近畿北陸と都道府県の2つの公衆衛生関係連絡協議会

都道府県歯科医師会レベルの公衆衛生関係の連絡協議会は,毎年,日本歯科医師会で開催されます。以前は,全国歯科保健大会の開催前日に,開催地で協議会がありました。

ところが,歯科保健大会が全国あちこちの開催になり,毎年集まる場所が異なるということから,平成9年より,日本歯科医師会(東京)で,適宜開催となりました。適宜というのは,時期が一定でなく,介護保険で急を要する時は7月にあったり,今年のように執行部が変わって対応が遅れたときは10月なったりします。

全国歯科保健大会は,厚生省の主催する大会で,最初は歯科保健の先進県が開催を引き受けていましたが、続いて熱意のある県が名乗りをあげ,開催を契機に歯科保健の向上を目指し主管開催していました。そして,その次は、規模の拡大が開催の負担になることやバブルの崩壊も重なって,受ける県がなくなり,1度した県が再び開催をすることになりました。兵庫県は2回目開催の予定年に阪神大震災があり、延期。その年は、代替地も見つからず,東京で開催されました。昨年復興なった,兵庫県で開催され,今年から,再び,新しい開催地である三重県での開催です。少しスリム化して,以前のように新しく開催地を探して続いて行く様です。

ともかく,この時期に合わせて,都道府県の公衆衛生担当理事連絡協議会(平成9年より,都道府県地域保健・産業保健担当理事連絡協議会と改名)が,開催されてきました。

この会合には,各都道府県歯科医師会の文字通り,歯科保健担当の第1人者が集まっての協議会です。わたしは,昭和63年よりこの会合に出席しています。大変活発に,議論がなされた年もありました。近年の様に,日歯が一方的に伝達して終わったことはありませんでした。最初は,やや,先進県の事業のお披露目が多く,また,一生懸命に歯科保健の理論を論じるベテランの理事の熱弁に聞きほれたこともありました。ところが、ここ8ー9年前あたりから,予算措置に伴う事業(歯科医師会単独に事業でなく,行政からの委託あるいは行政主体)にモデル事業などとの名目で,歯科医師会の実働を伴うものが多くなり,大変複雑になってきました。その所為で,各都道府県にはすごく格差が出てきました。この協議会も次第に,説明会に形を変えてくるようになりました。寝たきり老人歯科保健事業から始まって、事業所歯科健診など産業歯科医に関する問題、8020運動,成人歯科健診,かかりつけ歯科医、歯周病健診など,公衆衛生担当理事にとっては何から手をつけて良いかわからないくらい事業目白押しでした。

そうして、この10年,都道府県の協議会にはフッ化物の応用がどこかへおいやられて、「フ」の字も出ませんでした。この協議会に,真の意味での「予防」が話されたことはありませんでした。日本学校歯科医会があるため,この部分も全く抜けていました。1度,神奈川では、生涯を通じた歯科保健がテーマにもなりました。しかし,アメリカのような,真のヘルス・プロモーションを前面に出した公衆衛生的健康政策である,フッ化物の利用(特に水道水フッ素化等)が,議論されたことは皆無でした。

今年、わたしの所属する地区ブロックでの協議会である,近畿北陸地区公衆衛生担当理事連絡協議会で,満を持して発言しました。歯科医師のボランティアだけの活動でなく,歯科医師会の活動にしなければならないという使命があります。理解あるジャーナリストの方の後押しもあります。現実的に地域で理解ある行政が,行動を起こしました.厚生省も,滝口歯科保健課長が新潟大学で築いたことを今,生かそうとして来ています。厚生省が,沖縄に予算をつけました。兎にも角にも,まずは近畿北陸の理事に情報を提供し,合わせて,日歯常務にも、訴えかける必要がありました。それが,9月30日の行動になりました。

