者やその他の保健関係者と連携しています。今日では、地域水道水供給システムを利用している住民の約2/3が、フッ化物濃度が調整された水を飲んでいます。その数は1億6200万人にのぼります。水道水フッ化物濃度適正化の成果は、歯磨剤、洗口、フッ化物塗布といった形で利用されるフッ化物濃度が高い応用製品の開発につながりました。また、水道水フッ化物濃度適正化を実施する地域が広がるにともない、これらの地域で生産されたフッ化物が微量に含まれた清涼飲料水、食品が普及するようになりました。このように、アメリカ国民は50年以上に渡って、フッ化物という資源を有効に活用し、むし歯を著しく減らしてきました。その結果、むし歯で歯を削ったり、抜かれたりすることが少なくなり、生活の質が大きく改善されました。今回の講演は、フッ化物のむし歯予防の作用方法、水道水フッ化物濃度適正化の効果、安全性、アメリカにおける歯科専門家の役割、様々なフッ化物利用の推奨をお話していきたいと思います。

2.フツ化物のむし歯予防の作用方法

 むし歯は感染症です。むし歯の原因菌が産生する酸が、工ナメル質の硬い表面を溶かします。この状態が続くとむし歯の原因菌が歯を溶かし続け、むし歯が象牙質まで広がり、歯髄(神経)を侵し、最後には抜かれるということになります。むし歯の原因菌は細菌や食べかす、唾液成分からなる歯垢の中に生息しています。むし歯の原因菌は、歯の表面にコロニーを形成し、ポリサッカライドを産生し、歯の表面に粘着しています。この状態を放置しておくと、歯垢は成長し続け、むし歯の原因菌の数が増加していきます。むし歯の病巣ができる初期の段階では、歯垢中のむし歯原因菌が砂糖や炭水化物を分解し、酸が産生されます。この酸がエナメル質最表層を脱灰します。

 この図はフッ化物がいかに作用するかを示しています。酸による脱灰はエナメル質結晶からのカルシウムイオンやリン酸イオン、炭酸イオンの溶出を意味します。溶かされた歯の表面では修復も行われます。歯垢の中にミネラル分が貯蔵され、エナメル質に再吸収されることにより修復が行われます。フッ化物が口の中にあると、歯垢の中のフッ化物濃度が維持されます。むし歯原因菌が炭水化物を分解し、酸を産生すると、歯垢の酸の濃度も上昇します。そうするとフッ素イオンが歯垢から歯の表面に向かって放出されます。その放出されたフッ素イオンと唾液の中のフッ素イオンが、一度脱灰を受けた部分に、カルシウムやリンなどとともに取り込まれ、エナメル質の結晶構造を修復します。この修復された結晶構造はフッ素イオンをより多く含むとともに、炭酸イオンの少ない、酸に対して強い抵抗力をもったものとなります。このようなステップでフッ化物は初期のむし歯を予防します。歯垢や唾液中のフッ化物は健全なエナメル質の脱灰を阻害するとともに、脱灰を受けたエナメル質を再石灰化(修復)させる作用があります。フッ化物は健全な歯よりもむしろ、脱灰を受けた歯に効果的に取り込まれます。脱灰と再石灰化の過程は、生涯を通じて行われます。フッ化物濃度を調整した水の摂取、フッ化物配合歯磨剤の使用、その他いろいろなフッ化物の応用によって、唾液中のフッ化物の濃度が100倍から1000倍に高まります。この濃度は1、2時問の間で、もとの濃度に戻りますが、この唾液が歯垢のフッ化濃度を維持し、再石灰化のための重要な供給源となります。

3.局所的な効果

 フッ化物がどのようにむし歯を予防するかが研究によりわかってきました。フッ化物の予防効果は歯が萌出してからの局所的なものであることがわかってきました。その効果は、適時、適在、適切な量のフッ化物により発揮されます。口腔内に微量のフッ化物が、常に一定に維持されると、フッ化物は萌出した歯に効果的に働きます。ですから、こどもだけでなく、大人もその恩恵を受けることができます。飲料水の主な供給源がフッ化物濃度を適正化した水であると、口腔内に、低濃度のフッ化物が維持されます。このうちのいくらかは歯垢に取り込まれます。フッ化物濃度を適正化した水道水、清涼飲料水、食晶から頻繁にフッ化物を摂取することによって、口腔内に低濃度のフッ化物が維持され、歯垢に取り込まれます。

