「日本歯科評論」2002年6月号 特別企画 p.159-175                    トップへ

第50回日本口腔衛生学会・総会 シンポジウム 「21世紀における口腔保健とフッ化物応用」より

  (筆者コメント:山本武夫) 
日本歯科評論が、2002年6月号に、昨年2001年9月名古屋で開催された日本口腔衛生学会・総会のシンポジウムの特集を掲載しました。大変詳しく内容をまとめてあり、歯科保健関係者、必読の記事である
 日本歯科評論社も、よくぞ掲載を決断した、と敬意を表したい。昨年来、韓国の実態等、先進的な取り組みの紹介を掲載するよう求めていたが、なかなか踏み切れず、しかし、この企画はそれをはるかに上回るものであるだけに、溜飲を下げた。

 なお、このシンポジウムで、高江洲座長から「名古屋宣言(当時:仮称)」なる、フロリデーションをはじめとするむし歯予防のフッ化物応用推進のための決議がされた。参加者から、満場一致に近い拍手で賛同された。あまりにすばらしい内容に、これらを、HPに速報した経緯がある。
 ところが、日本口腔衛生学会の常務理事会で、異議が出され、このすばらしい宣言を訂正し、学会誌に掲載された。小生に対しても、事実であるこの宣言(仮称つき)を、HPから削除するよう求めてきた。このシンポジウムに参加した一人として、また学会員として、まことに遺憾である。日本歯科医学会答申でも、見解が出され、厚生労働省や日本歯科医師会が条件付とはいえ、進める見解を出しているのに、口腔保健当事者たる主学会が、何も出来ないでいる。全くあきれた話である。

 そこで、このページでは、第50回学会・総会の責任者の中垣学会長のシンポジウム関連記事の掲載理由と、各講演者の発表内容を目次で掲載するので、是非、「日本歯科評論」6月号を歯科保健関係者は、読んでもらいたい。
 そして、中垣学会長の勇断にも、心より敬意を表したい。

日本歯科評論 6月号 特別企画 「第50回日本口腔衛生学会・総会 シンポジウム」

「21世紀における口腔保健とフッ化物応用」より

 2001年(平成13年)9月29日(土)・30日(日)の両日、名古屋市の愛知学院大学歯学部において、総合テーマを「21世紀のヘルスプロモーションへ向けて―方法と科学―」として第50回日本口腔衛生学会・総会が開催された。
 2日目の30日にはシンポジウム(2)として「21世紀における口腔保健とフッ化物応用」(座長:高江洲義矩東歯大名誉教授、キム・ジンボムプサン大学教授)が、英国、米国、韓国および日本の4名の招待皓之によって開催された。本シンポジウムは、学会が50回を迎えることが出来た現在、先人の尽力に感謝し、新しい21世紀の健康づくりの1つのkeyとして”上水道フッ化物添加”を中心にフッ化物応用が取り上げられたものである。
 近年の東南アジア諸国各地では、上水道フッ化物添加が実施されている。とくに韓国で急激に拡大しているのは周知のとおりである。この問題は、アジアの中の日本、また今後の日本の健康づくりをすすめる上においても大切であろうと考えたので、学会長としての立場で本シンポジウムの講師の方々の原稿を元に、当日の発表内容をまとめてみた。ご参考になれば幸いである。

中垣晴男  第50回日本口腔衛生学会・総会 学会長 (愛知学院大学歯学部教授)


1.英国における上水道フッ化物添加   
       シイラ C・ジョンズ(英国リバプール大学歯学部臨床歯科学講座助教授)

  
  ・西ヨーロッパにおけるフッ化物応用の現状
  ・英国における上水道フッ化物添加の現状
  ・英国における上水道フッ化物添加が進展しない理由
   @英国の水道産業の民営化
   A反フッ化物添加運動
   B齲蝕傾向の変化
  ・費用効果について
  ・英国の上水道フッ化物添加政策に対する主な影響
  ・反フッ化物添加への戦略 

2.米国における上水道フッ化物添加の現状とフッ化物添加へ向けての戦略 
        トーマス G. リーブス(CDC(米国疾病予防センター)、フッ化物添加技術技師)


  ・はじめに
  ・現在のフッ化物添加の状況
  ・上水道フッ化物添加の技術的局面
  ・戦略上の計画
  ・行為のための戦略 
  ・戦略上の計画のコンポーネント 
  ・まとめ

3.韓国における水道水へのフッ化物添加
        ヒョック スー ムーン(ソウル国立大学歯学部(口腔衛生学)教授) 韓国口腔衛生学会長


  ・韓国における水道水へのフッ化物添加の取り組み
  ・KDAHS(韓国健康社会のための歯科医師の会)の活動
  ・健康増進法、口腔保健法の成立
  ・反フッ化物添加の運動
  ・上水道フッ化物添加の進展
  ・まとめ

4.日本におけるフロリデーション導入への努力
        小林清吾 (日本大学松戸歯学部衛生学教授)


  ・はじめに
  T.齲蝕と喪失歯数の現状
  U.健康づくりの基本方針
  V.齲蝕予防の疫学モデル
  W.健康日本21の目標達成に有力なフロリデーション
  X.フロリデーション実現に向けての好機
  Y.フロリデーション反対運動
  Z.齲蝕予防は歯科医師の首をしめるか
  [.フロリデーション装置を活用した歯科学生実習
  ・まとめ


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