さらに,「水道水フッ素化」ともなると、富山県でも指摘された様に,県内の問題じゃなく,国の問題でもあるという事で,厚生省や日本歯科医師会が,現在の見解を明確に示してほしいと言う意味もあり,都道府県地域保健・産業保健担当理事連絡協議会で,両者に対して要望しました。これは,今までの要望と意味を異にしています。次の会までには,その対応に対して回答を求めるつもりです。この協議会に,フッ化物推進のピンの穴が明けられたと思っています。この穴を少しずつ広げて行きたいと思っています。この協議会で,国民不在の健康政策ではなく,国民主体の健康政策を論じて行きたいと思います。

この協議会には,何人かの同調していただける担当理事がおられます。是非、この輪が広がることを期待しております。是非ご意見を頂きたいと思います。(山本武夫のEーmail:info@f-take.com)

2000年10月29日  富山県歯科医師会 小児・学校歯科保健担当理事 山本武夫

 


近畿北陸地区歯科医師会公衆衛生担当者連絡協議会

平成12年9月30日,近畿北陸地区の公衆衛生連絡協議会が大阪でありました。いろいろありましたので,報告します。

日歯からは,地域保健・産業保健担当の新井誠四郎常務理事(千葉)と,進行役として岸直樹常務理事(大阪府歯科医師会副会長・日歯情報関連担当)が出席されました。最初の挨拶で,岸常務は、公衆衛生の協議会を意識してか、「これからは,予防の時代。欧米でも盛ん,最近のアジア諸国は日本から学んでもダメだといっている。・・・」と,ありました。また,新井常務の日歯報告の後,二題の協議題と八題の情報交換(内容は特筆すべきものなし)が消化され、懇親会を開催予定の5分前に終わりを迎えました。最後に,私が,挙手し「日歯に要望事項あり。2‐3分時間下さい。」と,申し出ました。ところが,「懇親会に早く移りたい」と、時間がないと岸常務が却下、閉会となりました。私や,周りの多くの理事が,釈然としないまま,隣の懇親会場に移りました。このままだと,都合悪いと思ったのか,移る直前に私の横に岸常務が来て、「帰りの心配をしたため,早く懇親会に移らせたかった。先生の要望は,懇親会で乾杯に移る前に簡単にしていただく。」ということになりました。

そこで懇親会の冒頭で,出席者の注目を大いに集め、両常務理事に多少の皮肉を混ぜ、要望をしました。

山本「私は,この協議会では13年目になる(1番古い)。協議会で質問や要望をカットされたことは1度もなかったと経験している。今回の事態にはただただ驚いた。しかし,懇親会の冒頭で要望させてもらうとは,さらに驚いた。この光栄はありがたく受け止めたい。

さて,この4月の診療報酬の改訂にからんで,フッ素洗口剤の問題は,日歯としては大変対応が悪い。国民不在の対応だ。ウ蝕多発傾向者が,薬局もない僻地にいる時どこで洗口剤を手に入れるのか,など問題が多い。各県まちまちの対応をしている。また,もっと大事なことは、むし歯予防を歯科が担当せず薬局,薬剤師が担当するのか。歯の健康に歯科医が責任を持たないのか。これは,日歯がむし歯予防にフッ化物の応用にはっきりとした見解を示していないからだ。

冒頭で,岸常務が,これからは予防が大事。今、アジアが日本についてこないとあったのは,当然のことだ。世界中がヘルス・プロモーション,公衆衛生を頑張っている時に,日本だけが個人衛生主体であるからで、この会に公衆衛生担当者の会にフッ素の関係が出たことはほとんどない。残念なことだ。

例えば,うちの富山県では歯の健康プランで、県と歯科医師会はフッ素塗布やフッ素洗口を推進しており,6年たって,その効果も現れ出した。フッ素の効果は富山県だけがあって,他の県では聞かないということは絶対にない。日歯が,明確に見解を示せば,多くの県の歯科保健担当者にとって,これから推進しようとするし,追い風になる。是非,早急にして欲しい。」(水道水フッ素化にまで,言及したかったのですが,時間のことと,10月18日日歯で開催予定の,都道府県歯科医師会地域保健・産業保健担当者連絡協議会でも要望したいとおもっていたため,ここで打ちきりました。)

