読売新聞宇都宮支局のホームページより

 Yomiuri On-Line  栃木 地域情報とニュース   4月19日


水道水にフッ素添加 西方町会が審議

厚労省「水質基準内ならOK」

西方町内の小学校ではフッ素溶液による洗口が行われている(中田嘉之さん提供)

 西方町の歯科医師らが、虫歯予防のため、水道水にフッ素を添加するよう議会に請願した。これを受けて、町議会はきょう十九日の特別委員会から審議する。フッ素を使った予防では歯に塗ったり、洗浄するのが一般的。水道水の添加は、世界約六十か国で行われているが、健康被害を懸念する指摘もある。町議会の議論が注目される。

 西方町本郷、歯科医師中田嘉之さん(57)ら町内の医師、薬剤師七人が、今年三月議会に請願書を提出した。中田さんは学校医を約二十五年間務め、町内の小学校でフッ素を使った口内洗浄を中心に虫歯予防に取り組んできた。その結果、虫歯にかかる児童が、予防に取り組んだ当初に比べ、約五分の一に減少したという。

 フッ素は、微量ながら海水や土壌、水道水のほか、紅茶や緑茶、ウーロン茶などにも含まれている。歯の再石灰化を促進し、虫歯の予防、歯や骨の発育にもつながることが知られている。

 一方で水質基準法では、その濃度が厳しく規制されており、水道水の上限は0・8ppm(一リットルあたり0・8ミリ・グラム)。現在、西方町の水道水に含まれる濃度は0・1ppm以下となっている。中田さんらは、水道水にフッ素を添加して0・7ppmまで引き上げることを提案している。

 中田さんによると、国内で水道水に添加している自治体はないものの、アメリカ(推奨濃度は1ppm前後)や韓国(同0・8ppm)など約六十か国で添加している。「日本人に虫歯が多いのは、水道水のフッ素濃度が外国に比べて、非常に低いのも原因の一つと考えられる」(中田さん)。

 しかし、水質基準があるように、過剰添加に伴う安全性を疑問視する専門家もいる。

 中田さんは「世界的にはもちろん、厚生労働省もフッ素の虫歯予防効果については認めている。偏見を無くし、正しい知識を知ってもらい、健康増進に役立たせたい」と話している。

 厚生労働省は「基本的に水質基準内であれば、住民の理解を得て自治体の判断でフッ素添加は可能。自治体からの要請があれば技術的な面で支援する」としている。