水道水フッ素化に向けて 2000年7月18日
−フッ素適正摂取量(AI;Adequate Intake)の考え方とその誤りを問う−
富山県歯科医師会 山本武夫
大変残念なお知らせ (2000年7月20日宮崎県都城市での葬儀から帰って) このページが出来た日(2000年7月18日午後9時30分)に、まさにこのページと同じ内容が,水道水フッ素化委員会のHPに載せられたのを見届けるかのように、水道水フッ素化の牽引車である、山下文夫先生が急性心不全のため、急逝されました。満51歳でした。日本むし歯予防フッ素推進会議事務局長として,水道水フッ素化委員会のまとめ役として,まだまだなくてはならない人でした。これから,益々実力を発揮していただきたいという最中に、大変惜しい先生を亡くしてしまいました。 これからは,関係者一同が、今まで以上に一致協力し,フッ化物の推進,特に,水道水フッ素化に尽力することが、故山下先生の霊に応えることになることを肝に銘ずるべきである事を訴え,このページを関係者に捧げます。 |
この頃、フッ素のAI(Adequate Intake:フッ素適正摂取量)の考え方について、誤ったとらえ方をしているもの、あるいは悪用していると思われるものが多く見られる。それらが我が国の公衆歯科衛生活動に与える影響には看過できないものがある。そこで,過去に発表された文献をひも解きながら,それらについて私見を述べてみることにした.なお、水道水フッ素化委員会のホームページ、No.34に矢崎氏の「フッ化物検討部会最終答申の問題点」として、実にポイントを押さえた考えが載っているので、これも必見であることをまず紹介しておきたい。 |
1。日本歯科医学会フッ化物検討部会最終答申「口腔保健とフッ化物応用」答申とフッ素のAI(Adequate Intake;適正摂取量)
日本歯科医学会フッ化物検討部会最終答申(1999年12月)の結論は次のようなものであった。
@国民の口腔保健向上のためフッ化物の応用を推奨すること、 Aわが国におけるフッ化物の適正摂取量(Adequet Intake)を確定するための研究の推進を奨励することである。 |
新たな世紀を迎えるにあたって、本フッ化物検討部会は、わが国における今後の重要な課題として、Evidence-Based Medicine および Evidence-Based Oral Health Care に基づいたフッ化物応用の推進を提言する。
本答申がこうした問題提起の第1歩となり、口腔保健医療専門職のフッ化物応用の推進に対する合意の形成と確立を図り、フッ化物応用による口腔保健の達成を現実のものとし、ひろく国民の健康の保持増進に貢献できることを期待する。
しかし、この結論のAには疑問がある。ところで、この答申や厚生省が好んで口にするこのフッ素のAI(適正摂取量)とはどのようなものだろうか。水道水フッ素化に関係して、しばしば用いられる許容上限摂取量、推奨投与量ともにそれらの数値を示す。
2。フッ素の適正摂取量、AI (Adequate Intake)、許容上限摂取量、UL(Tolerable Upper Intake Level)、フッ素推奨投与量
アメリカ学術会議、 Institute of Medicine はフッ素の適正摂取量、AI(Adequate Intake)と許容上限摂取量、UL (Tolerable Upper Intake Level) を提示している。
これらの数値は、天然あるいは人工的なフッ化物含有飲料水地域に居住する人々について、そのう蝕予防と弊害防止の観点から推算されたものである。すなわち、人々が摂取する飲食物中の全フッ化物量について、各年齢層別に一日当たりのう蝕予防のためのフッ素の適正摂取量(AI)と、歯のフッ素症あるいは骨フッ素症防止のための摂取許容量(UL)を示したものである。それらは次のようなものとなっている。
1)フッ素の適正摂取量(AI;Adequate Intake)
0〜6ヶ月 6 〜 12 ヶ月 1 〜3 才 4 〜 8 才 9才〜13才 14才〜18才 19 才以上 妊 娠 14 〜 18 才 19 〜 50 才 授乳期間14 〜 18才 19 〜 50 才 |