これに対し,新井常務は,こう答えました。

「先ほど私は、県歯で社会保険担当で,公衆衛生は初めてであるといったが,実はその前千葉市の歯科医師会で公衆衛生の担当をしていた。当時8つの小学校でフッ素洗口をしていたが,社会党の市議がもう反対をし,マスコミも毎日の様に取り上げたため,教育委員会が判断をして中断をしてしまった。それが現在まで続いている。私は,フッ素塗布や,フッ素洗口は薬剤の扱いをきちんとしてもらえば問題はないと考えている。見解については,検討する。しかし,水道水フッ素化は,水道行政というものがはいり,なかなか難しい。また,行政や住民の理解を得るのは,先ほど述べた反対運動もあるのでなかなか実施には移せないだろう。」

逃げないで,はっきりと,答えてもらいました。

懇親会は常務と同じテーブル,ほぼ真向かいでしたので,やり取りはその後も続きました。

山本「常務,この次は,10月の都道府県でも要望出しますよ。アンケートの要望欄に載せておきましたよ。」

   (次の要望は,なぜその反対を乗り越えようとしないのか,追求したいと思います。・・・・・・・・ところが日歯では残念ながらここまで踏み込めませんでした。)

常務「フッ素化は府中(町田の誤りと訂正)の市議会でも出た。」

山本「日歯にも町田市古宮議員さんが要望したでしょう。」

常務「ああ,知っていましたか。そうすると先生もあのグループに・・・」

山本「日Fのメンバーです。」

常務「そう言えば,山下先生,惜しいことをしましたね。」

山本「大変残念です。」・・・・

 

その後,二人の常務の横に行き,雑談を交え、千葉の馬場先生の話や,藤岡前常務の話などしました。

最後に,もって行っておいた,山下先生の「新刊本」をそれぞれの常務に1冊ずつ私,是非熟読を求めました。

 

各地区でこの二人の常務に会われたら、「新刊本」の感想を求めてください。

臼田執行部は,前執行部より開かれた会にしたいという事で、この二人の常務も頑張るそうです。次の都道府県で,さらに新井常務の評価をしたいと思います。どんどん,意見を言いましょう。聞く耳は新井常務は持っています。

次の行動を待ちたいと思います。

 


都道府県地域保健・産業保健担当理事連絡協議会

 

平成12年10月18日、日歯で、都道府県地域保健・産業保健担当理事連絡協議会(添付;出席者名簿)がありました。

そこで、日歯と厚生省にたいし、小生が要望をしました。

 

「日本歯科医学会のフッ化物検討部会の答申を承認した内容等,歯科医師会会員が知らない。フッ化物に関する国内外の情報等を,日本歯科医師会や厚生省は正確に把握し,会員や国民に情報公開すべきである。アメリカではADAがFluoridation Factsなどで詳しく紹介している。

例えば,厚生省の予算で,2002年より沖縄1村で水道水フッ素化が行われる。そのようなことを誰も知らない。

厚生省も日本歯科医師会も情報を整理して,HP等で紹介せよ。

8020の推進には,う蝕予防が不可欠.フッ化物推進が重要である。

以上,要望する。」

 

この協議会で,フッ化物の推進に関して今まで,全く触れられませんでした。しかし,今年度より,日歯の地域保健委員長は,新潟県の池主憲夫先生です。池主先生は,新潟の子供の歯を守る会の実行委員長を経験した方で、元新潟県歯科医師会常務理事です。フッ化物については、大変造詣の深い先生です。今回の各都道府県の事前アンケートと要望事項のまとめでも、まずは,日本歯科医学会の「フッ化物応用についての総合的な見解」に触れられ、アンケート結果(添付;各県の要望や8020運動推進特別事業の内,フッ素関係抜粋)に対する今後の課題の1つに「フッ化物応用の明確な位置付け」が取り上げられました。近畿北陸の協議会に続いての要望で、池主先生の手腕と,新井常務を始めとする日歯執行部の、今後の対応を見守りたいと思います。

 

この2つの協議会に関する件について,是非ご意見をお聞かせ下さい。

山本武夫まで,よろしくお願いいたします。