平成24年度富山県高校総体(射水市大門体育館)
 2012年(平成24年)6月2-3日

 今年の高校総体は、春季の覇者高岡工芸男子・富山北部女子を中心に他校がどこまで食い込めるか、見ものであった。勝負の世界は何が起こるか分からず、かって春に勝つと夏に勝てないというジンクスもあったそうだ。上に立つものは常に目標にされる、一方的に研究され、それを覆すには、やはり稽古しかないのであろう。苦しい練習や辛い稽古を糧として、インターハイ出場という栄光を勝ち取るのだ。
 まず、初日は男子個人戦から。2年間で、ここまで 6県大会中4度制覇している木倉選手を中心に、誰が続くか興味があった。Aコートは、第1シードの木倉選手が、3回戦で延長で嶋田選手(龍谷富山)を退け、4回戦では、山本選手(砺波)を破って、久々上位に進出してきた松田尚之選手(富山東)と対戦、終了間際に放った突きが見事に決まって、コート決勝(準々決勝)へ。相手は、4回戦で黒田選手(高岡)に面1本勝ちした長瀬選手(富山工業)で、結果は面2本勝ちした木倉選手が順当に決勝リーグ進出(ベスト4)した。Bコートは、同じくシードの篠原選手が、4回戦で若野選手(高朋)に勝ち順当にコート決勝へ。相手は、4回戦で水野選手(入善)を破った若林選手(龍谷富山)で、結果は篠原選手が終盤近くにはなった突きが決まって、順当に決勝リーグ進出。Cコートは、シードの田代選手が3回戦で多田選手(富山東)を延長で退け、4回戦で澤田選手(砺波工業)を下してコート決勝へ。相手は、3回戦で藤城選手(龍谷富山)を破った水島選手(富山中部)に、4回戦で面2本勝ちした早瀬選手(高朋)で、結果は田代選手が面1本勝ちして決勝リーグ進出。Dコートは、第2シードの青山選手(龍谷富山)が、3回戦で棚田選手(南砺福野)を4回戦で林選手(富山)を破り、順当にコート決勝へ。一方は、大浜選手(富山東)を3回戦で破った柞山選手(富山工業)に、切れのある面を打ちこんで快勝してきた宮野選手(高岡工芸)が、面1本勝ちしてコート決勝に進んだ。準々決勝は、延長戦で他コートがだいぶ前に終わっている中、注目を集めて始まり、終了間際に、宮野選手の放った面が決まり、青山選手は無念の敗退。
 男子個人決勝リーグは、1試合目に、篠原選手が木倉選手から、面を先制、続いて相手をしっかり見て、胴を抜いて2本勝ち。一方同僚対決は、田代選手が、宮野選手を圧倒、面2本勝ちした。2試合目は、木倉選手が、田代選手を思い切りよく攻めつづめ、面・小手の2本勝ちし、土壇場で踏ん張った。一方、篠原選手は、宮野選手に面1本勝ちし、この時点でトップに立った。3試合目は、木倉選手が、前の試合そのままに、宮野選手に2本勝ちし、一方篠原選手は、田代選手にてこずり、逆に突きを決められ、この時点で、木倉選手の勝ち点2、本数4で1位が確定、2年連続のインターハイ出場が決定した。篠原選手・田代選手が、勝ち点2、本数3で並び、順位決定戦に。決定戦では、両者相譲らず、5分以上経過して、田代選手が技を出して、もつれた際に足がつってしまった。負傷休憩をはさんで、再開後、篠原選手が放った面が決まり、南砺福野からは、久し振りのインターハイ出場となった。
 続く、女子団体は、Aコートが、第1シードの富山北部が、進境著しい高岡南を圧倒し、決勝リーグへ。Bコートは、南砺福野が、小杉を圧倒し、順当に決勝リーグへ。Cコートは、高岡が、1回戦で高岡工芸に3-0で勝ち、続く、富山にも3-0で勝ち、決勝リーグへ。Dコートは、呉羽が滑川を3-0で破り、決勝リーグへ。決勝リーグでは、高岡が総合力に勝る富山北部に迫ったが、惜しくも1-2で敗れ、結果的には富山北部の完勝と言える。高岡2位、呉羽3位、南砺福野4位となったが、次世代の1年生選手が活躍したのが目立った。高岡の中堅、藤崎選手(井波中出身)は、富山北部の山本選手を破り、呉羽の佐渡選手(速星中出身)は、今村選手を破った、中学時代に実績を残した選手だけに、秋以降が楽しみだ。
 2日目は、女子個人戦から始まり、春季でベスト4を独占した富山北部を中心に、他校勢がどこまで食い下がるかが見ものであった。Aコートは、第1シード、選抜予選・春季の覇者、山田選手(富山北部)が3回戦で、松崎選手(富山)にいきなり面を決められ、終盤焦って取りに行く所を、一本目と同じく相面を決められ、まさかの2本負け。今大会最大の波乱で会場がどよめいた。その松崎選手は、個人戦一本に賭けてきた徳本選手(魚津)に延長小手で敗れた。一方、4回戦で島田選手(高岡)を破った西村選手(高朋)と、徳本選手のコート決勝は、西村選手が、面2本勝ちして、決勝リーグへ。