0.01mg/日 0.5mg/ 日 0.7mg/日 1.1mg/日 2.0mg/日 男 3.2mg/日 女2.9mg/日 男 3.8mg/日 女 3.1mg/日 2.9mg/日 3.1mg/日 2.9mg/日 3.1mg/日 |
2)許容上限摂取レベル(UL;Tolerable Upper Intakes Levels)
幼児 0 〜 6 ヶ月 幼児 6 〜 12 ヶ月 子供 1 〜 3 才 子供 4 〜 8才 8才以上 9〜70 才 妊娠、授乳期 14 〜 50才 |
0.7mg/日 0.9mg/日 1.3mg/日 2.2mg/日 10mg/日 10mg/日 |
3)フッ素推奨投与量
国際歯科連盟(FDI)は、小児のう蝕予防のためのフッ素推奨投与量 (mg / day) を提示している。これは至適フッ素濃度以下の飲料水を使用している地域におけるフッ素推奨投与量を年齢層別、飲料水中フッ素濃度別に示したものである。例えば、通常みられるフッ素イオン濃度 0.3 ppm 以下の地域の5〜13歳の小児には、日常の飲食物から摂取している自然のフッ化物摂取量に加えて、う蝕予防のため一日あたり1.0 mg のフッ素を投与することが望ましいとしたものである。
国際歯科連盟 (FDI) の推奨によるフッ素推奨投与量 (mg/day)
子供の年齢 | 飲料水中フッ素イオン濃度 (mg/L) 0.3以下 0.3−0.7 0.7以上 |
誕生 〜 3歳 3歳 〜 5歳 5歳 〜13歳 |
0.25 0
0 0.50 0.25 0 1.00 0.50 0 |
3。フッ素の過剰摂取等について
AI、UIを提示した資料、Institute of Medicine; Dietary Reference Intakes, Fluoride,1999のフッ素摂取評価(Exposure Assessment)の項においては、水道水フッ素化開始時と現在の環境が変化していることが注目されている。
すなわち、1960年代以前は水を含めて食事だけがフッ素の摂取源であったが、その後、とくに過剰な歯磨剤の使用、過剰なフッ素補助剤の投与などが子供たちのエナメルフッ素症のリスクを増大させてきたとの指摘がなされている。そこで、必要レベルに達している上水道フッ素化地域では、推奨されないフッ素補助剤の過剰な処方を改めること、また同地域では、食事以外のフッ素摂取を減らすよう奨めている。そこでは、TVのCMや教育番組の間違った(行きすぎた)放送も原因となり得ると指摘されている。
ただし、日本においては事情が少し異なっていることに注意する必要がある。すなわち、日本においては、フッ化物という科学的根拠に基づいたものの行き過ぎになる点は全く見られない。日本では、アパタイト、キシリトール、酵素(デキストラナーゼ)、リカルデントなどの科学的根拠に乏しいものについての誇大広告が見られることである。これらのコマーシャルには、あたかもそれが科学的根拠に基づく、完全な手段であるかのような錯覚に陥らせる魔力があり、日本のフッ化物利用を遅らせる一つの大きな要因となっている。
さらに、その日本においては、フッ化物の有害性のみが誇張されがちな傾向も見られている。WHOは、1994年、就学前児童ではフッ化物洗口は推奨できないと述べたが、これは水道水フッ素化地域において、フッ化物洗口での過剰な飲み込みを考慮したものであった。つまり、日本のようにフッ素化の行われていない地域状況にはまったく当てはまらないものであった。しかし、フッ素反対派を含めて、不勉強で短絡的な一部の歯科関係者たちの間には、フッ素洗口はもちろん、フッ素塗布、水道水フッ素化についてもWHOが否定的見解を示したと早とちりした人々も多くいた。
NHKの「セサミストリート」というテレビ番組にビッグバードというキャラクターがいる。そのビッグバードが、フッ素入りの歯磨き剤を歯ブラシの毛先に往復ペーストを出し、それをむしゃむしゃ食べてしまう場面があった。朝晩2回、毛先に乗せた片道のペーストのフッ素量は1.5mgないし2mg Fを含むものと推算される。その往復の7〜8割飲み込んでしまうものとすると、2.1〜3.2mg Fぐらいをフッ素を摂取することになる。このような過剰なフッ化物を毎日、摂取すれば、歯のフッ素症が現れても不思議ではない。WHOが問題にしたのは,フッ素洗口より,このような家庭での歯磨剤からのフッ素の取りすぎと言われている。
