ご 挨 拶

富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク:And You(あゆ)の会 の発足にあたって                    

                                              発起人代表兼事務局  山本武夫

 富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク(愛称はAnd You(あゆ)の会)の発会にあたり、発起人を代表致しまして、一言、ご挨拶申し上げます。

 さて、本日はおいそがしい中を、井波町長 清都邦夫さまをはじめ多数のご来賓のご出席を賜りましたことを心より感謝申し上げます。並びにご招待申し上げました井波町各種団体の皆様、県内の歯科保健関連団体の皆様、ようこそおこし頂きました。ご参加頂きましたことに、熱く熱く感謝申し上げます。

 それから、曲げて日程を調整していただき、今回の記念講演をお引き受け頂きました.日本大学松戸歯学部衛生学教室の小林清吾先生には、心より御礼申し上げます。先生は,現在、歯科大学の教授で日本で1番フッ素に関する見識の高い先生です。その先生の素晴らしいご講演を,この会の発会に聞かせていただける光栄を,私達は大変うれしく思います。後程,よろしくお願い致します。

 また、この会の発会に当たりまして、ビーブランド社、ゾンネボード製薬などフッ素関係メーカーには、ご無理を言いまして資料等の提供を受けました.この場をお借りし厚く御礼申し上げます。

 さて、21世紀が幕開けをして、人々の関心は名前だけのものより実のあるものに、また、本当に信頼されるものが何か、見極めようとされつつあります。国民のこの新しい世紀に対する期待が,小泉内閣をも,誕生させました。本当に国民にとって有意義な政策が行われるか大変楽しみです。

 ところで、私達歯科関係者は、ようやく歯を失う最大の原因であるむし歯や歯周病を予防する方法を手に入れかけています。世界の多くの国では、フッ素によるむし歯予防法の発見されて以来、数多くの基礎研究や社会的応用の実績がなされました。そして、その成果が科学的に証明され、むし歯は完全にコントロールされる病気の1つになっています。しかし、残念ながらこの日本では、私達のまわりに、そのような情報はまだまだ少なく一般市民の知るところとなっていません。

 私は昭和57年の創立より県立となみ養護学校の学校歯科医を務めております。創立時、そこの障害を持つ子供達は大変な口の中をしておりました。手入れが行き届かず、虫歯だらけでした。なかなか治療も受けられず、親子ともども大変な状態でした。

 そんな時,当時の教頭先生が,私の高校の恩師で、「おまえ,子供達の為にいい方法を考えてみろ。」といわれ,うがいの出来ない子どももいることから,フッ素によるうがいをするフッ素洗口より,直接歯にフッ素を塗るフッ素塗布を行うことになりました。

 続けるうちに効果が現れ始め,永久歯の虫歯がフッ素塗布を開始した平成3年に小学部全体で2.9本あったものが、平成7年に0.8本にまでに減りました。

 2ヶ月に1回,現在も中学部3年まで,50名ほどの子供達にフッ素塗布を行っています。

 ここまで継続してみて、永久歯の虫歯予防には大変効果があったことは認めます。しかし、今、私が課題としていることは,乳歯の虫歯がまだまだ非常に多いこと,それから,永久歯が入学する以前に生えていると、もうすでに虫歯になっており予防が出来ず、小学部全体の数字も0.8本から1本あたりで頭打ちになったこと、さらには,フッ素塗布には大変労力が要るのですが,私自身が歳を感じてきたこと、つまり非常に疲労感を覚えるようになったことなどです。

 こんなとき,たまたま、1昨年韓国を訪問する機会を得ました。このような障害を持つ子供たちにいい方法があったのです。公衆衛生的に最も優れている方法だといわれる,フッ化物の全身応用の方法があったのです。

 そして,この方法は歯科保健的にも弱者といわれる,乳幼児や高齢者にも恩恵をもたらす良い方法なのです。

 さて、国民の健康を総合的に体系的に進めようという「健康日本21」という計画でも、国や日本歯科医師会は8020運動という80歳になっても20本以上の歯を残そうという運動を進めており、国民の目標に挙げています。それらすべての出発点は歯を健康に保つ、つまり、むし歯にならないように予防をしっかりすることなのです。

 そんな中で私達、志を同じくする仲間は、今、「富山県歯の健康プラン」を、市民レベルで支えるために、立ちあがりました。それは、県民の皆様の歯やお口の健康の確保に努め、さらに全身の健康の保持増進に寄与するための活動を目的として、富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク(And You《あゆ》の会)を組織しました。

 私達は、国民あるいは県民全体がむし歯予防の正しい知識を持ち、フッ化物の応用という優れた方法で健康である政策が進められるよう努力したいと考えています。そのためには、正しい情報を的確に提供し、そして、現在普及が十分でないフッ素洗口やフッ素塗布の事業の進展を目指すとともに、特に公衆衛生的に(公衆衛生的にというのは,誰もが平等に公平に,安全な方法で,効果的で,経済的にも優れた方法のことを言いますが)

最も優れたフッ化物の全身応用の、水道水フッ素濃度適正化を可能な地域より広めようとするものです。

 幸い、日本歯科医学会でも、フッ化物検討部会の「むし歯予防のためのフッ化物推進」の答申を受けて、厚生省(現:厚生労働省)や日本歯科医師会が、従来の方針を改めました。つまり、住民の合意と地元歯科医師会の支持という条件付ではありますが、水道水フッ素濃度適正化を容認しました。そうした中、沖縄県の久米島の具志川村は厚生労働省の支援を受け、平成13年中に実施される予定です。県内でも実施を検討する自治体が表れました。

 これから、住民の方の理解を得て、水道水フッ素濃度適正化を県内に広めて行こうとするには大変苦労が予想されます。私達の活動が礎になるよう努力したいと思います。

 最後に、是非、私達のこの活動にご理解頂き、諸外国では常識となっている、むし歯は過去の病気であるといえる世界を実現するために、ご協力をお願い申し上げます。子供から高齢者・障害児者まですべての人の歯の健康を守り、皆さんが自分の歯でしっかり噛めて、おいしく物を頂き健康である社会を実現しましょう。

 本日は,皆様のご参加に厚く熱く感謝申し上げます。

 以上で,発会に当たりまして,発起人を代表しての挨拶に代えさせていただきます

 どうも.有難う御座いました。 

(2001年5月27日午後1時30分 井波町社会福祉センター 三階ホールにて)