4.水道水フツ化物濃度適正化の効果

 水道水フッ化物濃度適正化の初期の研究では、こどもたちのむし歯が5060%減少したと報告されています。最近の研究では、若干、減少率が低下し、1840%です。減少率の低下の理由は、フッ化物配合歯磨剤などの他のフッ化物利用が、水道水フッ化物濃度適正化を行っていない地域で普及したことが考えられます。さらに、水道水フッ化物濃度適正化を行っている地域の清涼飲料水や食品がフッ化物濃度適正化を行っていない地域にも普及する、「拡散効果」や「ハロー効果」といわれている効果がその原因にあると考えられます。こういった効果により、むし歯経験の地域格差を狭めています。日本ではアメリカほどフッ化物配合歯磨剤が普及していませんし、フッ化物濃度が適正化されている地域で生産された清涼飲料水や食品も手に入れることはできません。ですから、日本で水道水フッ化物濃度適正化を行った場合、4060%の減少率の効果を期待することができるでしょう。水道水フッ化物濃度適正化の大人に対するむし歯予防効果を研究することは、技術的に困難なことが多く、こどもへの効果をまとめた研究ほど多くありません。しかし、水道水フッ化物濃度適正化がすべての人々に効果があるという十分な証拠を私たちは持っています。高齢者は根面むし歯をたくさんもっているとともに、多数の薬を服用しているので、唾液の分泌が悪くなっています。こういった高齢者には大きな効果があります。水道水フッ化物濃度適正化は、社会経済的状況の違いによるむし歯経験の格差を減らします。多くの国々で、社会経済的に恵まれていない人は、恵まれている人に比べてむし歯が多いことがわかっています。このむし歯経験の格差の原因はよくわかっていませんが、社会経済的に恵まれていない人は、むし歯予防についての知識が少なく、また、予防指導に従うことが困難であるからだと考えられます。社会経済的に恵まれていない人の方がフッ素添加の恩恵をより多く受けることができます。社会経済状況にかかわらず、水道水フッ化物濃度適正化はむし歯予防のための最も効果的で、有意義な戦略であるといえます。

5.水道水フッ化物濃度適正化の費用

 水道水フッ化物濃度適正化は安全であるだけなく、むし歯を予防できる安価な方法です。アメリカでは、水道水フッ化物濃度週正化の費用は年間一人平均1ドル、日本円にして100円程度です。人口2万人の地域を対象にした研究では、むし歯治療の必要性がなくなったことにより、毎年一人当り19ドルのお金が節約されたことがわかりました。

6.水道水フッ化物濃度適正化の安全性

 水道水フッ化物濃度の安全性については、世界保健機関(WHO)が1984年に、アメリカ厚生省(PHS)が1991年に、アメリカ国家研究審議会(NRC)が1993年に、アメリカ国立薬学研究所(NIM)が1997年に報告を行ってきました。これらの報告は、アメリカ国立疾病対策センター(CDC)のウェブサイトで閲覧できます。アメリカ国家研究審議会(NRC)はアメリカ国立科学アカデミーの諮間機関です。1993年にアメリカ環境保護庁の諮問への答申を行いました。それは、現在、日本の公衆衛生関係者でも話題になっていることです。諮間の内容は、水道水フッ化物濃度適正化に用いる量のフッ化物のがんや腎疾患、骨疾患等の健康間題へのリスクについてです。アメリカ国家研究審議会(NRC)は、その答中書の中で、信頼できる科学的証拠に基づき、水道水フッ化物濃度適正化はがんの原因にならないこと、腎臓疾患の原因にならないこと、骨疾患の原因にならないという結論をまとめました。また、他の研究では、水道水フツ化物濃度適正化が神経性疾患、アルツハイマー、ダウン症の原因ではないという結論をまとめました。水道水フッ化物濃度適正化に反対する人達は、それを数多くの健康問題に関連づけます。インターネットを使って、世界中に自分たちの反対意見を急速に広めていきます。しかし、科学的に受け入れられる知識に基づいた、効果や安全性への反対意見ではありません。50年以上にわたる歴史から生み出された数多くの科学的根拠が、水道水フッ化物濃度適正化が安全で、効果的であることを証明しています。