アメリカには、水道水フッ素化にかかわるハロー(halo、後光)効果と言われる話題がある。これは、フッ素化された水が清涼飲料水や食物に含まれて、その効果が低フッ素濃度地域にもその効果が広まっているというものである。一見、水道水フッ素化の有益性が減少しているようにも見られることもあるが、改めてフッ素化によるハロー効果、拡散効果の重要性が示唆されているところである。
Institute of Medicineはフッ素の研究課題を上げ、大学や研究機関に対して,指導助言している。しかし、勘違いをしてもらっては困るのは、アメリカでは,国民の健康を守るためには上水道のフッ素化が最善の策であるという前提に立っていることである。ヘルシーピープル2010では,フッ素化人口を現在(2000年)の67%から2010年までに85%にまで増やすという目標を掲げている。つまり,水道水フッ素化の安全性等には何の問題もないとしながら、さらに研究も平行してしっかりやりなさいといっているのである。日本の厚生省や大学のように、研究をしてからでないと始められないというものとは,まったく考え方が違うことを強調しておきたい。
4。AIの考え方
AI、UI、推奨投与量、いずれもその意味に問題はない。問題は、日本にそれらを導入するにあたって、改めて日本人のAI、UIを調査する必要があるという考え方である。
この考え方は、いかにも慎重でもっともらしい言い分に聞こえるが、これは同じ人間であっても日本人の生活様式、日本人という人間が、他の国とは異なっているという発想法につながるものである。そのような発言をするのならば、まず、日本人の生活、人種が特異で、世界の他の国々とは異なるものであるという根拠を提示すべきである。通常の添加物や薬物等については、動物実験を基本にしてその毒性等を勘案している。それは動物であっても同じほ乳類ということが前提になっている。世界各国ですでに数億の人々がフッ化物を利用しているという、いわば人体実験が行われている現状において、今、改めて日本のAIを求める根拠がどこにあるのか不可解である。
日本人のフッ素摂取量についての報告はすでに20編あることを先の答申も述べている。たとえ、それらの報告の間に多少の数値の相違があったとしても、それは日本人の特異性を示すものとは言えない。1975年、「各国別一人あたりの食料純供給量からみた1日フッ素摂取量」論文(後述の新潟大学論文より)において、ノルウェー、スイス、イギリス、アメリカ、ソ連、西ドイツ、フィリッピン、そして日本についての比較がなされている。そこでは、最高1.03mgから最低0.70mgまでほとんど差は見られていない。過去において肉食中心、魚中心の食事に違いがあったとしても、総合的に見ると、フッ素の摂取量に大差はなかったというものである。あえて、現代という社会における食生活の変化を考慮しなくても、常識的に見て日本人だけが特に食事から多量のフッ素を取っているということはきわめて考えにくいことである。
日本人だけ別の人種(フッ素に弱い、フッ素に過敏)という根拠も今のところ示されてはいない。例えば、外国に住んで、水道水フッ素化の恩恵を受けている日本人は多くいるが、その人たち、あるいはその子供たちが、とくに歯のフッ素症や骨硬化症を発症したということは聞かない。
このように、少なくともフッ化物の応用に関しては、過去に世界の多くの地域で行われている調査や結果を参考にすることが第1義的な考え方であろう。それでも、なおAIの研究がもっと必要と思う人たちは、あくまでも現時点でのフッ化物応用の障害にならないように、さらに地道な調査研究を積み重ねるという意味で基礎研究を行うことである。
恐れるのは、一部の報告の些細な不備や相違を言い訳にし、世界の情報を無視し、日本人の特異性を口にして、フッ化物応用への消極性を永遠に持ち続ける危険性である。国民の健康を忘れ、言い訳と保身のために、百年経っても同じ主張を繰り返しているような愚は決して犯してはならない。海外の情報を無視し、日本の事情に拘泥した結果がもたらした悲劇、ポリオ、エイズ事件を忘れてはならない。
