東京新聞11月18日朝刊、総合欄「虫歯予防」

水道水フッ素化技術支援 厚生省方針 実施は自治体判断

2000年11月17日衆議院厚生委員会の自由党武山百合子議員の質問に,厚生省幹部が明らかにしました。東京新聞が詳しく取材をして,記事にしてますので,紹介いたします。(東京新聞ホームページより転載)

厚生省の姿勢は,徐々に明らかになってきました。水道水フッ素化に前向きな発言が,公式にされました。滝口歯科保健課長のこれからの手腕に期待をして行きたいと思います。

こうしてみると,次は,日本歯科医師会が取り残された感じがします。一刻も早く,国民の健康を担う,将来に渡っての新しい見解を示さねばなりません。

 虫歯予防に有効とされるフッ素を水道水に添加し虫歯予防を目指す「水道水フッ素化」について、厚生省は十七日、フッ素化への技術的支援を行う方針を明らかにした。フッ素を含んだフッ化物は既に歯磨き粉への添加や歯への塗布などが行われているが、水道水への過剰なフッ素の添加は歯の表面が白く濁る斑状(はんじょう)歯の原因となることから、国内では見送られてきた。フッ素化を行うかどうかは水道を運営する自治体の判断で、一部の自治体が実施に踏み切る可能性も出てきた。一方で水道水のフッ素化は健康影響などから根強い反対があり、今後、議論を呼ぶのは必至とみられる。

 厚生省によると、技術的支援を行うのは、自治体と都道府県の歯科医師会などで実施に向けての合意が得られている場合。(1)その地域に最適なフッ素濃度を決める(2)フッ素の添加装置や機種の選定――に関し、専門的なアドバイスを行う。フッ素の濃度は、現行の水質基準以内で行うとしている。

 同省幹部は「国としてフッ素化を勧めたり抑制したりできない。実施するかどうかはあくまで自治体の判断」と述べ、最終決定は自治体にゆだねる姿勢だ。

 フッ素に虫歯予防の効果があることは二十世紀初めから知られ、国内でも、一九五一(昭和二十六)年から京都市山科地区などで試験的に水道水フッ素化が行われた。しかし、五〇年代から七〇年代にかけ、高濃度のフッ素を含んだ水道水が原因で斑状歯になったとして、兵庫県西宮市と同県宝塚市の住民が両市を相手取り、相次いで損害賠償を求める訴訟を起こした。

 訴訟は住民側敗訴が確定したが、これを契機に「斑状歯問題」が注目され、水道水にフッ素を添加する動きは立ち消えに。全国の水道の多くは自然に存在するフッ素量程度しか含まず、水道法の基準値(一リットル当たり〇・八ミリグラム)を大きく下回る濃度にとどまっているのが現状という。

 一方、フッ化物応用に対しては(1)フッ素総摂取量の増大に伴う生活・環境上の医科学的調査がない(2)フッ化物利用の重複使用による疫学的調査などが行われていない(3)フッ化物使用は安全性が未確立(4)フッ化物によらなくても子どもの虫歯は減少している――などを根拠に、水道水フッ素化に反対するグループもあり、今回の厚生省の見解に強く反発する動きが表面化することも予想される。

 九〇年の世界歯科医師会の調査によると、海外では米国や豪州、シンガポール、韓国、香港など三十八カ国・地域が水道水フッ素化を導入している。

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