7.歯科専門家の役割

 アメリカ歯科医師会は水道水フッ化物濃度適正化の成果がはじめて確かめられて以来、支援をしています。また、歯科専門家が連邦攻府機関のアメリカ国立衛生研究所(NIH)や国立疾病対策センター(CDC)で研究や技術支援、標準作りを行っています。連邦政府は水道水フッ化物濃度適正化については、各地域に強制はしていません。その決定は州毎に行われていますし、時に、各地域単位で行われることがあります。歯科専門家たちが、どの地域においても水道水フッ化物濃度適正化実現のリーダーシップを発揮しています。アメリカの50大都市のうち、43都市が水道水フッ化物濃度適正化を行っています。公共水道水の供給を受けている人の2/3が、フッ化物濃度が適正化された水を飲んでいます。その数は1億6200万人以上にのぼります。これらの都市では、歯科医師たちがリーダーシップを発揮し、勝者となったことによって可能となったわけです。彼等は、医者やその他の保健関係者と連携し、水道水フッ化物濃度適正化の実施に向けて、行政役人の教育を行ってきました。

 この地図は各州の水道水フッ化物濃度適正化の決定状況を示しています。27州で、その州の75%以上の人々が、フッ化物濃度を適正化された水を飲んでいることがわかっていただけると思います。しかし、むし歯が公共の福祉にかかわる健康問題で、水道水フッ化物濃度適正化の効果を認識していない首長が依然多くいます。そういった地域では、反対派が、水道水フッ化物濃度適正化が危険であるという根拠のない主張を行い、住民の考えに影響を与えます。歯科専門家は水道水フッ化物濃度適正化を支援することによって、アメリカ国民から高い尊敬を受けています。冗談に、歯科医師の仕事がなくなっているのではないかと危惧されると思います。しかし、実際はそうではないのです。歯科医師の収入は他の職種よりも急速に増加してきました。今日では、歯科医師は医師よりも多い収入を得ています。むし歯の治療に費やしていた時間が減りましたが、歯科医師が提供するサービスの内容が変わったのです。診療時間の多くが予防サーピス、根管(歯根)治療、かぶせやブリッジの治療に費やされています。また、むし歯治療に明け暮れることがなくなったので、歯科医師たちはより多くの患者をみることができるようになり、歯科医師の経済的な保証が確保されました。さらに、むし歯が減ってきたので、国民の口腔保健への期待が高まってきました。誰もが歯を抜いてほしいと思っていません。こどものときにむし歯になり、数年後には数本の歯が抜かれます。大人たちは、歯が抜かれたところにブリッジを入れたがっています。住民の口腔保健への関心が高まるにともない、住民はよりよい健康状態をもとめて、歯科のサービスにお金を使います。患者や保険会社はもはや、むし歯治療にお金を使わなくなり、歯並びの治療や歯のメインテナンスことにお金を費やしているのです。

8.推奨

 アメリカ公衆衛生局長官のデピッド・サッチャーは「水道水フッ化物濃度適正化は、こどもも大人も生涯をとおしてむし歯を予防し、健康を改善する、唯一、最も効果的な方法である」との見解を出しています。アメリカ国立疾病対策センターは、この度、推奨通知を行いました。むし歯を予防するためにはフッ化物は生涯をとおして必要です。アメリカにおいては、フッ化物濃度が適正化された水やフッ化物配合歯磨剤が、最も、一般的なフッ化物の供給源であり、アメリカ国民のむし歯へのリスク低下に大きく貢献しています。歯の脱灰を予防し、石灰化を促進させるために、全ての人々が微量のフッ化物を頻繁に摂取すべきであります。それは、最適濃度のフッ化物が添加された水を飲み、l日2回フッ化物配合歯磨剤を使ってブラッシングをすることによって可能になります。むし歯のリスクが低いこどもや大人は、微量のフッ化物を頻繁に摂取することでリスクが低い状態を維持することができます。むし歯のリスクが高い人々は、フッ化物洗口やフッ化物錠剤、フッ化物塗布などの濃度の高いフッ化物の利用が望まれます。