Bコートは、豊田選手が、動き溌剌として、4回戦で、1年生で元気のいい金城選手(富山)を破りコート決勝へ。一方シードの今村選手は、3回戦で水口選手(南砺福野)に面1本勝ちし、4回戦で秋元五選手(入善)に面一本先行されるも、面2本返して逆転勝ちしコート決勝へ。コート決勝では、延長の末、お互いによく動くも、豊田選手の小手が決まり、決勝リーグへ。Cコートは、シードの久木田選手が、4回戦で、1年生の柳瀬選手(富山)に苦戦、延長の末、面を決め、コート決勝へ。一方で、4回戦で、竹内選手(高岡)を延長面で破った松山選手(砺波)がコート決勝へ。コート決勝は、久木田選手が、3度目の延長ながら、面1本を決め、決勝リーグへ。Dコートは、第2シードの山本選手(富山北部)が、3回戦で竹内選手(呉羽)を延長小手で破り、4回戦では、寺島選手(高朋)に同じく延長面で勝ち、コート決勝へ。一方、1年生ながら勝ち進んだ藤崎選手を4回戦で延長面で下した、石井選手(高岡工芸)がコート決勝に進み、砺波地区出身者同士の決戦へ。コート決勝は、山本選手が、延長の末、抜き胴を決めて、石井選手を破り、決勝リーグへ。
 女子個人決勝リーグは、1試合目に、西村選手が、じっくり相手を見て、豊田選手に面1本勝ちして、リード。山本選手・久木田選手の同僚対決は、延長の末引き分けし、それぞれ勝ち点0.5を獲得した。2試合目は、西村選手に久木田選手が小手一本勝ちし、もう一方で、豊田選手が、山本選手に面を先行、面を返されるも、延長で小手を決めて、この時点で久木田選手が勝ち点1.5で一歩リード、次いで勝ち点1の豊田選手、西村選手の順となり、山本選手が最下位に。3試合目は、山本選手が早々と西村選手に面2本勝ちして、勝ち点1.5で2位候補に急浮上。もう一方で、豊田選手と久木田選手の激しい戦いが始まった。この試合に勝った方が1位で、負ければ3位、引き分ければ久木田選手が1位で、豊田選手が2位の順位決定戦(1本取れば)に回る可能性があり、予断は許せない。中盤で、久木田選手が面を決め、俄然有利な展開になり、終盤まで、守り切って、富山北部勢の1位・2位(2年連続)が確定した。山本選手は、昨年(ベスト16)に続く2年連続のインターハイ出場。
 男子団体は、Aコートで、第1シードの高岡工芸が順当に勝ち進み、コート決勝へ。一方1回戦からはらはらの富山東は、富山中部に逆転勝ちし、2回戦高岡南に快勝し、コート決勝へ。高岡工芸は、富山東に先鋒取られ、次鋒分け、中堅宮野選手が、強敵松田選手に2本勝ち、しかし副将1年生吉井選手(富山東)が、上段東選手に面勝ちし再度逆転、大将戦にもつれ込んだ。大浜選手(富山東)が木倉選手に分ければ、富山東の勝ちである。個人戦優勝の木倉選手は、あせらず攻め続け、終盤、胴を決め、そのままの逃げ切り、高岡工芸の冷や汗勝負に決着がついた。高岡工芸決勝リーグへ。Bコートは、龍谷富山が、コート決勝でも富山に順当勝ちして、危なげなく決勝リーグへ。Cコートは、シードの入善に、元気の良い砺波が競り勝ち、決勝リーグへ。Dコートも、第2シードの南砺福野が危なげなく砺波工業も下して、決勝リーグへ。決勝リーグは、初戦の高岡工芸と龍谷富山の試合が事実上の決勝戦で、龍谷先鋒藤城選手が胴を決め先行、次鋒分け、中堅この大会のラッキーボーイともいえる宮野選手が、龍谷主将の若林選手に面1本勝ちして、並んだ。副将の上段対決は、先輩格の東選手が武波選手に2本勝ちして、高岡工芸俄然有利に。大将戦は、龍谷青山選手の繰り出す技を工芸木倉選手がしのぎ、引き分けて、高岡工芸の勝ち点1を確保。もう一方の砺波勢同士、南砺福野が砺波に3-1で勝ち。2試合目は、。高岡工芸が砺波に5-0、龍谷が南砺福野に4-0で勝ち。3試合目は、南砺福野に対し、高岡工芸が、次鋒田代、中堅宮野両選手のポイントを守りきり、2-0で勝ち優勝が確定した。龍谷富山は富山は砺波に5-0で勝つも、初戦の負けが痛く、2位に。3位は南砺福野、4位は砺波となった。
 インターハイ・北信越大会出場する選手たちは、県代表という自信を持って頑張ってほしい。1試合でも多く勝ち、富山勢の頑張りを見せてほしい。それに出場できない多くの高校生剣士の暑い戦いは終わり、秋に大会に向けて新チームを作っていくことになるが、次年度は、戦国時代の様相だ。切磋琢磨すればどこの高校にも、選抜やインターハイのチャンスがある。長い間、子供たちの様子を見てきて、しっかり練習して、稽古しているところは、本当に伸びている。1年でこんなに変わるかと思う事がある。また、試合にはどんな事が起こるか分からない。いろんな経験を積んだ選手が、あきらめずに最後まで挑む時に、決定的なチャンスが訪れる。高校生剣士たち、頑張れ!(今回が最終号? 山本武夫)



