「フッ素水道で歯丈夫に」利賀村が積極姿勢  2001.3.10 朝日新聞(富山版)朝刊記事 

 

調査予算を提案  安全性で慎重な見解も

 

 

(記事内容)虫歯予防に有効とされるフッ素の水道水添加について、利賀村は新年度予算に調査費を計上し、9日開催の村議会に提案した。導入されれば、県内の市町村としては初めての試みとなるが、国内では健康への影響がすべて解決されたわけではないとする声もあり、同村は「検討段階で導入を決めたわけではない」と慎重だ。

調査費は20万円。フッ素利用に意欲的な取り組めを行っている国内の自治体を調べるほか、職員を先進地の韓国に派遣し、添加施設を視察する。

同村では、歯科医師や役場職員らで「歯科保健推進協議会」を組織し、フッ素の虫歯予防効果に注目していた。昨年11月からは村内の小中学校で、フッ素水でのうがいを励行し、村内全体への普及策として水道水への添加案が浮上したという。

水道水へのフッ素添加は、欧米を中心に普及している。厚生労働省(旧厚生省)は、昨秋、地元住民の合意、水道水の水質基準内を条件に、添加を容認する方針を打ち出している。

世界保健機関 (WHO)などの調査では、日本の12歳児の虫歯の本数が、米国の3倍近いという報告もある。予防効果は高く、県の学校歯科医会によると、昨年3月末時点で、県内の幼稚園や保育所、小・中学校の90施設、約1万3千人がフッ素水でうがいを行っていたという。

しかし、フッ素水の安全面を巡っては必ずしも見解がまとまっていない。多用すると、骨硬化症になるという指摘もあり、日本歯科医学会はフッ素水のうがいや歯磨きは勧めるものの、水道水への添加については推奨を見送っている。

村の住民福祉課は、「飲み水の水道水に入れるとなれば、住民の合意が必要だ。賛否両論があること承知しており、今後専門家からも話を聞く。」としている。