9.結論

 アメリカや他の国々では、フッ化物が住民の歯の健康の改善に大きく貢献してきました。水道水フッ化物濃度適正化の継続や、新たな地域で水道水フッ化物濃度適正化を実施することが、健全な歯科保健施策の基盤であるといえるでしょう。

 

島根県のフッ化物応用シンポジウムに参加して     福岡歯科大学 晴佐久 悟

平成14113()に開催された島根県のフッ化物応用シンポジウムには、島根県の関係者をはじめ他県からも多数来られていました。今回のシンポジウムに来られなかった方のためにポイントを絞ってご紹介したいと思います。

1.基調講演

「公共施策における水道水フッ化物濃度適正化事業」と題してアメリカ国立疾病対策センター口腔保健部長であるウィリアム・マス先生が講演をされました。フッ化物のう蝕予防メカニズム、水道水フッ化物濃度適正化の費用・効果・安全性を解説されました。その中で特に印象に残ったのがありましたので簡単に紹介したいと思います。

  • 水道水フッ化物濃度適正化を行うか否かの決定は州ごとに行われ、その決定はしばしば市町村単位で行われることもありますが、どの地域においても歯科専門化がリーダーシップを発揮している。
  • 歯科専門家は水道水フッ化物濃度適正化を支援することによって、アメリカ国民から高い尊敬を受けている。
  • 水道水フッ化物濃度適正化によってむし歯治療に明け暮れることがなくなったので、歯科医師はより多くの患者をみることができるようになり、歯科医師の経済的な保障が確保された。

水道水フッ化物濃度適正化を支援・実施していくのにリーダーシップを取るのは歯科医師であり、それを実行することによって高い尊敬を得られる。また、う蝕が減少することにより国民の口腔保健への期待が高まり国民はよりよい健康状態をもとめて歯科サービスにお金を使い、歯科医師の収入が増加するという良い循環になっているようです。それと比較して日本は、歯科保健対策を歯科医師が積極的にしない→う蝕が減らない→対症療法しかしない(削ることしかしない)→国民の尊敬、収入を得られないという悪循環に至っているようです。「対症療法スパイラル」とでもいうのでしょうか。

アメリカの歯科医療

日本の歯科医療(対症療法スパイラル)

2.シンポジウム

最初に、久米島の助役である新城さんからのメッセージがありました。

「全国各地から応援のメール、手紙ありがとうございました。私ども水道水フッ化物濃度適正化の実施に向けて一生懸命頑張っておりますので今後ともご支援、ご声援よろしくおねがいします。」とのことでした。今後も具志川村の支援を全国区で頑張っていきましょう。

次に島根県歯科医師会、公衆衛生部の深田孝宏先生から社会福祉法人 都茂保健所の弥重利久さんから、島根県聴覚障害者情報センターの斎藤一子さんから、現在の島根県の歯科保健状況について説明されました。

最後に小林先生がAAPHD賞を故山下先生が受賞されたこと、水道水フッ化物濃度適正化の水道水のフッ素濃度に関して説明されました(下記参照)

水道水フッ化物濃度適正化の濃度について

  • 0.8ppm以下でも日本において効果は十分にある。
  • フッ素濃度の濃度管理は、精度が高く0.75ppmを基準として行えば問題はない。
  • 水道水をフッ素濃度調整した場合、浄水場と蛇口から出てくる水道水のフッ素濃度はほとんど同じである。

結論として法律上(0.8ppm以下)においても水道水フッ化物濃度適正化を実施することは問題がないとのことでした。

島根県の今回のシンポジウムは初めての県行政主催のフロリデーションシンポジウムであり、画期的なことであると思います。これを企画した梶浦先生は歯科専門家としてリーダーシップを発揮し、島根県の歯科保健状況を改善する努力をされており、感銘を受けました。

今後、行政、歯科医師会、歯科衛生士会の歯科専門家が一体となりリーダーシップを取り、地域住民と協力して水道水フッ化物濃度適正化事業を含む歯科保健事業を推進することによって、国民の健康増進、歯科保健の向上を目指せば、日本の歯科医療はいい方向に向かうのではないでしょうか。