井波スポ少OB・OGの成績

 第1日
 男子個人 篠原天馬(南砺福野)次勝:新潟総体・新潟北信越大会出場へ
        青山虹(龍谷富山)ベスト8:新潟北信越大会出場へ
        松田尚之(富山東)ベスト16
 女子団体 富山北部(山田千菜都・山本麻紗子)優勝:新潟総体・新潟北信越大会出場へ
        高岡(藤崎美奈里)次勝:新潟北信越大会出場へ
        南砺福野(水口妃奈)4位:新潟北信越大会出場へ

 第2日
 女子個人 山本麻紗子(富山北部)次勝:新潟総体・新潟北信越大会出場へ
        藤崎美奈里(高岡)4回戦進出(ベスト16)
        山田千菜都(富山北部)・水口妃奈(南砺福野)3回戦進出
 男子団体 龍谷富山(青山虹)次勝:新潟北信越大会出場へ。
        南砺福野(篠原天馬)3位:新潟北信越大会出場へ。

        富山東(松田尚之)準々決勝敗退


*大会成績・・・表彰式

全体成績
*団体
 男子 優勝:高岡工芸(4年ぶり21度目)、2位:龍谷富山、3位:南砺福野、4位:砺波、ベスト8:富山東、富山、入善、砺波工業
 女子 優勝:富山北部(6年連続9度目)、2位:高岡、3位:呉羽、4位:南砺福野、ベスト8:高岡南、小杉、富山、滑川

*個人 
 男子 優勝:木倉(高岡工芸)、2位:篠原(南砺福野)、3位:田代(高岡工芸)、4位:宮野(高岡工芸)
     ベスト8:長瀬(富山工業)、若林(龍谷富山)、早瀬(高朋)、青山(龍谷富山)
 女子 優勝:久木田(富山北部)、2位:山本(富山北部)、3位:豊田(高岡)、4位:西村(高朋)
     ベスト8:徳本(魚津)、今村(富山北部)、松山(砺波)、石井(高岡工芸)