愚かな政治家が神国日本を公言するように、日本には、潜在的に日本人は特異であるとする島国根性的体質があるように見える。少なくとも医学、科学の世界にはそのような発想は無用である。「健康日本21」企画検討会座長、高久氏は「科学的根拠に基づき、かつ世界の医学界に広く認められた健康情報を国民に提示しなくはならない」と述べている。フッ化物応用にも通じる当然の言葉である。いつまでも日本人の特異性を言っている時代ではない。
5。フォーラム8020の中でのフッ化物論議
2000年2月6日(日)、東京駅八重洲口大丸のルビーホールにおいて、東北、信越、東海13県で構成している「フォーラム8020 ’99東京」が開催された。滝口厚生省歯科保健課長の挨拶、そして安藤氏(新潟大学予防歯科)から「フォーラム8020検討資料」について解説があった。さらに、同氏は、この資料を各県等にフッ化物応用のテキストとして配布する旨の意向を示した。
これに対して、葭内氏(旭川)から「フォーラム健闘」には、フッ素の局所応用まで記述があるが、全身応用については記載がないとの指摘があった。また、今本氏(旭川)は、旭川ではフッ素洗口が50%近くまできたものの、伸び悩み、それにかかる労力も大きいこと、さらに、学会でも水道水フッ素化を勧める声が出てきたことが述べられた。さらに、同氏は、安藤氏に対して、「フォーラム健闘資料」を市町村に配布し、歯科保健計画立案のテキストにするというのならば、水道水フッ素化について記載がないのは好ましくないのではないかと正した。
続いて、 小生(山本)が、8020推進予算と絡んで、もし、旭川の意見のように水道水フッ素化の声があがったら、 厚生省はどのように対応するのかと瀧口課長に尋ねた。これに対し、 滝口課長は次のように述べた。
「 フッ素塗布、フッ素洗口剤、歯磨剤、スプレーなどは、医薬部外品として薬事法の認可を受けており(その段階で厚生省の認可でもあり)、それらの安全性に問題はない。水道水フッ素化については、これは薬ではないので、 どこに話がいくかなどいろいろ指摘があるので改めて考える。しかし、基本的には、ともかく十分に意見の統一がない状況といえる。
先の日本歯科医学会が委員会を作って満を持して出した結論は尊重したいが、適正摂取量(AI)のところでまだ研究が必要である。厚生科学研究費に、歯を長持ちさせる具体的な予防技術の開発研究のものがあり、そちらを利用してもらったらいいと思う。
今はインターナショナルでボーダーレスの時代、水道水フッ素化は情報開示が必要で、人種のるつぼのロスなどの安全論議も取り入れるなど、国民と安全論議しなければならない。国民合意あるいは住民合意がどうしても避けては通れない。
貴方のところ(私を指して)でも、そんなに簡単には住民合意は得られないでしょう。また、一部の歯科医が熱心で頑張ってもうまくいくものでもないのも事実だ。21世紀初頭の宿題がこのフッ化物の問題である。外国において水道水フッ素化している地域があるのも事実だし、そうでない地域があるのも事実、そういった意味で情報公開をし、正しいのは何か、厚生省もキチンと議論していこうと思っている。」
小生は久しぶりに瀧口課長にあった。課長は大学の1年先輩で、新潟大学予防歯科時代は新潟の「子供を守る会」に属し、究極の目標は水道水のフッ素化であるが、次善の策としてフッ素洗口の普及をすると主張し、新潟県内を東奔西走していた人である。
小生は、このフォーラムに、静岡、名古屋、東京と三回にわたって参加してた。今回、始めてフッ化物全身応用、水道水フッ素化の話題が登場した。新潟大学がメンバーならば、もっと活発で積極的な論議が行われても良いのではないかと言う人たちもいたが、愛知、長野、東北などフッ素後進県の共存によってフッ素色も薄められたのであろう。
6。論文;「歯科領域におけるフッ素の利用」,日本歯科評論,1980年について
いま,ここに「歯科領域におけるフッ素利用」と題して,堀井欣一,境 脩,小林清吾,滝口徹(当時の新潟大学歯学部予防歯科学教室)が発表した「日本歯科評論」1980年12月号別冊がある。
この論文内容は大変素晴らしいもので、新潟大学歯学部予防歯科学教室あげての一大論文である。恐らく,当時としては,どこの大学も真似のできない膨大な外国の文献調査から,翻訳,分析など教室の才知の粋を集めた大調査研究であった。これは、ここ10数年間のフッ素研究のバイブルになったし,さらに今後も利用されつづけられるものと思われる。この論文は、次のようにADI(一日許容摂取量)について的確な解説をしている。
