「フォーラム8020 ’99東京」出張報告

富山県歯科医師会理事 山本武夫(富山県歯科医師会 会報平成12年3月号掲載)


 (お断り) 黒字については、富山県歯科医師会会報文章(字数制限あり)ですが、カラー字については、このホームページ用に解説や追加補足をしたものです。内容については、山本武夫に責任があります。


 去る2月6日(日)東京駅八重洲口大丸のルビーホールにて、「フォーラム8020 ’99東京」が開催された。東北・信越・東海13県で構成し、本県のようなオブザーバーをいくつか加えて毎年1回開催しているが、今年のテーマは「健康日本21の進め方〜地域における取り組みを具体的に考える〜」であった。

 フォーラム8020副幹事長の坂井剛愛知県歯専務の司会で始まり、池主憲夫フォーラム8020幹事長が挨拶を兼ねて主旨説明をされ、続いて厚生省瀧口徹歯科保健課長が挨拶をされた。瀧口課長は、平成12年度厚生省健康政策局歯科保健医療対策予算(案)約20億円(対前年比約220%)の説明と、昨年12月より実施の訪問歯科診療推進整備事業と地域医療情報化推進事業について述べられた。中でも新規で一気に5億円の8020運動推進特別事業については、実施主体が県とし、10/10で1千万円程度各県にあてるものとし、従来の県単事業に上乗せせず、歯科保健後進県へ新規に取り組むよう手を差し伸べたものとされた。(フッ素利用の関係にとっては1000万円は、あまりに多額の予算。100万円あれば、1000人のマンモス校でフッ素洗口ができるし、15−6万の都市2箇所で水道水フッ素化が出来る。)

 続いて「健康日本21」と、それに関連する最近の話題が2題報告された。まずは「健康日本21」について、厚生省大内章嗣地域保健健康増進栄養課長補佐が現在の状況として、最終案について取りまとめ中であると説明された。当初、生活習慣病対策としてスタートするも日本人の健康全般について広がり、事故や環境問題も含めた膨大なものになった。ただし、原案がでてから「たばこ半減」などに対し、耕作あるいは販売業者からの5万件を超える反対が来て修正も検討中である。歯科関係については、文部省・日本学校歯科会方面からは12歳児DMF1本以下は難しいとか、砂糖制限については輸入の関税調整金と国内生産業者保護政策の価格維持の問題があるとかで、検討中である。

 続いての報告は、「フォーラム8020健闘資料」について、新潟大学予防歯科安藤雄一先生がその内容と、出来次第フォーラム構成県、県歯や市町村に配布の意向を示された。


 協議に入って、石井拓男東京歯科大教授と池主幹事長を座長に、基調講演3題がまず出された。第1は事前に出された各県の歯科保健全体の問題分析アンケート調査結果の概要について、新潟大学予防歯科葭原明弘先生が、第2は岩手県の現状報告を佐藤保県歯常務が、第3はフッ素について、福島県歯フッ素小委員会斉藤慎一副委員長がそれぞれ報告された。また、飛び入りで、北海道旭川歯科医師会葭内顕史理事が、「地域住民との共通目標8020達成について」を資料で説明された。

 休憩の後、協議が始まり、今年は例年になくフッ素関連がウエートを占めることになった。口火は葭内先生の「フォーラム健闘」には、フッ素の局所応用まであるが、全身応用については記載がないとの指摘からで、「アメリカや韓国などで実施して実績のある水道水フッ素化が一番で、日本で心配される飯の食い上げにもアメリカではならず、需要の創造であった。」と、全身応用も記載に加えるよう要望され、同じく今本先生(旭川)が、市町村に配布し歯科保健計画立案の手本にして欲しいのなら、最近旭川でも、フッ素洗口が50%近くまできたが伸び悩み、それにかける労力も大きく、学会でも水道水フッ素化を勧める声も出てきたようなので、もし万一旭川で水道水フッ素化が話題になったら、教科書に記載がないのは頂けないと、安藤先生に正した。続いて、小生(山本武夫)が、8020推進予算と絡んで、もし、旭川の意見のように水道水フッ素化の声があがったら、厚生省はどのように考えるかと瀧口課長に尋ねた。

 これに対し、瀧口課長は、「塗布や洗口については安全性に問題はなく(フッ素塗布やフッ素洗口についてや医薬部外品の歯磨剤やスプレーについても薬事法の認可を受けているのでその段階で厚生省の認可といえる)、水道水フッ素化については(薬じゃないので、どこに話がいくかというと、いろいろご指摘があるので考える)、基本的には原因はともかく十分に意見の統一がない状況といえる。先の日本歯科医学会が委員会を作って満を持して出した結論は尊重したいが、適正摂取量のところでまだ研究が必要である。厚生科学研究費に、歯を長持ちさせる具体的な予防技術の開発研究があり、そちらを利用してもらったらいいと思う。いまは、インターナショナルでボーダーレスの時代、水道水フッ素化は、情報開示が必要で人種のるつぼのロスなどの安全論議も取り入れたりして国民と安全論議しなければならない。国民合意あるいは住民合意がどうしても避けては通れない。また、1部の歯科医が熱心で頑張ってもうまくいくものでもないのも事実だ。21世紀初頭の宿題がこのフッ化物の問題である。外国において、水道水フッ素化している地域があるのも事実だし、そうでない地域があるのも事実、そういった意味で情報公開をし、正しいのは何か、厚生省もキチンと議論していこうと思っている。」と、述べられた。

 後、いくつか議論があったが、5時過ぎに閉会となった。坂井副委員長がまとめで、このフォーラム8020は、8020財団ができれば、発展的解消し、全面的に財団を支援していくことになるということ、このフォーラムが財団の土台になったことをそれぞれ誇りに思って協力していこうと話された。

山本武夫のコメント

小生は久しぶりに瀧口課長に会いました。課長は大学の1年先輩で、新潟大学予防歯科時代は、新潟の子供を守る会で、究極は水道水のフッ素化だが、次善の策としてフッ素洗口の普及に新潟県内を東奔西走していた人です。

このフォーラムには、小生は静岡、名古屋、東京と参加してきましたが、今回が始めてフッ化物全身応用、中でも水道水フッ素化の話題が出ました。

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