Relative Effects of Pre-and Posteruption Water Fluoride
on Caries Experience of Permanent First Molars
J Public Health Dent
2003;63(1):11-19
K.A.Singh,BDS,GDPH,PhD;A.John Spencer,MDSc,MPH,PhD;J.M.Armfield,BA
【目的】水道水フロリデーションによる歯の萌出前と萌出後のう蝕抑制効果に関するこれまでの研究は、水道水フロリデーションの開始あるいは中止前後の断面調査によるデータの比較によるものであった。そこで、本研究は、オーストラアの6〜15歳の各個人の飲水歴調査に基づいて、萌出前と萌出後に水道水フロリデーションを利用した期間の差によるう蝕抑制効果への影響を相対的に比較したものである。
【方法】南オーストラリア州とクィーンズランド州の学校歯科保健サービスによる1991年と1992年の歯科健康診査と共に行われた居住歴を含む質問紙法調査である。対象は17773名の生徒であった。
第一大臼歯の萌出時期を男子80月齢、女子78月齢とし、それ以前を萌出前(PRE)、それ以降から現在までを萌出後(POST)の期間とした。居住歴の飲料水のフッ化物濃度とそれぞれの対象者の居住期間からPRE期間およびPOST期間における適正なフッ化物濃度の水道水摂取期間の比率(適正F飲料水パーセント)を算出した。
次に、PREとPOSTの適正F飲料水パーセントの比較によって5群に分けた。第1群:PRE&POST=0(PREとPOSTともに水道水フロリデーションがなされた地域の居住経験がない、すなわち適正F飲料水0%) 第2群:PRE<POST 第3群:PRE=POST 第4群:PRE>POST 第5群:90%<PRE&POST<100%(PREもPOSTもF飲料水が90%以上)
これらのグループについて第一大臼歯のDMFSを比較した。
【結果よび考察】PREとPOSTの適正F飲料水パーセントの相関係数は0.74と高かった。第1群(PRE&POST=0)と比較して第3群〈PRE=POST〉、第4(PRE>POST)、第5群(90<PRE&POST<100%)の各々のDMFSが有意に少なかった。
本研究から、萌出前に適正なフッ化物濃度の飲料水をなるべく長期に摂取することが永久歯のう蝕予防に効果があり、萌出後だけの摂取では予防効果が低いということである。とくに、もっともう蝕が少なかったのは、萌出前後ともにすべて適正なフッ化物濃度の飲料水利用グループであった。
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