ADI(一日許容摂取量)をフッ素の安全性の基準とすることはできない 食料農業機構(FAO)、世界保健機関(WHO)の提唱した1日許容摂取量(ADI)の概念は、食品中の残留農薬や食品添加物の許容量を考える際に用いられるものであり、栄養素であるフッ素はもちろんのこと、医薬品に対してもその安全性の基準とはなり得ない。ADIとは、 動物による慢性中毒実験により得られた最大無作用量に1/100の安全係数を乗じて算出されたものである。このADIの適用されるのは、食品の製造や保存、着色の目的で使用される食品添加物や、本来含まれてはならない残留農薬のように、安全性の面からできる限り摂取量の少ないことが望まれる物質に対してであり、ヒトの健康にとって一定量が必要な栄養素はもちろん、医薬品にもADIの適用は不可能である。……(中略)……なお、ヒトは通常の食品から1日1mg前後のフッ素を摂取しており、……(中略)……アメリカ合衆国全国科学委員会(1974)によれば、フッ素の1日所要量は3mgとされている。このことからも、フッ素にADIを適用することは到底妥当なものとは言えないであろう。
つまり、残留農薬とか、食品添加物とか、外部から作られて入ってくるものであって、安全性の面からできる限り摂取しないほうが良いものか、あるいは摂取が少ないことが望まれるものにはADIを適用すべきで、フッ素のように本来体内に栄養素として含まれていて、さらに健康(むし歯予防)に必要なものに、敢えてADIを適用すべきでないということである。このように、堀井、境、小林、そして滝口の諸氏たちが20年前に力説しているのである。
7。終わりにあたって
断っておくが、AIそのものを私は否定しているのではない。日本人の人種の特異性がないことは当然であるが、その生活習慣についても、今、日本国内のみならず、世界的にも、とくにフッ素化を推進している先進国間ではほとんど差のないものとなっている。隣国の韓国は、人種的にも生活習慣的にも日本に類似し、その良い例と言える。また、日本の水道水の状況は十分にコントロールされており、全国的にほぼ0.2ppm以下程度になっている。今更、AIの検討は不要であるが、厚生省が一層の研究が必要と考えるのならば、厚生科学研究費を使って、それなりに進めれば良いことである。少なくとも、そのことが、現在の水道水フッ素化推進の足かせとなってはならないのである。
2000年6月25日、群馬県甘楽郡甘楽町で水道水フッ素化推進の歯科保健シンポジウムが開催された。大変な熱気にあふれ、講演やシンポジウムに賛同した町長をはじめとする出席者がフッ素化実現に向けて動き出すことを確認して終わった。事実、甘楽郡の2町で来年度から水道水フッ素化実施に向けての具体的計画を打ち出された。
韓国のフッ素化施設について言えば、人口10万クラスの地域では4〜500万円の予算で水道水フッ素化が実施されている。厚生科学研究費1000万(AI研究に出される厚生省予算)あれば、このような地域2箇所以上の水道水フッ素化設備が整備可能である。
日本歯科医学会フッ化物検討部会の答申が出た時,直ちに矢崎氏が問題点を指摘したが,全くその指摘どおりの大変ゆゆしき問題が起こっている。我々歯科保健事業にかかわる者たちは,AIなど歪められた解釈を踏まえて、これから水道水フッ素化を行政や住民に呼びかけて行くことになる。
しかし、そのフッ素化は、地域が望めば、国(厚生省)意向にかかわらず、地方自治の範囲で地域独自のフッ素化が可能である。厚生省は、いつまでもお役所的事なかれ主義と保身に拘泥しているのではなく、一大学、一個人の範囲を超えて、本来あるべき国民の健康を守る立場に立ち、将来に向けての歯科保健を考え、国民の税金を国民に有効に還付する政策を実現すべきである。本当の「健康日本21」はこの方向にある。
このページをまとめるにあたって,資料を提供頂いた,山下先生、葭内先生、また、引用を了解,ご意見を頂いた,矢崎先生には,この場をお借りし御礼を申し上げます。 このAIに関するご意見は,山本武夫まで,メール下さい。 |